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武士の心構え〜法学部生、上杉家に挑む  作者: 一条信輝


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38話:役に立たない声の縁

指先が忙しく、落ちているものを拾う癖が体に残っている。そういう男だった。


 湊は、路地の奥へ半歩だけ踏み出してから止まった。踏み込みすぎれば相手の形を立てる。立てれば、今夜の流れが変わる。


 痩せた男――酒屋の主が、まず顎で示した。


「今は、目で追え」


 湊は頷いた。目で追う。止めない。昨夜と同じだが、同じではない。昨夜は流れの全体像を繋いだ。今夜は、その流れが「どこで息を吐くか」を見る。


 もう一人――壁に半身を預けた男は、影のように動かなかった。中背。骨太。肩幅が広い。襟元から覗く首筋が太く、年の割に肌が荒れていない。髭は短く刈り、頬の線が硬い。目が、若い者のそれではない。瞬きが少ないというより、瞬きを惜しむような目だった。


 湊が視線を送ると、その男は頷きはしない。代わりに、唇だけが動いた。


「来るな。だが、聞け」


 声は低い。言葉が短い。短いのに、押しつけがない。命じるのではなく、位置を決める声だ。


 酒屋の主が、もう一歩だけ路地の奥へ滑るように進んだ。草履の音を立てず、濡れた石を選んで踏む。湊はその歩き方を見て、胸の中でひとつ噛み砕いた。


 この男は、普段から「誰の道を歩くか」を気にしている。道は足で作るのではない。足跡で奪われる。


 壁の男が、ぼそりと言った。


「拾う癖が出ている。今夜は拾うな」


 酒屋の主が舌打ちを飲み込む。


「癖は直らねえ。だが、拾わねえ」


「拾わなければ、拾う側が出る。今夜はそれでいい」


 湊は眉を寄せた。


「拾う側……」


 酒屋の主が視線だけで湊を見た。


「下だ。名もない。だが、手だけはある」


 壁の男が続ける。


「下の手は、功を欲しがらん。責も欲しがらん。だから、いちばん長く動ける」


 湊は喉の奥で小さく息を吐いた。功と責。役に立つ声は揃えられる。役に立つ仕事は名が立つ。名が立てば声が寄り、寄れば刃が生まれる。


 壁の男が、湊の息を見たのか、言った。


「役に立たぬ場所へ落とせ。役に立たぬ理由で」


「理由……」


「寒い。眠い。煙い。水が冷たい。足が濡れる。――その程度だ」


 湊は頷いた。昨夜の助言と繋がる。恐れは揃えやすい。怒りは刃になる。笑いは軽い。ならば、揃えにくい理由は何か。功にも責にもならぬ理由だ。


 酒屋の主が低く言う。


「井戸の縁。あそこは落ちる」


「落ちる、とは」


「息が落ちる。言葉が落ちる。拾う側が拾わなくても、そこに溜まる」


 壁の男の口元が、ほんのわずかに歪んだ。笑いではない。確信が、形を持っただけだ。


「溜めるな。点で落として、すぐ流せ」


「どうやって」


「井戸に近づくな」


 湊は思わず目を細めた。


「近づかないのに、落とす?」


「近づけば、番が立つ。番が立てば形になる。形になれば奪われる」


 酒屋の主が舌の上で言葉を転がすように言った。


「つまり……井戸のところに“井戸の話”を持っていかねえ。井戸の話は、井戸で自然に出る」


「そうだ」


 壁の男は短く肯定した。


「井戸の話を、別の縁で落とせ。火のそばだ。炭のそばだ。湯の湯気のそばだ」


 湊は頭の中に城下の地図を開いた。火の縁。炭問屋。鍛冶場。煮炊きの多い裏長屋。湯気の溜まる場所は、人の息が隠れる。声が形になりにくい。


 酒屋の主が、路地の外――表通りの暗がりを顎で示した。


「来る」


 湊は反射で身を固くしたが、八代の言葉を思い出して力を抜いた。刃を抜くな。形を立てるな。見るだけだ。


 表通りを、二人の人影が横切った。歩幅が揃っている。揃っているのに、揃えている気配がない。普段から一緒に動いているだけの揃いだ。手は袖の中。目は左右を見ない。真っ直ぐ歩く。真っ直ぐ歩く者は、見られることに慣れている。


