動揺は見せず
「……そういえば灯子ちゃんは、勉強大丈夫なの?」
「勉強……ですか?」
「うん、もうすぐ、テストじゃん?」
ココちゃんがそう言って、持っていた数学の教科書をペラペラと振る。
確かに、もうすぐテストだ。この明け星学園のテストは、他の高校とは、やはりシステムが少し違う。……普通のペーパーテストと同時に、異能力を数値化して測定し、4月と比べ、どれだけ成長したのか、ということを見るらしい。これは成績に反映されず、あくまで測定に過ぎないらしいのだが。
……まあ、私は5月に転校してきたしたため、初回の測定には参加していない。実質、これが初めての測定となる。
ちなみに、それが終われば夏休み。そのことをモチベーションに頑張る人も多いのだろう。私は……。
「まあ……赤点を取ることはないかと」
「だよね。灯子ちゃん、頭良さそうだもん」
「いえ、そんな……たぶん、ココちゃんには負けます」
「どうかなぁ、次のテストで比べてみる?」
……なんか、この会話、すごく「友達」っぽいな……。そう思いつつ、ふと横を見ると、そこでは……持木くんが、ニヤニヤしながら私のことを見つめていた。
「……何ですか」
「いや。……本当に妹と友達になったんだなぁって、お兄ちゃん安心して」
「……そうですか」
改めてそう、第三者から言われると……何とも気恥ずかしさを感じる。動揺するほどのことではないが。
ちなみに横では、ココちゃんが露骨に顔を赤くして、照れていた。……本当に、この人のどこが怖いのだろう、と、見るたびに思う。
「そ、それよりっ!! ……ほら、灯子ちゃんって5月に転校してきたでしょ? この学園って、ただでさえ偏差値も倍率も高いし……転入なんて、もっと大変そうだから。きっと、よっぽど優秀だから出来たんだろうなぁって。だから、テストの点もどうなるか、気になるんだよね」
「……」
ココちゃんの、無邪気なまでのその興味に。
私は、黙った。
するとココちゃんは、あれ? とでも言いたげな表情を浮かべる。しまった、なんて内心反省し、私は口を開く。
「……私が優秀なんじゃなくて、この異能力が物珍しかっただけですよ。きっと」
「え、ええ……そうかなぁ……」
……自然に返せていただろうか。それだけを考える。たぶん、大丈夫……だと、思いたい。
窓の外に目を見やる。透き通った青い空が広がっていて、私の心は……途端に、憂鬱になる。
ああ、こんな日は、思い出したくもないことを、思い出してしまう。
記憶を隠すように目を閉じると、同時。
ドォンッ!!!! と、大きな音が響いた。
どこかで誰かが、今日も切磋琢磨しているのだろうか。そうは思ったが、何かが違う。
ものすごい出力だった。それは、そう、この学園の校舎全体を、揺らせてしまうほど……強い異能力者同士が。
ざわりと、なんだか、胸騒ぎがする。
こういう嫌な予感ほど、当たってしまうものだ。私はそう思うと、席を立って音のする方へ走り出した。後ろから、持木兄妹の戸惑ったような声が聞こえたが、無視をして。
私はただ、音の方へ走り続けた。
【第9話 終 第10話に続く】
こんにちは、こんばんは。秋野凛花です。
第9話も終わり!! 遂に次から2桁だ……!! (え? エピソード数はとっくに2桁行ってるって? ……知っとるわ!!)
──
テストの話が出たので、テストの話でもしましょうか。
秋野は……可もなく不可もなく、というところでしょうか。どちらかと言えば、頭いい寄りの平凡だったと思いますが……。
小学校低学年くらいまでは、自分が天才だと過信していました。その自信、どこから来るの? 今の私に分けてほしいんだけど? というくらいの自信がありました。まあ小学校のテストって簡単に100点取れますからね……。
ちなみにどうしてその自信が打ち砕かれたかと言うと、真の天才が現れたからです。学期末の学力テストで全教科90点台を取るような子でした。あれが天才だったんだ……。
──
というわけで、謎の轟音を聞いて飛び出した灯子。その音の先で彼女が見たものは……?
……まあ何となく予想は出来るかと思いますが笑
ではでは! 次は10話で会いましょう~!




