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9話 異世界の「異」は、異常の「異」

安楽椅子のことを安楽死させるための椅子だと勘違いしてた人は他にもいるはず…はず……


 知らない天井だ…




コレ何回もやってる気がする。


 そんなことを考えながら体を動かそうとすると、

うまく動かない。いや、それどころかビクともしなかった。

 上を向いていた頭を首の痛みと共にバキバキ言わせながら下げると、

感触通りベルト状の黒くて長い物で、体を椅子にグルグル巻き縛り付けられていた。


 「うそぉ…」

思ったよりカッサカサな声だった。


 首も結構痛いし、意識を失ってからそれなりに時間が経っているらしい。

 

…やっと明るい所に来れたと思ったらこれかよ



「あっやっとおきました?」


 ソレ流行ってんの?



 再び頭を上げると、安楽椅子から女性が立ち上がり、こちらに駆け足で向かってくる。


 身長は高めで、手足も長く、なんだか特徴的な服装をしている。しかし何より特徴的なのはその

「気分はどうですか?便意や尿意は?喉は乾いているでしょうか、

 あっ、お腹は空いていますか?

それと、何かしたいことはありますか?

なんでもいいので行ってみてくださいね?ええ、

 あと現在の感情も知っておきたいですね、

なにかあの場所から連れてこられて変わったとこなどはありますか?それと…」


 出会って5秒で質問攻め、DQ5である。

最悪だ、多分会話通じない系の人だなこの人。

 間違っても花嫁に貰いたくはない。



 だんだんと状況がつかめてきたぞ………

 

 たしか昨日、ラークスさんが買われて、

そんでいつもの不味い飯食って、復讐を誓って、シャワー浴びて、コイツに電流を浴びせられたんだ…………


「…やっぱりその黒髪と黒目って生まれつきですよね?

私のことって知ってたりしますか?

 ええ、そこまで有名という訳ではありませんが、

別に知られていたとしてもおかしくはありませんからね、それで…」


 …まだ喋ってやがる、

……………おうちに帰りたい








「ところで、異世界からこちらに来て、なにか変化とかありましたか?」


!?


 勢い良く反応した俺に少し目を開きながらも、

質問をする声は、少し熱を増したように感じた。


「あったんですか?変化。

それならば是非教えてください。興味あります。

 ええ、聞かせてください!」


 興奮した様子で顔を近づけてくる。


 …近い


「い、いや、そんなことより、なんで俺が異世界から来たって思ったんだ?…で、ですか?」

 疑問に思ったことを素直に聞いてみる。

すると女は、まるで脊髄反射のような俊敏さで、

質問への回答を喋り始めた。


「ええ、それはですね?異世界から来たとされる人間の

多くは黒髪黒目であるとされているからですよ。

 現在この世界でも、黒髪だったり黒目をした人間が

そこそこの数いますが、そのほとんどが以前来た異世界人とここの人間との間にできた子孫であり、

その証拠に髪や目の色も薄くなっているんです。」

「また、稀に異世界人を名乗る者も現れ、

…私も一度騙されたことがあるのですが、

そういった者たちは魔法や塗料などで髪や目を黒に染めたりするのです。

 ちなみに私が貴方に放った電撃はそれを確かめるためのものでして、ええ、もう2度と騙されたりしないように

作った物なのですよ?」


 ここまでの長文を一息で言い切ると、流石に疲れたのか、少し長めの深呼吸を挟んだ。


「それで、あったんですか?変化。どうなんですか?

もったいぶらずに教えてくださいよ、

 ねえ、聴きたいです、知りたいです!」



 すっげぇ喋る


 …とりあえずこちらも質問に答えるか。


「ええっと、特に変化はないですかね。ただ…」

「力は天使から与えられてそれなりのものになっている。 ですよね?知ってます、知ってますよ!ですよね!」


「あ、あぁ……そうっすね…」

やはり会話のキャッチボールをするのが苦手なようだ。

 おそらく本人は気づいてないけど…


「特に変化がないってことを知れただけでも、充分な成果ですよ?

 なるほど、いやはや、知ることって楽しいですね?

もっと、さらに、まだまだ、貴方の事、知りたいです!」


 

 女からの質問攻めは続きそうだ…


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