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古時計
心臓に開いた穴がどんどん広がっていく
何でこんな穴が開いたのだろう
いつもどこでも自分に問い詰めてきた
だけど答えが見つからない
薄暗い部屋の中でいすに座っている僕の前に古びた振り子時計が姿を現した
ボーン ボーン
時計が鳴ると同時に針が反対周りに回りだす
目の前にはまるで映画のように過去の場面が映し出される
ボーン ボーン
どんなに過去に戻ってもあたりには暗闇だけが広がっている
ボーン ボーン
不意にあたりに光が溢れてきた
僕は時計の針を押さえた
その時、目の前には子供のころの自分がいた
明るい顔で笑い、飛び跳ねている
場面は少しずつ現在へと動き出した
誰かの声が聞こえだした
次第にその声は大きくなり罵声へと変わっていった
母親が父親に向かって口喧嘩をしている
突然、母親は子供の僕に振り向いて言った
「あんたなんか生まなきゃよかった」
辺りは漆黒の闇に包まれ、僕は心臓に小さな穴が開いた
目が覚めると振り子時計はそこになく
椅子に座った僕がいた
僕は家を捨てた
親を捨てた
目の前が少し明るくなるのを感じた




