見えない世界
僕の見えている世界は他の人には見えない。
僕は他の人が見ている世界がどうなっているのか知らない。生まれた時から頼りになるのは音だけ。外の世界でなにが起きてるなんて完全にはわからない。でも知りたいなんて思うことはない。そう思っていた。
僕は進級して高学年と呼ばれるようになった。今年からクラブ活動や部活動が始まるからかいつもより明るい声がたくさんある。その時聞こえた、きっとこの学校で一番明るくて高い声が、「あー!新しい席があるー!きっと転校生だよね!どんな子だろー!」その声と同時くらいに周りの声がもっと明るくなった。どんな子だろ?仲良くなりたいそんこなことが聞こえた。
でもあいつみたいだったら嫌だよな。そんな声がした。視線が来たような感覚がする。誰かの足音が近づいてきてる。逃げれるなら逃げたい。でも逃げれない。体が動かない。「そう思うよな?」そう言われた。この声はクラスで一番強い子の声だ。「そうだね。ごめんなさい。」僕は本当のことを言えない。そんなこと言わないでなんて言えない。ただ早く終わるのを願うしかない。「お前ら席につけー」先生の声だ。どこか優しくて安心出来る。「先生ー!転校生くるのー?」そんな声があちこちから聞こえる。先生はにが笑いをして「はいはい。静かにしてな。ホームルーム終わってから紹介する気だったけど今やるか。」
一瞬静まった空間がまた賑やかになる。「入ってきて良いぞ。」その声の後にドアが開いた。転校してきた子だ。自己紹介してくれ。と先生が言った。普通転校生がきたらコツコツとチョークの音がする。でも今はしていない。なんでだろう。そう思った途端に「えー!もしかして障害者ー?仲良くしたかったのに」そう聞こえた。あぁこの子もなのか。かわいそうだこのクラスじゃなければきっとよかっただろうな。「黙ってもらえる?俺の時間なんだけど。」低くて力強い声。一気にしーンとした。
俺の名前はライヤ。お前らとか変わる気ないから話かけんな。
は?なんのと明るい声に強さが入った。
一限が始まるチャイムがなった。
あーライヤの席窓側の開いた席だから。と先生の声。窓側、僕の近くの席か。まあ僕はクラスに友達なんて居ないから別にどうでも良い。
ん、よろしく、俺らいや。ライって呼んでや。さっきと違って優しい声がする。
え?さっき関わる気ないって言ってなった?咄嗟に出た。
ああそれはあいつらにだよ。お前目見えねえんだろ。俺が支えるから。俺障害無いから。あいつらの勘違いだから。
そうなんだ。ありがとう。そう伝え僕は先生と共に放送室に向かった。