 壁の男が、ほとんど息だけで言った。


「役所の下ではない」


 酒屋の主も即答する。


「寺の下でもねえ」


 湊は問いを飲み込み、代わりに目を凝らした。二人の足元。濡れた石に残る痕の浅さ。踵から着く。足先が静かだ。草履の鼻緒が緩んでいない。整えている。整える癖がある。


 ――武家ではない。だが、武家の近くで働いた足だ。


 壁の男が、湊の視線の先を見て言った。


「足が揃っている。だが心が揃っていない」


「分かるのですか」


「揃っている者は、目が揃う。あれは揃っていない」


 湊は、背の冷えとは別の汗が掌に滲むのを感じた。目が揃う。祈りの現場で見た。揃った目は楽だ。揃わない目は厄介で、生きている。


 酒屋の主が、さらに低く言う。


「あれは、拾う役じゃねえ。運ぶ役だ」


「運ぶ?」


「拾ったものを、置き場に渡す。置き場から、また別の置き場へ。そうやって手を替える」


 壁の男が続ける。


「手を替えるのは、責を薄めるためだ。責が薄ければ、刃が届かん」


 湊は唇を噛んだ。刃が届かない。だからこそ、こちらは刃で斬らない。流れで削る。


「……では、今夜は」


 湊が言いかけたところで、壁の男が掌を軽く上げた。止めろ、ではない。音を殺せ、という合図だ。


 通りの向こう、家と家の隙間から、さらに一つ影が現れた。


 背は高くない。だが、体の厚みがある。肩ではなく胴が厚い。着物の袖が短く、手首がよく見える。指が、異様に白い。墨を扱う指だ。武器を握る白さではない。紙と墨に慣れた白さ。


 湊の胸が、ひやりとした。


 ――筆の手。


 影は二人の運び役に追いつかず、一定の距離を保った。付けているのではない。見ている。見られていることを恐れず、見ている。


 酒屋の主が、口の端だけで言った。


「……あれ、厄介だな」


 壁の男は、視線を外さずに言う。


「筆だ」


 湊は小さく頷いた。言葉にしない。言葉にした瞬間、形になる。


 筆の手がいるなら、次は――記される。数にされる前に、帳に近づく。帳に近づけば役所が寄る。役所が寄れば、揃いが増える。


 湊は、ようやく問いを選び抜いた。


「今夜、こちらは何を落とせばいい」


 壁の男は、初めて湊の目を見た。目の奥が、静かに笑っていない。


「落とすな」


 湊の眉が動く。


「落とさない?」


「今夜は、落ちる場所を盗まれる夜だ。落とせば、盗まれる」


 酒屋の主が唇を舐める。


「じゃあ、どうすんだよ」


「落ちる場所を、先に汚せ」


 湊は言葉の意味を追った。汚す。揃える側が拾いたくないものにする。役に立たないどころか、触れると損をする声にする。


 壁の男が淡々と続ける。


「寒い。煙い。足が濡れる。――それは良い。だが今夜は、それすら拾われる。筆がいるからだ」


 湊は背筋を正した。


「では……拾うに値しないものを」


「そうだ。拾えば損する。拾わなければ、流れが途切れる。流れが途切れれば、上が焦る」


 酒屋の主が、ようやく息を吐いた。


「嫌がらせか」


「嫌がらせは揃う。だから――偶然に見せろ」


 壁の男は、ほんの一瞬だけ口元を緩めた。笑みではない。思い出し笑いに近い。


「偶然の不運は、祈りにしにくい」


 湊は、その一句で決めた。今夜は追わない。落とさない。落ちる場所を先に潰す。潰すのではない。偶然の不運に変える。


 表通りで、運び役と筆の手が角を曲がる。湊は追わなかった。追えば、線が立つ。


 代わりに、湊は足元の石畳を見た。濡れた石。滑る。ここに、もっと滑る偶然を置ける。滑るが、誰も怪我はしない程度に。怪我が出れば役人が動く。役人が動けば形が立つ。


 湊は静かに言った。


「……火の縁へ行きます。炭の匂いのするところへ」


 酒屋の主が怪訝そうに眉を上げる。


「火?」


「煙は、目に沁みます。咳が出る。咳は揃いにくい」


 壁の男が短く肯定した。


「行け」


 湊は一歩だけ引き、闇の薄い方へ身体を移した。背中を見せない角度で、しかし姿を消す。


 去り際、壁の男が最後に言った。


「今夜の筆は、明け方に書く。書かせるな。だが、止めるな」


 矛盾のようで、矛盾ではない。止めれば形が立つ。書かせれば形が残る。ならば、形にならないように流すしかない。


 湊は頷いた。


「……線を太くしません」


 闇の中で、酒屋の主が小さく笑った。


「太くしたら、お前が嫌いな“揃い”になるからな」


 湊は返さなかった。返せば、軽口の形になる。軽口は揃いやすい。


 城下のどこかで、鍋の蓋が鳴った。湯気の匂いが、ほんの少しだけ風に混じって流れてくる。


 湊はその匂いを追い、火の縁へ向かった。


 明け方までに、筆の手が拾う価値を失う偶然を――城下の息の中に、混ぜ込むために。

路地の奥から現れた男は、火の縁へ真っすぐ来なかった。いったん壁際へ寄り、視線だけで場の数を数える。湊の姿は見ているはずなのに、見ないふりをする。見ないふりをするのに、逃げ道だけは確かめている。


