5話 檻の中の彼女
本作は、過去に同人誌として発表した作品を、Web向けに一部改稿のうえ再掲載したものです。
※本作は現代日本を舞台にしたローファンタジー/異能バトル作品です。
※章ごとに話数を分けて投稿しています。
「ん……あれ?」
刀は暗闇の中に倒れていた。何度となく見た夢と同じ、漆黒の世界に。
「また、あの夢……?」
起き上がった拍子に、冷たいものが手にあたった。鉄棒のざらざらした感触だ。
鉄の檻の中に閉じこめられている。どこを振り向いて見ても、棒は等間隔に並び、刀を囲っていた。
「誰か! いないの!?」
棒をつかんで揺らしてみたが、まったく動かない。手には武器もなく、抜けだすすべは皆無だ。
これが夢の続きなのだとしたら、なぜ檻に入れられているのだろう。あの男は、一体どこに。
「! なに、これ……」
檻の中に、突如として映像が映しだされた。
そこには金の瞳をぎらつかせた自分と、蒼の光を目に宿した蓮華が対峙している。
「蓮華……!?」
刀が黒い太刀をかまえ、飛びだす。対する蓮華は矢をつがえた。
二人は戦いはじめる。たがいに一歩も引かない。
手加減する様子は見られなかった。殺気に満ちた斬撃を躱しながら、蓮華は隙を縫って矢を放つ。
「あれは……あたし? それとも……黒鬼?」
刀は鬱陶しそうに矢を弾き、助走もほどほど、十メートルもの高さに跳んだ。
その高さから振り下ろされる太刀に、蓮華は右腕を前にかざした。
彼女の空間を操る能力には、誰もおよばない。防御においては鉄壁と言ってもいい。
大上段からの一撃も、堅い守りで受けとめる。刃と光の壁がぶつかり、巨大な衝撃波を起こす。
しかし発生した衝撃波を受けても、刀は退かなかった。逆に蓮華が押されはじめる。
「まずい……!」
あの自分は力まかせに結界を断ち切ろうとしている。このままでは、彼女が危険だ。
「だめだ、蓮華。逃げ――っ!!」
咆哮と共に、結界に大きなヒビが入る。
黒の嵐が防御を食い破った瞬間、蓮華の右腕は宙に舞っていた。




