第二節:記憶
本文中、階級がいくつか出てきますが作者はどの階級がどれくらい偉いかなんてことは知りません。なので、ツッコミは心の中だけでしてください。
「アズマ!」
誰かが自分の名前を呼んでいた。
うるさい、寝かせてくれよ。なんか体がダルいんだ。
「おい!起きろアズマ!!」
仕方ない、とりあえず起きよう。…あれ?体が動かない。声が遠い。
「やっと起きたか。」
はぁ?全く意味が分からない。えっと俺は何してたんだっけ?
「アズマ、いつまで寝てる気だ?」
そんな事をいわれてもなぁ。体が動かないんだし。
「ちっ!オラッ!びびって縮こまってんじゃねぇ!!」
ひでぇ、蹴りいれやがった。
覚えてろよ。
体が動くようになったら…。
ん?蹴りの直後スイッチが入ったかのように体が動き出す、と同時に止まっていた思考が一気に活動を再開する。
そうだ、俺は確か…そう!奴らに刺されて、それから意識が遠のいて…。
どうやら助かったらしい。
頭がぼーっとする意外は体にも特に異常はない。
多分軽い貧血だろう、すぐ治るさ。
よし、まだ戦えるぞ。
待ってろよ、化け物め。
しかし、勢いよく飛び出して行こうとした俺を俺に蹴りを入れて起こしてくれやがった奴ササクラが止めに入る。
「もういいよ。彼らが来た。」
「彼ら?」
「そうだ、だからもういいんだ。」
「そうか、じゃあ…見物してくる!」
「おい、待て!」
静止を振り切り戦場へ飛び出す。
そして映る―。
…?四角い部屋だった。
白い壁。パイブを組んで作られたベッドには清潔なシーツ。独特のアルコール臭。医務室?記憶がない。なんでここにいるんだ?確かさっきまでは戦場にいたはずだ。そうだ、化け物に刺されてでも生きていて、それからササクラが『彼らが来ている』と言って、だから見物しに行って、…行って?それからどうしたっけ?なんか忘れてる。なんだっけ?ガチャ。ドアが開く音で思考が中断した。
「よお、ちゃんと生きてるな。」
ササクラが笑いながら入ってくる。
「あら、目が覚めたのね」
ササクラの後ろには医務室のおばちゃん。
「お前、俺を振りきって行った後またぶっ倒れたんだぜ?」
「憶えてない。」
「あっそう。」
ササクラが本当に興味なさそうに言っておばちゃんに向き直る。
「おばちゃん、こいつもう連れて帰っていいか?」
「ええ、意識もはっきりしているし、本人が大丈夫ならいいわよ。」
「じゃあ、帰るよ。」
俺の意見は無視かよ。
「じゃあ、気を付けてね。」
あんたもなんか言えよ。
ササクラが一人出口へ向かう。
仕方ない、もう少し寝ていたいが一人休んでいる訳にはいかない。
立ち上がり出口へ向かう。
ドアを閉める時に軽く振り返るとおばちゃんが笑って手を振っていた。
廊下を無言で進んでいくササクラの後ろをとりあえずついていく。
「おい、どこに行くんだ?兵舎はあっちだろ。」
「少将が呼んでいる。」
「シドウさんが?」
「そうだ。それと、今日は司令官が来ている。ここからはちゃんと敬語を使え。イコマ二等兵。」
「了解。ササクラ大尉。」
「よし、じゃあ行くぞ。」
「了解です。」
そう言ってから俺は自分が呼ばれた理由を探し始めた。
こんな所読む人はいるのか?とにかく、やっと二節です。ぶっちゃけこの先の展開は考えてません。どうしようかな…。