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過去に置いてきぼりの左腕
赤い月の光に照らされて動きを止めた僕の左腕
脈打つ血官は色白の蛆虫の住処と変わり
乾ききった皮はめくれあがって花びらのようになっている
黒く変色した筋肉はコールタールの雫と変わり
奥底に隠れていた白く輝く骨はケタケタと笑い声を上げる
それでも僕の体から離れることはなく
悪臭の血塊を真の臓へと伸ばそうとする
いつのころか生きている証が見たくて
銀色のナイフで傷つけた僕の左手
過去の涅槃の棚に置き忘れてしまったことにやっと今気が付いた
もう生きているかなんてどうでもいいや




