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ああ、なんて面倒くさい!ヒロイン登場なんて!

次の日の朝、食堂でリカルドに会うと、

「熱は出なかった。もう平気だ。」

と、そっけなく言われた。


うん、通常運行に戻った様だ。

よかった、よかった。


その日は、それからクラスで、アメリアとロバートに「ロバートの故郷のお話を聞いたら、ホームシックになってしまった。」と若干、恥ずかしい言い訳をした。

アメリアは笑って、ロバートはちょっと困った顔になった。


「それにしても、エミリアの婚約者って、すっごくカッコいいのね。びっくりしたわ!」

アメリアはリカルドの顔が気に入ったらしい。

「めずらしいよね、婚約者がいるなんて。」

ロバートは今どき子供の頃から婚約している事を不思議に思っているようだ。

「うちは・・・お父様同士が幼馴染で親友で・・・それでなんとなく・・・かな。」

「なんとなくなの?!」

ロバートが目を瞠る。あ、そうですよね。普通、政略的な何かがあるかって、思いますよねぇ。

「うん、仲良しだから、親戚になりたーい!ってノリ?」

それを聞いたアメリアは爆笑し、ロバートはますます困った顔になった。

まぁ、困惑するよね、ノリで婚約とかさ!


◇◇◇


その後も、リカルドが中間考査の勉強を誘いに来たり、それをアメリア・ロバートと遊ぶのに捲いたりして、毎日は過ぎていった。

『リカルドったら、気が早い!』って思っていたけど、気が付くと考査はすぐにやってきた。


考査が始まってしまうと、テスト&一夜漬けの毎日が始まり、寝不足と頭を使いすぎた疲れで、目の回るような日々になった。最後の数日は、記憶が曖昧だ・・・!


私は、リカルドに何度か寮で捕まり(アメリアとロバートは別の寮だから、リカルドが寮で待ち受ける様になってしまった・・・!)、前もって強制お勉強タイムを取らされたおかげで、テスト自体は、まぁまぁ出来た気がしてるけど・・・どうかな。


そんなこんなで、今日は成績発表の日だ。


◇◇◇


「おはよう。ねぇ、エミリア、そろそろ成績が貼り出されるらしいけど、見にいかない?」

朝、ロバートが教室に入ってくるなり、私に尋ねてきた。


学園では、考査後にクラス不同で成績順に名前が廊下に貼りだされるシステムだ。

まぁ、この学校は貴族社会の縮図だから、成績が良い=将来有望って事で、みんな誰が『有能』で『誰と懇意にすべきか』を知りたいのよね・・・だから成績が発表されちゃうんだろうけど・・・合理的だけど、ちょっとえぐいって思う。


「うーん、アメリアが来てからにしない?もうそろそろ登校して来ると思うの。」

「そうだね。そうしよう。ねぇ、エミリアは今回の考査、自信ある???」

「リカルドに捕まって強制勉強させられたから、補習を免れる点は取れてると思うけど・・・ロバートは?」

ちなみに、この世界でも30点以下は補習です。しかも補習がある生徒の名前は赤字で貼りだされるという・・・鬼システム!!!

「僕も、補習は無いと思うけど・・・思いたいだけかも・・・ドキドキだよ!」

そんな話をしていると、アメリアが青い顔で教室に入ってきた。

「おはようございます。エミリア!ロバート!私、絶対にやばいです!まずいです!もう発表を見に行きたくありませんっ!!!」

泣きそうな顔のアメリアに、私とロバートは苦笑して、それでも見にいこうと促した。


成績の貼り出されている廊下に三人でやってくると、リカルドの金髪頭が目に入った。

リカルドもAクラスのお友達と、成績を見に来た様で、数人で輪になって楽しそうに談笑している。


あ、クラスにお友達できたんだ・・・ちょっと安心。


「リカルド!どうでした?」

私が声をかけると、リカルドは焦った顔をして、お友達の輪から外れ、こっちにやってきた。


???


婚約者だし、お友達に紹介してもらえるかなーって思ったんだけど・・・な。

ま、いいけど。


「エミリア、俺は残念ながら3位だったよ。」

「え、リカルドが3位???」

「そ、マーガレットとアーノルド殿下には勝てなかった・・・まぁ・・・正直、くやしいよ。で、エミリアはどうだった・・・?」

リカルドはそう言いつつも、掲示板を見つめ、私の順位を確認した。


ん???・・・マーガレット???どこかで聞いた気が・・・???


私が考え込もうとすると、リカルドが、

「41位か・・・なんだろう微妙すぎる、ほんと・・・エミリアって・・・残念だね。」

と、いつもの厭味ったらしい言い方をしてきた。むかつくな。

「う、うるさいな、75人中、41位はそんなに悪くないじゃん?頑張ったんだよ!」

「でも・・・半分、いってないじゃん・・・。」

もう、リカルドと話すの嫌だ・・・。これでもCクラスでは上位ですが!!!


ムカついたので、私はロバートとアメリアと話す事にした。

「ロバートとアメリアは何位でした?」


私が聞くと、隣で掲示板を見ていたロバートが笑いながら

「ぼくは37位だ。ほぼ真ん中だね。」

と言った。ほう、真ん中。ロバートやるな。


アメリアはその隣でプルプルと震えている。

「・・・アメリア?大丈夫???」

私が声をかけると、アメリアは涙目で掲示板を指さした。おっと、かなり後ろの方を指してる・・・。

「・・・私・・・70位でしたわ・・・。名前も赤字ですの・・・。これは・・・さすがにお父様に怒られてしまいますわ!!!」

震える声で答えた。うん、アメリア、これは確かに怒られ案件だわ・・・。しばらく放課後のケーキ屋さん巡りは・・・できないかも知れない。

ロバートは必死にアメリアを慰めている。


リカルドは、私たちの様子を、つまらなそうに見ている。


それなら、Aクラスのお友達んとこ、帰れっちゅーの。

私がリカルドを睨みつけると、リカルドは「何?」って顔をした。


「あら、リカルド!その方が、貴方の婚約者ですの!私、ぜひお会いしたかったの!」

突然、すごく可愛らしいソプラノボイスで呼ばれ、リカルドと私は同時に振り返った。


そこには・・・そう、リカルドと恋に落ちるらしい、ヒロインが立っていた。

私は、呆然となって、彼女を上から下までじっくりと見てしまった。

不躾な視線を受けたはずなのに、彼女は私と目が合うと、可憐に笑って軽く会釈をしてきた。


ものすごーく可愛らしい、ピンクブロンドに紫の瞳の可憐な少女。

その姿は、ライノベの挿絵と同じであった。


リカルドは、少し驚いた顔をした後、爽やかな笑顔で

「マーガレット、1位おめでとう。君に負けてしまって残念だよ。」

と答えた。


・・・その声には甘さが含まれている気がした。


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