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悪夢からの目覚め。
しばらくこのようなつまらない流れが続きます。
アリは見るはずのない夢を見た。
人間の赤ちゃんの自分が拾われる夢だ。
どこから生まれたのかなんてわからない。
自分の存在が何かさえわからない。
そんな自分を神父が持ち上げ、優しく抱きしめてくれる夢を見た。
おかしい。
「優しく」とはなんだろう。
「おかしい」って?
自分の感情に脳が追いつかない。
それはそうだ。
アリだったのだから。
感情なんてもの、なかったのだから。
それでも夢は続く。
アリは見たくもない夢を見続けた。
神父に育てられ、里親を貰ったこと。
両親の名前は
佐伯徹。
佐伯晴奈。
そして、自分に【佐伯 藍留】という名前をつけた事。
徹と晴奈は自分の事を精一杯育ててくれている事。
まるで昔、自分がしていたように。
女王アリに食事を用意し、幼虫を育てていた自分のように。
それは何故か胸が熱く、奥に感じる痒みに苛立ちを覚える。
目がやけに重くなる。
この苛立ちは何なのか。
そもそも、「苛立ち」とは何なのか。
何もかも分からないまま、少年は目覚める。
ご覧越ありがとうございました!