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ああ、面倒くさい!陰謀論者なんて!

「と、とにかく、食べましょう?この後、お魚のグリルも来るんでしょ?」


私は、せっかくのシーフード料理を、アーノルド殿下の話なんかで冷ましたくない。だから、話を終わらせようと、リカルドを促した。


「ホントに、分かってる?」

リカルドが訝しげに見つめてくる。


「分かってるわよ!・・・そもそも、お兄様からもアーノルド殿下と仲良くしなくて良いって言われたし、今日は偶然、知り合っただけで、全然、興味も無かったし、王子が居たのも忘れてた。」


「・・・え、ユリウス様が・・・?!なんて?!」

リカルドは、お兄様の話題に食いついた。


「えっとね、お兄様が、『優秀で野心家な王子がいるけど、どうせ王様になれないヤツだから、捨ておけ』って感じに言ってたし、そうしたら興味も湧かなくて、王子様の存在を忘れてたのよ。」

「ユリウス様は、そんなに口悪く言わないだろ・・・不敬すぎだろ。」

「うっ・・・!いや、確かにそう言った訳じゃないけど、もっと上品に皮肉ってたけど、そんな雰囲気の事は言ってたんだよ!?」


「・・・さすが、ユリウス様、ナイスアシスト・・・。」

「はぁ?なんでお兄様がナイスアシストなのよ。」


「まぁ、いいさ!さあ、魚がきたよ!エミリア!」

リカルドは、上機嫌になって、お魚の料理に取り掛かった。


◇◇◇


シーフードをたっぷりと堪能した私は、幸せな気持ちで帰路についた。

「美味しかった・・・。ありがとね、リカルド。」

リカルドも満腹なのか、目を細めている。

「そうだな、うまかったな。・・・もうすぐ門限だ。少し急ごう。」

そう言うと、私の手を握り、少し早足に歩きはじめた。

???門限までは、まだ時間あると思うけど?


リカルド・・・真面目か!!!


寮が近づいてくると、リカルドは、私の手をギュッと握った。

「ちょ、痛い。どうしたのリカルド?」

「エミリア、その、もう一つ、気になっているんだ。」

「?もう一つ???え、何?」

「言いにくいんだが・・・。」

リカルドは押し黙る。

「もう!リカルド、門限になっちゃうんでしょ?何よ!」


今日のリカルドは何なんだろう?

言いたい事もなかなか言わないし、散々言いにくいとかって言ってた割りに、聞いてきたのは、アーノルド殿下の事とか・・・どうしちゃったの???


「・・・あの、お前が仲良くしてる、ロバートってヤツは・・・怪しい。」


「はぁぁあ?」

私はイラついて、柄の悪い声を上げ、リカルドを睨む。


リカルドは、真剣な顔で、

「ロバートって奴にも気を許すな!」

そう言うと、私と向き合い、ガッチリと肩を掴んできた。


「ちょ、ちょっと、リカルド、なんでロバートが怪しいのよ?てか、ロバート?何でロバートが出てくるの?」

「あいつも、エミリアを狙ってるんだ!」

「はぁぁあ?」

私はイライラした声を再び上げた。


「いいか、エミリア、よく聞くんだ。ロバート・・・あいつの家には私設の騎士団がある。」

「それが何?国境警備してるお家だもの、当たり前じゃない!」

「だからだよ、エミリア。ロバートの家は、王国軍で力のあるエリオス様と懇意にしたい筈だ!連携をはかれば、かなりの軍事力を手に収められる!」


もう、リカルド、どうしちゃったの?

なんで急に、陰謀論者になっちゃったの?


「リカルド!ちょっと妄想がすぎない?!ロバートとは、仲良くしてるけど、彼は私に恋愛的な興味も無いし、後ろ盾狙いでも無いと思うよ?そもそも、何か企む様な方じゃないし。彼は、すごく穏やかな人なのよ???」


はぁーっとリカルドは、ため息を吐き、

「・・・エミリア、君は怪しいと思わないのか?」

と、困った様に言ってきた。


「え?何が?」

何を言いたいのだろう、リカルドは?

ロバートの何が怪しいと言うの???


「中間考査で、ヤツはキッカリ、半分の順位を取っていた。」

「それが何?たまたまでしょ?」

「・・・あいつが勉強してるとこ、見たか?」

「え?」

「エミリアには、俺が相当やらせた。それでも半分までいかなかったろ?・・・だが、あいつは勉強してたか?」


リカルドの問いに、私は考え込む。

ロバート、勉強?してたかな?

いや、学校ではそんなにしてなかったかも・・・。

「確かに、ロバートは、あまり勉強してる感じじゃ無かったわね。でも、それが何?寮で頑張っていたかも知れないじゃない?それに、私は・・・私が馬鹿だから、リカルドに教えてもらっても半分いかなかったってだけじゃないの?」

「違う。違うよ、エミリア!あのテストは、Cクラスではやらない所からの出題が多いんだ!だから、クラスの授業でやったとこをいくら頑張っても、全体の半分の順位までは上がれるはずがないんだ。BクラスはAクラスよりは落ちるが、似た授業内容だから、Cクラスの君たちが、Bクラスの半数より上にいくなんて、まず有り得ない!」


それを聞いて、私は目を輝かせた。

「え・・・そしたら、私の41位って、結構スゴいんじゃ・・・!」

「いや、凄くはない!君は侯爵夫人になって、俺と歩むのだから、そもそもAクラスにいない時点で・・・って、そうじゃなくって!ロバート、ロバートだよ、ヤツは怪しいだろ?」

「え?ものすごーく、頑張っただけじゃない?」

「・・・あいつはさ、寮でも勉強している様子はなかったらしい。」

「はぁ???リカルドがなんでロバートの寮での様子なんか知ってんのよ?私たちとは違う寮なんだから、分かる訳ないじゃない?」


「アイツの寮は、ノウス寮。ユリウス様と同じ寮だ。」


リカルドがすごく難しい顔をする。


「俺は、ロバートが気になってた。だからユリウス様に様子を見ていてもらったんだ。アイツはテスト期間中も、ずっとラウンジでチェスを指してたそうだ・・・ユリウス様と遅くまで・・・。」


私は、ハッと息を飲む。


「お兄様も、ロバートも・・・テスト期間中に何やってんのよ・・・!遊んで・・・たの?!」


あいつら、遊んでて、成績良いだと?!

何なんだ!チートか?チートなのか?

私はなんだ?転生ボーナスはないのか?

普通は転生悪役令嬢にチートだろぉ!!!チート付けてよぉ!!!


怒りでブルブル震える私に、リカルドは呆れ顔になり、

「エミリア、なんかまたズレてる。」

そう言った。



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