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2 自称、神様


「というわけで、こうして英理奈ちゃんの人生は幕をとじたのでしたー!」



何が面白いのだろう。


私が死んだ時の光景をスクリーンに映しながら、銀髪の少年が腹を抱えて転げ笑っている。見渡す限り真っ白な空間に大きく映し出されている映像は、どうみてもコメディ映画には見えない。



「えーと……個人的には、そんなに笑うほどの面白い箇所は無かったと思うんですが」


「えー、そう?脅かすために、上から植木鉢落としたのに、英理奈ちゃんが変な方向に逃げちゃったから、後頭部にジャストミートしちゃった所とか最高じゃない?寸分違わぬヒット。しかも、植木鉢に咲いてた花が、これまた後頭部にジャストオン!あんまりにも奇跡の連続過ぎて、思わずブラーヴォ!!!って叫んで、椅子から立ち上がっちゃったよ!」



そう。映像を見てわかったのだが、どうやら私は死んでしまったらしい。


私を驚かすために、頭上3階のベランダから落とされた植木鉢は、私が彼女達の予想外の方向へと逃げてしまったために、私の後頭部に見事直撃。しかも、咲いていた花が綺麗に私の後頭部に乗るというオマケつきだ。


私が倒れた後に、教職員が飛び出してきて、加害者の女生徒達を捕まえ、状況を確認をしているが、彼女達は「こんなつもりじゃなかった」「脅かすだけのつもりだった」と泣きじゃくっていて話にならない。


なんていうか、本当に馬鹿。


3階から物を落とす事について、よく考えたのだろうか。地上から3階は距離があるのだから、もしもの事を考えて、生ゴミとか精神にのみ傷を与える物にしておけばよかったのに。



とはいえ、そんな馬鹿達にウッカリ殺されてしまったのは私なのだが。



「それで、今の私はどういう状況なんでしょうか。天国行きか地獄行きかの裁判とか、そういうシーンですか?もしくは運良く生き返られるとか?」


「えー、生き返りたいの?でも、英理奈ちゃん死んだの1ヶ月前だから、とっくに火葬されて戻す器なんてないよ?あったとしても、魂戻すの超面倒臭いから、僕はやらないかなー。だから無理」


「器さえあれば、出来たんじゃないですか!面倒ってなんですか、面倒って!!」


「だって神様のお仕事って、一々面倒なんだもん。だから、すこーし長めの休暇をとってリフレッシュしてたのに、口煩い同僚に叱られちゃったんだよね。だから、今も仕方なく仕事してるわけ。ちょっとくらい手を抜いてても大目に見て欲しいね」


「え、待って。色々ツッコミどころあるんだ

けど。とりあえず神様ってどういうこと?」



仕事放棄じゃんとか、長めの休暇ってどれくらい?とか聞きたい事は多々あったが、それよりも自らを神と言った事に衝撃を受ける。



「この異常に真っ白な空間を見れば、私が死んだ事とか、貴方が何かしらの特殊な立場にいる事はわかります。だけど、百歩譲って天使くらいでしょ!?神様って嘘ですよね?もっと神様って威厳があるんじゃないですか?少なくとも、人の死に様を見て涙流すほど笑う人ではないと思いたいんですけど!」


「だから、人じゃなくて神様なの。最近は地球の人口も増えたから、それに伴って色々処理する部署とか担当も増えてるんだよね。だから僕みたいにマイペースな神様もいれば、毎日休みなく働く神様もいるし、持ってる力の量とか種類も、ピンからキリまで多種多様。性格なんかは、神の数だけあると思ってもらえばいいよ」


「つまり、私は運が無かったという事ですね」



まさか神々の間で、こんなにも酷いダイバーシティが許されていただなんて。



「酷いなー。僕これでも古参の神様だよ?力だって結構あるし。運が無かったどころか、大当たり引いた豪運持ちだよ」


「いつから休暇とってます?」


「えっと、5000年前くらい?」


「このサボリ神が!!俺、本気出したら凄いから、まだ本気出す時じゃないから、みんな良く働くな、とか言って働かないヤツだよ」


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