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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-12「星々、闇に隠る」
95/534

消える星、地上を駆ける星

「──っ!!」


 痛みに耐えるように、私は奥歯を噛み締める。そして。


()()()()()()?」


 決して背中は見せず、()()()()()()()()()()()、また目を見開く。


 これは……やっぱり……。

 ──未来を、読まれている。


 今度は怯まなかった。地面を蹴って、理事長室から出ようとする。……が、しかし。


 目の前で動く理事長先生の方が、早かった。あっという間に私の前に降り立ち、私の首を、掴む。

 そのまま、私は壁に押し付けられた。


「が、っ、はっ」


 息が詰まる。締め上げられて、声も出ない。首を掴むその手を掴み、必死に抵抗するが……そこは男と女の、そして、大人と子供の体格差だ。びくともしなかった。

 体が酸素を欲しているのが分かる。しかし上手く息が吸えない。……意識が遠のく。嫌だ、駄目だ、そう繰り返しても、現状は変わらない。むしろ抵抗する力は弱まるばかり。


 ……この人の手を、「A→Z」で、消してしまえば。

 そうは思うが……いや、それは、駄目だ。

 絶対。


「……やはり君は、異能力は強いが、その利を何1つ理解していない。まあ君は極力戦闘を避けてきたようだからね。無理もない話だ」

「……っ、……!」

「最期に教えてやろう。君の弱点は3つある。……1つは、目視出来ない攻撃への反応が遅れること。2つ目に、消す対象物が多いと全てに対処出来ないこと。最後に、『A→Z』と『Z→A』は同時に使用出来ないということだ」


 そう言うと同時、私の首を絞める手の力が、更に強まる。遂に視界もぼやけてきた。醜い足掻きに過ぎないだろうが、私は理事長先生の手を掴む、そして、引き剥がそうとする。……が、もちろん何も出来ない。

 すると理事長先生の高笑いが、鮮明に聞こえた。失われる意識の中、不思議とその声はよく聞こえた。


「無駄だ、この手袋には、異能力を打ち消す効力がある。異能力妨害室と同じ技術だ。……この手袋が覆っている範囲にしか効力は無いが、今の君には、これで十分だ」


 手から、力が、抜けていく。駄目だ、ここで意識を失っては、駄目だ。

 だめ、なの、に。

 するりと手が解け、重力に任せて下に落ちる。それに合わせるように、全身からも力が零れ落ちる。そんな感覚がする。



 遂に私は、意識を手放した。



 ──


 校内を走る言葉に襲い掛かるのは、様々な異能力。そこに統一性の欠片もない。肉体1つで飛び込んでくる生徒、そこら辺にある物を操ってこちらに飛ばしてくる生徒、水を生成して窒息させようとしてくる生徒……その暴力の集団に、言葉はまとめて。


「……ああ、もう……うっせーーーー!!!! 鬱陶しいーーーー!!!!」


 そう叫ぶと、容赦なく異能力を振るった。生徒会長の本気を前に、誰も敵わない。ギッタンバッタン倒す、という表現がまさに正しかった。とにかく倒す。今の言葉は、地上を駆ける流星だった。

 それでも次々と湧いて来る生徒たちを前に、言葉は忌々し気に舌打ちをする。こちらは一刻を争うというのに。だが、暴走していないとはいえ、全員を説得して行くには……時間がかかりすぎる。やはり申し訳なさはあるが、全員をぶっ飛ばしつつ向かうしかない。


 そんなことを考え、攻撃を繰り出しつつ、言葉はスマホを取り出した。器用に画面を片手でタップし、()()()()()に連絡を入れる。


「……あー、先輩!? ……うん、久しぶり久しぶり!! ごめん今ちょっと切羽詰まっててさぁ……うわっとぉ!? 危ないなぁっ、ッ!! ……何笑ってんの先輩!! こっちは大変なんだよぉ!? ……それで、用件だけ説明するね!! 学園で異能力犯罪者が好き勝手してる!! 仕事しに来て!!」


 電話の向こう側から返る、承諾の言葉を聞いて、言葉は電話を切った。それと同時、足元を掬うような攻撃が来たので、飛んで避ける。そして文字を操って網のようなものを作り……自分に向かってくる生徒に纏めて、上から被せた。

 身動きが取れなくなった生徒たちを横目に、言葉は再び学園を駆ける。


「……灯子ちゃんっ」



 短くその名を呼ぶ。出来れば無事でいてほしい、というか、そもそも……味方でいてほしい。そんな風に考えながら。


【第12話 終 第13話に続く】

 こんにちは、もしくはこんばんは。秋野凛花です。

 灯子、いつも大ピンチで終わっている……!? 笑


 ──


 灯子と言葉、それぞれの視点から展開されていきます。

 私、普段は一人称使いの人間なのですが、灯子が居ない時や灯子視点じゃない方が都合がいい時は、三人称を活用しています。

 登場人物が多いので、合理的に考えると三人称の方が適しているとは分かっているんですけどね……笑 でも灯子の心の中の声を聞いているのが楽しいので、こうしています。後は異能力者の常識とかを知らない……私たちと同じ視点から見てくれる人代表です。

 というわけで、次もそんな感じに一人称と三人称がごちゃ混ぜだと思いますが、よろしくお願いします!!


 ──


 大ピンチの灯子。そんな彼女に、ある「声」が聞こえて──?

 一方言葉も、灯子の元へと走り続ける!!

 そして2人以外も……?


 第13話で全てが終わります。それでは、また次のあとがきでお会いしましょう!!

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