初仕事だよ!
四時間目終了のチャイムが鳴った。
教室が一気に賑やかになる。
なんだかんだ、クラスにも馴染めてよかった。
ここのところ数日は、何人かで集まって一緒に昼食を食べる。
友人の席に移動して椅子に座ろうとしたーーーーー
「椎名ちゃーーーん!」
ん?まだ、昼休みだぞ。
友人が「呼ばれてるよ」と声をかけてくれたけど、
「ああ、あれは妖精みたいな生き物で、触らなければ別に害はないから。」
なにも聞いていなかったかの如く、友人の対面に座る。
わー、今日はタコさんウィンナ-が入ってるー。
「椎名ちゃーーーん!」
おっ、スープジャーのなかは味噌汁か、いいねー。
「し!い!な!ちゃーん!」
……さすがにまわりがざわつき始める。
おい、男子ども、あの人は見た目がかわいいだけだぞ。絶対に騙されるなよ。
「あー、もう何ですか。悪いですけど先に約束があるんで一緒にはーーーーー」
「初仕事だよ!お弁当持って行くよ!」
あー、あー、行かないっていっても聞かないんだろうなー。
もう、身体が無事に返ってくるならなんでもいいです。
友人には、佐倉先輩と一緒に謝りを入れて教室を出た。
「ついてきて!」
早足で歩き始める、
「詳細を教えてくださいよ、詳細を」
「"なはこう"ラジオの代打だよ!担当だった子が休んじゃったみたい。」
「"はなこう"ラジオ?」
「華ノ宮高校の校内ラジオ。今年度始めてだから知らないよねー。」
「えぇ……」
「今日もキレキレのスライダー頼むよ!」
はいはい……
放送室についたら佐倉先輩は慣れた手付きで準備を始める。
「よく、放送室使うんですか?」
「んー。去年、先生に部活潰されそうになって、ここに立て籠ったときにねー。あれはワクワクしたね~。」
さよなら、私の平穏な日々。
お母さん、お父さん、進学はできなさそうです。
「よーし!じゃあ始めるよー!」
ジジ…ジ…
マイクが全校のスピーカーに繋がる。
後から聞いた話だと、先生達のなかでも、このラジオを楽しみにしてる人がいるとか。
「あ、あ、あ、音量は大丈夫ですかー。」
あ、そういう配慮はできるんだ。
「それじゃー!今日も元気にー!"はなこう"ラジオ始まり始まり~!」
「今日のメインパーソナリティを務めます、みんなのヒロイン、正統派美少女の3年、佐倉 歩とー?」
自覚あるんだ。
「1年の椎名 丸でーす↓」
「しぃしぃ、いつもより元気ないんじゃない?」
「あの、もうなんでもいいんで、続けてください。」
「桜が色づく季節になってきましたがーーーーー」
「登校中、なに見てたんですか。結構前に散ってます。」
「Q&Aのコーナー!質問箱からランダムで引いて答えていきます。」
佐倉先輩が、箱に手を入れる。
「はぁ~い……じゃあ、これにしようかな。」
紙を開く。
「……好きな子に告白する勇気がでません、どうすればいいでしょうか。」
ありがちな質問だ。
今さら、こんなにありがちな質問があるのか。
佐倉先輩が口を開く、
「ん~、気持ちは嬉しいけど、今は彼氏募集してないんで、ごめんちゃい。」
椎名 丸、絶句。
「はい、次~。
……英語が苦手です。克服する方法はありますか。
……だって、しぃしぃさんはどう思いますか。」
自分の得意分野しか答えない気だ、これ。
少し、考えて
「えぇと、実際にみてないのでわかりませんが、単語はどれくらい覚えていますか?文法とかに引っ張られやすいですが、まずは単語で基礎を固めることをオススメします。」
「おぉ~。これ私の質問なんだよね。」
「先輩にはもっと心配しなきゃいけないことがたくさんあります。」
「次の質問~。」
ははー、都合が悪くなるとスルーですか。
そんなこんなで15分以上質問に答えた。
「……そろそろお別れの時間も迫ってまいりました。
最後に、まだまだ部員が足りない、新規入部者大募集中の部活を読み上げて終わりにしたいと思います。」
「……囲碁将棋部、アルミホイルで鉄球を作る会、サウナ同好会、都市伝説研究会、鬼ごっこ同好会、明日を語る会、退部代行同好会、では新入部員大募集中です!みなさん是非見学からでも!」
あぁー、入る学校間違えたかなー。
「そして!なんでも部では部員以外の生徒も放課後利用大歓迎です、是非たくさんのお友達を作りませんか!あっ、男女で分かれてるからね。」
……そうなんだ。
「それでは!本日のパーソナリティを務めました、佐倉 歩と!」
「椎名 丸でした。」
「ありがとうございました~」
ジジ……
「ところで、日向先輩はなんでいないんですか。」
「ひなちゃんは、メディアへの出演NGだからねー。」
はぁ~~~
教室に戻る途中で、お笑い同好会に勧誘された。