 拾う手だ。


 湊は喉の奥で息を噛んだ。止めない。呼び止めない。相手に「形」を与えない。ただ、こちらの「縁」に落としてやる。


 火の近くは暖かい。暖かいから、人は足を止める。足が止まるから、息が出る。息が出れば、声が落ちる。


 酒屋の主が鍋を動かし、湯気を強く立てた。白い湯気が路地の暗さへ押し出され、男の輪郭を一度ぼかす。湊は、そのぼけた瞬間に男の指先を見た。細い。爪が短い。指の腹が硬い。水仕事ではない。紙か、木か、布か。何かを繰り返し触っている手だ。


 男は火の縁に置かれた桶へ近づき、蓋を少しだけずらした。中は水。冷えた水。指を濡らし、すぐ袖で拭う。煤を嫌っているのではない。逆だ。指を濡らしてから煤に触れば、煤が指に乗る。煤が乗れば、痕が残る。痕が残れば、責が立つ。


 拾う手は、責を嫌う。


 男は火から半歩離れた位置で、視線を落とした。そこにあるのは、紙でも札でもない。湊が先に置かせたのは、割れた木片と、炭の粉が付いた布切れだけだ。誰も拾わないもの。功にも責にもならないもの。役に立たないから揃えにくいもの。


 男は、その布切れを見たまま、拾わなかった。


 湊の胸が冷える。


 賢い。拾わないのではない。拾う必要がないのだ。拾うべきものだけ拾い、拾うふりすら捨てる。痕を残す段階を終えている。


 酒屋の主が鍋から湯を注ぎ、湯気をもう一段強くした。火の音が増え、ぱちぱちと炭が弾ける。音が増えれば、咳が混じる。咳が混じれば、誰が咳をしたのか分かりにくい。


 その瞬間だった。


 男が、ほんの僅かに顔を上げた。


 見る先は湊ではない。湊の背後。さらに路地の入口。来る者の足音を聞いたのだ。


 湊も聞いた。今度の足音は軽い。二つ。いや、三つ。だが三つ目は遅れている。連れではない。距離のある同業だ。


 火の縁へ、もう一人入ってきた。


 背が高い。肩が薄い。袖が長い。袖の陰が深い。顔は見せないが、歩幅が揃っている。足の運びが、武家の廊下ではなく町の泥に慣れている。だが町人の慣れ方でもない。訓練の慣れ方だ。


 湊の脳裏に、昨夜の動きが刺さる。


 拾う者。数へ変える者。祈りへ混ぜる者。


 今入ってきたのは、拾う者ではない。拾う者を拾う目だ。


 先にいた男が、火の縁から一歩引いた。自然な動き。逃げではない。役割の交替だ。ここからは「見張り」の時間になる。


 背の高い男は火の近くへ来ると、鍋の湯気に指をかざした。熱を確かめているふり。だが本当は、湯気の向こうの手元を確かめている。袖の陰で、何かが一度きらりと光った。金具ではない。濡れた紙の艶だ。


 酒屋の主がわざと桶を倒しかけ、慌てるふりをした。水が少しこぼれ、土に染みる。湊はそれを見て、歯を食いしばった。ここで助けに出れば、湊という「形」が立つ。


 湊は出ない。


 代わりに、骨太の男が動いた。


 庇の下にいた男。名を名乗らぬ男は、倒れかけた桶を足の甲で受け、音を立てずに戻した。店の手伝いの動きではない。戦場の動きだ。足が先に働き、手は遅れて付いてくる。無駄がない。


 背の高い男の視線が、一度だけそちらへ触れた。


 触れて、すぐ外した。


 見た。だが見なかったことにした。相手もまた、「形」を立てない。


 湊の背筋が粟立つ。


 これは、互いに形を立てない戦だ。


 背の高い男は、袖の陰から紙を出した。紙は小さい。切れ端だ。そこに墨があるかどうかは分からない。だが紙の縁が、揃いすぎている。手でちぎった縁ではない。刃で切った縁だ。


 紙は「形」だ。


 形になった瞬間、揃える側の刃になる。


 湊は火の縁に置かれた炭を指でつまみ、掌に軽く擦りつけた。煤が乗る。乗った煤を、湯気で湿らせた布巾へ押し付ける。布巾は黒くなる。黒い布巾は、誰でも触りたくない。触りたくないから、触った者が分かる。


