1話 自然の町リーフ
この町は『自然の町リーフ』と言い、
とても自然に溢れている町で歩いているだけで気持ちがいいです。
建物はほとんど木造で出来ており、川は透き通るほど綺麗で魚も泳いでいます。
観光しながら歩いていると、露店で美味しそうなパン屋がありました。
小腹が空いてきましたね、何か食べましょう。
「クロワッサン一つください」
「銅貨一枚ね、毎度あり!」
クロワッサンを食べながら歩き、町の風景を楽しみました。
少し歩き疲れた私は公園の露店でサイダーを買い、
近くにあったベンチに座りました。
「のどかでいい所ね」
ゆっくりサイダーを飲み終わり、再び観光をしようと思った時に、
公園で泣いている女の子を発見しました。
どうしたんでしょう?ほっとくわけには行かないですね。
泣いてる女の子の元へ向かいました。
「どうしたの? 大丈夫?」
女の子は涙を流しながらこちらを見て、話してくれました。
「大切な髪留めを落としたの、うぅ・・・」
「どんな特徴をしているの?」
「蝶々が付いてる髪留め・・・」
「お姉ちゃんが一緒に探してあげるから泣かないで、きっと見つかるよ」
「うっ、ぐうぅ・・・うん」
女の子と一緒に蝶々の髪留めを探しました。
初めは道端に落ちてるか見てましたが、先程座っていたベンチに光っている物があったので確認に行くと、ベンチの端っこに女の子が言っていた蝶々が付いてるクリップを発見しました。
もしかしてこれでしょうか?女の子の元へ駆け寄りました。
「もしかして、これかしら?」
私は手のひらを出し、女の子に蝶々のクリップを見せました。
「これなの!何処にあったの?」
「ベンチの上に置いてあったよ、これからは落とさない様に気を付けてね」
「うん、ありがとうお姉ちゃん!」
女の子は笑顔で手を振ってトコトコと走って行きました。
探した甲斐がありました、良かったです。
さて、次は私の宿屋探しですね。
探したら近くにありましたので助かりました、
扉開けたと同時にチリンと小さなベルが鳴りました。
「いらっしゃいませー・・・」
物静かな男性の店主が受付場所にいました。
「・・・何泊しますか?」
「1泊お願いします」
「 1泊、銀貨1枚になります・・・」
私は銀貨1枚を払い、案内された部屋に入りました。
見るとやはり自然に溢れてる部屋でした。
家具も全て木造で出来ており森の香りがします、
これなら疲れが取れそうですね。
何かをすることもなく、部屋の中でゆっくりと過ごしました。
外が暗くなりお腹が空いたので、
宿屋を出て露店で晩ごはんを食べることにしました。
この町の名物を店主に聞いたら、
フィッシュバーガーが名物と言われましたので、
そちらを食べてみたいと思います。
沢山並んでいる露店の一軒に『フィッシュバーガー売っています』
という看板がありましたので早速買いましょう。
「すいません、フィッシュバーガーを一つ下さい!」
銅貨を三枚払った私は、露店の向かえ側に置いている
テーブルの席に座って一口食べてみました。
「あら、凄く美味しい!」
魚とは思えないほどジューシーですね。
他にも美味しそうな食べ物が露店で売っているので、
色々と食べてみました。
どの露店も美味しいものばかりでした。
お腹いっぱいになったので宿屋に戻り、シャワーを浴びてから寝ました。
○
翌朝になり旅の準備を済ませたので、町を出ようとした時です。
私が昨日髪飾りを探してあげた女の子がいました。
女の子は私に気が付いて、トコトコと駆け寄って来ました。
「昨日のお姉ちゃんだ!私、お礼がしたくて探していたの!」
「私にお礼を?」
バックからお菓子を両手一杯に取り出して、
私にプレゼントしてくれました。
「全部あげる!」
「こんなにいいの?ありがとう・・・」
私は女の子の名前を言おうとしたが、名前を知らない事に気が付いたので尋ねました。
「そういえば名前を聴いてなかったね、お名前は?」
「私、ミウっていうの!お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんの名前はリリーよ。お菓子をありがとうね、ミウちゃん」
「うん!またね、リリーお姉ちゃん!」
ミウちゃんは笑顔で両手を振ってお別れしました。
お礼がしたくて私を探していたなんて、健気で可愛い子ですね。
町を出ると何処までも広がる草原が靡いてます。
私は背伸びをしながら言いました。
「ん〜・・・気持ちのいい風ね」
私はポケットの中に手を入れて、女の子から
貰った飴を取り出して口の中に入れました。
さて、旅の続きをしますか。次こそ理想の男性を探すために。
次回は良い出会いがあるかも?お楽しみに!
火曜日は夕方頃に2話目を投稿し、翌日はお休みの予定です。