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ああ、面倒くさい、学園生活なんて!

はっきり言って面倒くさい。

どうしてまた学生をやり直さなきゃいけないんだ!


勉強!テスト!宿題!校則!人間関係!すべてが2回目となると本当に面倒くさい!

そしてなにより入学式、こんな式典はまじ勘弁だ。

だいたい祝辞って・・・どうしてこんなに長いんだろう。祝われてるはずなのに、ちっともうれしくならないのは何故なのだろう・・・。


私はそんなことを考えつつ、王国学園の入学式をやりすごした。

今日から学園生活がはじまる。憂鬱でしかたない・・・。


ちなみに、王国学園は全寮制だ。一部、王族や公爵家の者などで、寮生活を送らないものもいるが、彼らは公務もあるし、警備の面もあるから仕方ないらしい。


・・・しかし、家に帰って気を抜く事も叶わないなんて、拷問だと思う。

学校での人間関係は、寮にも反映されそうだ・・・部屋は貴族だから一応は個室ではあるけど、とても狭く、食堂や風呂・トイレ・ラウンジ・学習室など共用部分が多い。これじゃ気が抜けない。

貴族は・・・気を抜かないもの・・・なのかも知れないけど!


私はうんざりしながら、寮とクラス割を確認しに、掲示板までトボトボ歩いて行った。

あ、ちなみにここ、ラノベの世界なので、制服あります。女の子は紺のブレザーに青系のチェックのプリーツスカート、男の子も紺のブレザーに青系のチェックのズボン。学年でリボンやタイの色が変わる。一年生は黄色だ。


「エミリア、クラスと寮はどこ?」


私を見つけたリカルドが駆け寄ってきた。リカルドとの仲はこじれまくってはいるけれど、口をきかないなんて訳ではないし、入学したてで、今は知り合いがお互いしかいないのだから、声をかけてきてもらえて、私は少しホッとした。


「リカルド!・・・私はね、Cクラスの、イースト寮だったよ。」

「・・・エミリア・・・さすがだね。学力別でしょ?クラス割って。」

リカルドは、美しい眉を歪めて、引きつった笑顔で嫌みったらしく答えた。


そう、クラスは入学時のテストで分けられる。優秀な生徒から、Aクラス(優秀)・Bクラス(標準)・Cクラス(落ちこぼれ)と分けられるのだ。つまり私は落ちこぼれクラスという訳なのだ。


ちなみに寮は「イースト寮」「ウエスト寮」「ノウス寮」「サウス寮」と4つあるが、これは適当に振り分けられる。寮によって、雰囲気が違うらしいが設備等に違いはないらしい。


「うるさいな。・・・Bいけるかなーって思ったけど、Cだったから、一応ショック受けてるんだよ?入学試験、頑張ったつもりだし。どーせ、リカルドはAクラスでしょ?で、寮は?」

「まあ、Aクラスだな。俺も寮はイーストだ・・・。てか、あれでBクラスいけるとか思ってた訳?エミリア、落ち込む必要ないよ、正当な評価だ。」


思わずリカルドの腕を軽く叩く。ほんと、イライラする。

他の人には、すごく取り繕って丁寧なのに、私には遠慮がないのも、私をバカにしている様で腹がたつ。


「もう、寮が一緒なんて最悪!」

「そう言うなって・・・これでエミリアに寮でも勉強を教えられる。俺はほっとしたよ。」


私は愕然としてリカルドを見つめる。そう、入学試験まで、散々リカルドに勉強を叩き込まれたのだ。まぁ、それもあって、もしかしたらBクラスくらいいけるかも・・・と私は期待したのだが・・・。

やっぱり今回も成果を出せなかった・・・。本当に、私って残念だ。しかも人生2回目なのに。

でも、これでリカルド先生のお勉強会とはおさらばだ!と思っていたのに、何を言っているんだ???


「リカルド・・・私の勉強、これからも見る気なの?もう入学試験はないのよ?」

「エミリア、君は俺の婚約者だ。侯爵家にふさわしくあるべきなんだよ。来年もCクラスなんてのは絶対に許さない。この学園は社交界の縮図なんだよ?自覚を持って!君は侯爵夫人になるんだから!来年は俺と同じクラスに来てもらわないと。」

リカルドは、私を睨むように見つめながらそう言った。


「・・・なら、リカルドがCクラスに来たらいいじゃない。私、Aなんて無理だよ。確かにね、入学試験の結果Cクラスではあったけど、私なりには頑張ったんだよ?」

頑張って、結果は出なかった。本当だ。私は怠け者だけど、嘘つきじゃないから、リカルドに言われた事はちゃんとやってた。リカルドを見つめて言う。ああ、ちょっと泣きそう。天才には凡人の気持ちが分からないのだ。


「知っている。だから、学校で、寮で、絶え間なく努力しようと言っているんだ。二人で頑張ろう。」

言うとリカルドはものすごい笑顔を私に向けた。


目の眩むようなリカルドの笑顔。


でも、私にはひたすら面倒くさかった。


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