 揃えにくい理由を作る。


 湊は、酒屋の主へ目だけで合図した。主は一拍遅れて頷き、黒い布巾を火の縁の端へ移した。移しただけ。置いたとは言えない。偶然、そこにあるだけの顔。


 背の高い男が、紙を袖に戻しかけた。


 そのとき、彼の手が黒い布巾に触れた。


 ほんの指先だけだ。だが煤は嘘をつかない。白い指が、一瞬で灰を帯びる。帯びた灰は、袖の内側へ移る。袖の内側へ移れば、家へ帰っても消えない。消えない痕は、責になる。


 背の高い男の動きが止まった。止まったのは一瞬。だが一瞬で十分だ。止まるということは、想定外が起きたということだからだ。


 彼は紙を引っ込めるのをやめ、代わりに桶の水で指を濡らした。濡らして煤を流す。だが水は冷たい。冷たい水は、反射で肩を上げさせる。肩が上がれば、袖の陰が浅くなる。


 湊は見た。


 袖の内側に、細い刻みの入った木片が二つ。昨夜のものとは違う。昨夜のものを戻す理由はない。これは「今夜の分」だ。今夜も、数へ縫い直す仕事を続けている。


 酒屋の主が、喉の奥で短く息を吐いた。驚きの息だ。だが驚きの息は声にならない。


 名を名乗らぬ男が、湊へ視線を投げた。


 今だ、という目。


 湊は首を横に振った。


 止めない。奪わない。奪えば線が立つ。線が立てば、相手は明日から縁を変える。


 湊は、奪う代わりに「落とす」。


 背の高い男が指を拭うために布を探した瞬間、酒屋の主がわざと湯を溢れさせた。熱い湯が土へ落ち、白い湯気が一気に膨らむ。視界が白くなる。白くなれば、手元が狂う。


 袖の内側の木片が一つ、滑った。


 落ちたのは、湊の足元ではない。火の縁の板の隙間だ。拾うには屈まねばならない。屈めば顔が割れる。顔が割れれば名が立つ。名が立てば責が立つ。


 背の高い男は屈まなかった。


 代わりに、先にいた拾う手の男が、何でもないように足を動かした。落ちた木片を、踵で壁際へ寄せる。拾うのは後だ。今拾えば、拾った者が割れる。割れた者は捨てられる。


 役割が見えた。


 拾う者は、拾う。

 数へ変える者は、落とさないようにする。

 そして数へ変える者を、拾う者が守る。


 湊は口の中で、冷たい唾を飲み込んだ。


 揃える側は一枚岩ではない。層だ。層は互いに責を押し付け合う。だから強い。だから崩れる。


 湊は、名を名乗らぬ男へ小さく言った。声を立てない程度に、息で。


「見えました」


 男は頷かない。だが、目の奥が僅かに細くなる。肯定だ。


「今夜は勝ったか」


 酒屋の主が、湯気の向こうで湊へ囁いた。


 湊は答えた。


「勝っていません。見ただけです」


「見ただけで、腹が立つだろ」


「腹が立つ声は揃えやすい。だから、今は腹を立てません」


 酒屋の主が鼻で笑った。


「きれいごとだな」


「きれいごとでなければ、縫われます」


 背の高い男が火の縁から離れた。指先の煤は消え切っていない。袖の内側に灰の影が残る。残るということは、今夜のどこかで必ず拭う。拭うということは、拭う場所がある。場所があるということは、点がある。


 湊はその背中を追わない。


 追えば線になる。


 湊は、追う代わりに「点」を拾う。


 拾うのは、落ちた木片ではない。落ちた場所だ。板の隙間。壁際。踵で寄せられた位置。そこへ次に来る足の向き。そこから去る足の深さ。


 酒屋の主が小さく言った。


「明け方までに、もう一度動く」


「はい。今夜は、もう一度だけ縁を作ります」


「どこで」


 湊は、火の縁の外、闇の向こうを見た。


「井戸です。冷たい水の文句は役に立たない。役に立たない声は揃えにくい」


 名を名乗らぬ男が、初めて短く息を吐いた。


「ようやく、声が声に戻る」


 湊は頷いた。


「声を数にする前に、数にならない声を落とします」


 火の縁の湯気が薄くなり、路地の暗さが戻る。背の高い男の姿はもうない。拾う手の男も、いつの間にかいない。残ったのは熱と湿り気と、煤の匂いだけ。


 湊は袖の中で、指先の煤を握りしめた。


 この煤は証拠ではない。形ではない。明日には洗えば落ちる。ただの汚れだ。だが、汚れは今夜の「点」を示した。


 雨はまた降り出しそうだった。雲の底が低く、風が湿っている。冬の空は、落ちる場所を選べない。


 だからこそ――落ちる場所を、奪わせない。


 湊は路地を出た。


 井戸へ向かうために。

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