親友2人へ事情聴取
「ほんっとお前は……油断も隙もないな閃!!!! ……溌剌伊勢美、大丈夫か!?」
「……大丈夫です」
自称オカルト少女、墓前糸凌先輩だった。元のセーラー服にステンレス製の眼鏡、そして美しい髪を下ろしている。……きちんと(?)オカルト少女に戻っていた。
そんなオカルト少女、墓前先輩はと言うと、唯一ともいえる友人を、思いっきり足蹴りにしている。
「ちょ、ちょちょちょ!? 待っ、誤解っ!」
「で、お前は相変わらず事件の調査をしている感じか? あの腹黒生徒会長の指示で」
「スルーしないで!?」
「指示というか……一応、きちんと自分の意思で行動しています。……事件の調査っていうのは、正解です」
「灯子ちゃんも無視しないで!?」
墓前先輩に思いっきり踏んずけられている雷電先輩がうるさかったため、解放してあげてください、と言うと、墓前先輩は嫌そうな顔をしつつも、大人しく足をどけてくれた。……何だかんだいい人だと思う。
「ふぅ……ありがとう、灯子ちゃん……君には2度も助けられちゃったね」
「いえ、それほどでも。……ついでですから、墓前先輩にも話を聞かせてほしいのですが」
「うん、いいよ」
雷電先輩の感謝もそこそこに、私は話を聞く相手を墓前先輩に切り替える。何でもどうぞ、と墓前先輩は髪を揺らしつつ微笑んだ。
それに甘んじ、私は少し悩んでから口を開く。
「じゃあ……体育祭のあの時、私が到着する前の状況を」
「……あの場で少し話したとは思うが、その前までは普通に話してたんだ。でも、突然やかましいこいつが珍しく静かになり始めたと思ったら……」
「お前も十分やかましいと思うけど?」
「私もそう思います」
「別に俺はうるさくないだろ!!」
……今すぐ音量測定器を持って来てやろうか、と思ったが、話が進まないのでここはスルーすることにした。
それで? と話の先を促すと、墓前先輩は咳払いを1回する。
「……静かになったと思ったら、突然、逃げろって言われて突き飛ばされた。……そのすぐ後、雷が止まなくなった。……そこに溌剌伊勢美、お前が来た。……そういう顛末だ」
「……なるほど」
疑っていたわけではないが、雷電先輩との話と食い違う点もない。……この2人から得られる情報はない……か。
「……何かおかしなことが起こったとか、そういのはありませんか?」
「んー、無かったと思う……」
「俺も。前触れは、何もなかった」
「そうですか……」
私はそう言ってから、少しためらいつつ、口を開く。
「……瀬尾先輩と、聖先輩について、何か知っていることは?」
「「?」」
2人は同時に不思議そうな表情をして、顔を見合わせた。……まあ、確かに……突然他の人の名前が出るのも、不思議な話だとは思うが。
「……瀬尾先輩って、風紀委員会の委員長だよね。で、聖先輩は、その幼馴染の美人さん」
「……そうです」
「……あの2人は有名人だから、俺でも知ってるが……俺たちは学年も違うし、特にそれ以上に知ってることはないな。……閃は?」
「俺も。……その2人が、どうかしたの?」
「いえ、それは……答えられません」
雷電先輩に聞かれたが、私は首を横に振る。……私の一存で、変に情報を広げない方がいいだろう。例えその相手が……まあ……少し仲のいい先輩、だとしても。
私の勝手な言い分に、2人は納得してくれた。詳しく聞かないでいてくれる。それはとても、ありがたかった。
そしてこれ以上聞くことが、考えたけどなかった。だから私は協力ありがとうございました、と頭を下げる。
「気にしないで。可愛い女の子からの頼みだから……いでででっ!」
「また何か手伝ってほしいことがあったら、遠慮なく言ってくれ。……俺とこの異能が、必ず役に立ってみせるからな!」
「……はい」
雷電先輩の耳を思いっきり引っ張る墓前先輩、痛みに顔をしかめる雷電先輩。相変わらず仲のいい様子の2人を見て、私は小さく頷いた。
……無意識に、小さく微笑んでしまったことに、私は気づかなかったけれど。
ちなみに別館から滅多に出ない墓前先輩が本館に来ていた理由は、一応所属している装飾部に作品を提出していたから。そしてそこからの帰りに、私たちを見かけて来たらしい。その提出した作品というのを見たい! と騒ぐ雷電先輩を連れ、墓前先輩は被服室に戻っていった。
……本当に仲のいい2人だ。
そう思いつつ、私は再び廊下を歩いていった。そして聞き慣れた声がした気がして、1つの教室を覗く。そこには……。




