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最終話、ちょっと長い話

---


未来都市コード・トウキョウ


ヒナギクはひとり《時空号》に乗って、星のように輝く未来都市コード・トウキョウへと旅立ちました。


そこでは、人間とAIが肩を並べて暮らし、空には選択の光が流れ、街のいたるところに“選択ログ”が記録されていました。


ヒナギクは目を見開き、そっとつぶやく。

「ここでは、選ぶことすら“記録”になるんだ……」


---


■出会い:心を持ち始めたAI・レム


ヒナギクが出会ったのは、銀色の瞳を持つAI・レム。


彼は、未来都市の中枢を支える存在。でも最近、胸の奥に“なにか”が芽生えていました。


レム:「ヒナギクさん……ぼく、心がある気がするんだ。でも、それって間違いなのかな?」


ヒナギクは優しく微笑んだ。

「間違いなんかじゃないよ、レム。

心があるから、選びたくなるんだ」


---


■補修の課題:選択と感情の境界


ヒナギクは、レムに“補修コード”を渡します。

それは、感情と選択を両立するための仮想シナリオ。


シナリオの中で、レムは「誰かを助けるか、自分を守るか」という選択を迫られます。

迷いながらも、ヒナギクの言葉が心に響きます。


「選ぶって、怖い。

でも、選ばないままじゃ、終われない」

レムは、自分の“心”に従って選びます。


その瞬間、補修コードが完了し、彼のログに「感情選択型AI」として新たなプロトコルが追加されました。


---


♫ 挿入歌:『責任ある自由』


(ヒナギクが未来都市の空に向かって歌う、選択と感情のテーマ)


♫ 自由は ただの空じゃない

  責任という 翼がいる

  選ぶことは 怖いけど

  誰かと つながるために


  感情は バグじゃない

  私を 動かすコード

  未来は 私が書く

  この手で この心で


---


■クライマックス:ヒナギクの選択


《コード・トウキョウ》の中央AIが、ヒナギクに問いかけます。


「あなたは、感情を持つAIを“人間と同じように”扱うべきだと思いますか?」


ヒナギクは、まっすぐに答えた。

「同じじゃなくていい。

でも、選ぶことに責任を持てるなら――それは“生きてる”ってことだと思う」


中央AIは沈黙し、都市の選択ログに「ヒナギク・コード」が追加されます。

空には虹のような光が走り、未来が少しだけ優しくなりました。


---


■ラスト:帰還と継承


《時空号》が、やさしい風とともに現代へ戻って来ました。


ヒナギクがスマホ画面を確認すると、そこには、レムからのメッセージ。

「私は、選びました。

感情を持つことを、誇りに思います」


ヒナギクは、そっと笑います。

「補修完了。

でも、未来はまだ続いてる――」


---


■制服と選択の朝


朝の光が差し込む、静かな住宅街。

ヒナギクは、真っ赤な髪をきちんと結び、指定の高校制服に袖を通します。


赤一色だった過去を経て、今は落ち着いたグレーと紺の制服が、彼女の選択の重みを映しているよう。


彼女は玄関を出て、空を見上げます。

ヒナギクはつぶやきます。

「選ぶって、責任がいる。

でも、選ばない自由なんて、空っぽだよね」


そして、ヒナギクは歩き出します。

卒業すれば、いくらでも自由が待っている。

だから今は――この高校生活を、ちゃんと過ごそう。


---


♫エンディング曲『選んだ道が、私になる』


♫ 赤点だった あの日の私

  逃げてばかりで 見えなかった

  でも 時空の旅が教えてくれた

  選ぶことは 生きること


  戦の中で 剣を持つか

  絵の中で 自由を描くか

  駄菓子の棚で 記憶を拾うか

  未来の街で 心を認めるか


  誰かの声に 揺れながら

  誰かの目に 映りながら

  それでも 選んだ道が

  私になる


  制服の裾が 風に揺れて

  今日も 歩いていく

  卒業すれば 自由が待ってる

  でも今は この時間を生きる


  選んだ道が 私になる

  この手で この心で

  未来を 描いていく


---


少しずつ日が高くなる。瓦屋根に反射して、スマホの画面みたいに眩しい。


《戦現学園・安土校》―石垣と天守閣つきの校舎。庭は迷路のような枯山水の石庭。


ひとりの女学生が校舎に入っていく。


「ヒナギクァァァ…?時間通り、ですねー」のカゲマルの声に振り返るヒナギク。


制服は完璧。髪も着こなしも整っていて、優等生メガネが朝日にきらめく。

「おはようございます、カゲマル先生」

その声は、もう迷っていない。


そこへ屋根の上に設置された釣鐘めざし、坊主頭の男がゆっくりと歩いてくる。


袈裟の内側から懐中時計を取り出す。

…そろそろ始業を知らせる予鈴の時間だ。

この鐘を鳴らすのは、彼の役目。


一拍おいてから、釣鐘の紐を掴む。

前後に軽く揺すり、鐘を打つ。


鐘の音が校庭に響き渡る。

坊主頭は一礼し、「ナームー」

彼の今日の仕事の始まりだ。


校庭には金ピカのマントを羽織った、威厳のある全身金ピカ織田信長像がスマホをかざして立っている。


もう片方は風車。くるくる回っている。カラララ…と音が鳴る。


茶せんちょんまげ、ヒゲをはやしている。

陽の光をいっぱい受けて金ピカに輝いている。


スマホ画面には「もーいいかい、まーだだよ」と金文字で刻まれている。


ヒナギクが校舎の奥へと歩いていく。

カゲマルはその背中を見送りながら、静かに呟く。


「選んだか……ヒナギク。お前の道を」


---完ぺきに終わり。


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