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いつかの夢
確か子供だったころの私は
すべてのことに夢が広がっていた
道を走っていればオリンピックの選手になった夢を見ていた
誰よりも早く走れると信じていた
黒い学生服の高校生を見れば
自分もそうなることを疑っていなかった
ドラマの中の大学教授を見れば自分も教壇に立って
生徒を叱り付ける夢を見ていた
なんにつけても自分には壁があるなんて考えてもいなかった
だが、年がたつにつれて本当の自分が見えてくる
どんなに早く走ってもオリンピックには出れない
必死になってやっと入学できた三流高校
大学なんてとてもいけるような頭脳は持っていなかった
それに壁にぶつかることもなかった
壁にぶつかる前に道から外れっぱなしで
いつも堂々巡り
いつの間にか子供のときに見た夢は忘れてしまった
夢を忘れて私は大人になった




