死夢
夢を見た
いつものように親友と学校帰りの電車をホームで待っていた
周りには会社帰りのサラリーマンや学生でいっぱいだった
彼女はいつものように取り留めのない会話で笑っていた
駅のアナウンスが快速列車の通過を知らせる
彼女は不意に線路に背中を向けて言った
「さよなら」
私はそれに答えていた
「さよなら」
彼女はそのまま後ろ向きで線路に倒れこんだ
電車の存在を告げる光がホームに差し込んでくると同時に辺りには地獄の番犬のような警笛が鳴り響いた
次の瞬間彼女は姿を消した
電車から亡者の叫び声のようなブレーキ音が鳴り響き
レールと車輪が摩擦によって地獄の業火のようなきらめきがホームと電車の隙間からこぼれていた
通り過ぎるはずの電車が止まることを拒絶しながらホームの端に止まった
私の目の前を通り過ぎた電車の陰からは
以前から見慣れたホームの向こう側の壁が現れた
そこにはさっきさよならを言った彼女の頭だけがこちらを向いて横たわっていた
少し笑みをこぼしながら
レールのそこかしこに元は体だった物体が散らばり
赤く染まったジュータンのようになっていた
ホームからは悲鳴が上がり時間が凍りついた
私はなぜかもとは彼女だったその頭に笑顔を送った
そこで夢が覚めた
月に一回はこんな夢を見る
死に対して何の感情も抱かなくなってしまう
たとえそれが自分であろう




