7話 ここはどこ?私はクソ雑魚ヒキニート。
視界いっぱいを白が埋め尽くす、
ただ、人間を別の世界に移す、あの無機質な部屋とは違い、なんだか少しごちゃごちゃしている。
あれだ、あれに似てるんだ、えーっと、
この前たまたま見たんだよなー。
ついこの前別世界に移したやつが死ぬ前に見てたんだよ。
そうだ、あれだ、光の剣をぶん回して戦う宇宙の戦争の映画だ。あの敵国の宇宙船の内部に似ているんだ。
「あーすっきりしましたー」
なんだか気分が良くなり背中の羽を小さく羽ばたかせると、不思議と今日の仕事がいつもより頑張れる気がする。
よーっし、今日も一日中がんばろー!
心の中で意気込み、職場となっている部屋に入る。
「おはよござまー!我らが地球人君の異世界生活初日は
どうでっかー?頑張ってるー?
それとも美人エルフかなんかに引っかかってなんも進歩してなかったりしますー?
まぁ恋愛経験とかなさそうでしたし、
じゅーぶんありえそーですよねー!ハハハハ!」
「奴隷落ちしてます」
「へ?」
同僚の言葉に耳を疑う、タブン聞き間違いかな?
「えっとー、ごめん、なんだって?」
「ですから地球人さん、奴隷落ちしてます」
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知らない天井だ。
周りを見渡すと、なんだか薄暗く、少しカビっぽい匂いがする。
異世界転生のテンプレ的にはこういった時
美少女の家のベットで寝かされていたりするんだろうが、
こんなとこで美少女が、
「あっ?やっとおきた?」とか駆け寄って来たりはしないだろう。
まぁ汚部屋ヒロインってパターンもあるかもしれないが。
つか俺、なんでこんなところにいるんだ?
うーん…
ここに至るまでの記憶がおぼろげだ…
地球で死んで、異世界に転生したということは覚えているんだが。
ただ、なんとなくゲスゲス言ってたやつはいた気がする、えーっとそれで……
「あっ?やっとおきた?」
ゲス口調の男、略してゲス男から記憶を探ろうとしていると、声をかけられる。
どことなく覇気があり、低くて渋い声でだ。
声のした方をむくとそこには…
鍛えられた身体を惜しげもなくさらけ出している、
40代後半くらいの半裸のオッサンがペタンと座っていた。
誰なんだ…
「いやー、ずっと眠ってたから死んじゃったのかなって
ビックリしたよ、生きててよかったー。
とも言えないのかな…」
白い歯をキラリと輝かせてこちらに親しげに話しかけてくる。
どうやら敵意はないようだ。
色気溢れる、彫りの深い顔に、人の良さそうな笑みを
浮かべている。いわゆるイケおじというやつだろうか。
髪の色は金髪で、あの天使のものほどとは言えないが、サラサラで綺麗に整えられていた。
「え、えーっと…こ、ここはどこであなたは誰なんでしょうか。あの、ちょっ、ちょっとここに至るまでの記憶があいまいでして………」
そんな俺の問いを聞いた男は、少し哀れみを込めた眦をこちらに向け、
「私の名前はラークスだ、よろしく。そしてここは、
これから売りに出される奴隷達の生活スペースだよ」
と、そんなことを言った。
…………………………………………は?
短めですいません…
異世界転生初日終了です!
そして奴隷販売店編スタート!