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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-8「激闘!! 体育祭【後編】」
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迫りくる妨害の嵐

 前回までのあらすじ。


 私、伊勢美いせみ灯子とうこは、異能力者が何らかの人物によって操られ、暴走してしまう、という事件の犯人を突き止めるため、明け星学園の生徒会長である小鳥遊たかなし言葉ことはと共に、事件調査に当たっていた。

 その際、重要な人物を持っていると思われるひじり偲歌さいか先輩に、体育祭の機会に接触するのを試みた、が、私は聖先輩の異能にやられ、倒れてしまう。

 そのせいで言葉ちゃんは聖先輩に対して怒りを露わにするし、私はクラスメイトである持木もてぎ心音こころねさん──通称ココさんと気まずくなってしまうし、言葉ちゃんと二人三脚で優勝しないと進級が危ういと言われるし、もう何が何だか……。


 ひとまず、1つ1つ確実にこなしていくしかない。まずは二人三脚で好成績を残さなければ。そう決心した。


 ──


 そういうわけで私は、ピストルの合図とともに言葉ちゃんと共に飛び出す。出だしは、自分でも驚くほど息が合った。私と言葉ちゃんは少し身長差があるが、そんなことも気にならない。私の腰を抱く言葉ちゃんの手が、温かくて、しっかりしている。


「とーこちゃん、良い感じ!!」

「……はい」


 私は微かに息を切らしながら返事をした。分かっていたことだが、私と言葉ちゃんでは、体力に差がある。私は少し走っただけでこのざまだ。……長期戦は避けたい。

 今のところ、1位は墓前はかまえ先輩と雷電らいでん先輩のペア。その次に私たち、その後ろに他の3組……と続く。申し訳ないが後ろの人は誰1人として名前を知らないので、紹介は割愛させてもらおう。


 墓前先輩・雷電先輩ペアを追いかける形で、私たちは走っていく。……やはりこちらは女子同士ペア。対して向こうは、男子同士ペアだ。そもそも歩幅が違う。これを追い上げるのには、よっぽどの体力と忍耐が必要……。

 ……しかもただ黙って追い上げられたらいいのだが、そうもいかない。


「──ッ!!」


 キィィィィン、と、後ろから飛んできたのは、良く分からない音。頭に、重く響く──!!


「とーこちゃん、超音波!! 波を意識して、消して!!」

「は……いっ」


 言葉ちゃんに指示されるまま、私はイメージする。自分の鼓膜まで届く音の波を。そして音というものは、同じ周波数のものを飛ばすと、相殺されると聞いたことがある。音を理解する。それをそのまま自分のものにする。そして……。


「……!!」


 私は手を後ろにやり、同じ周波の超音波を飛ばす。すると不快な耳鳴りのような音が、消え失せた。


「僕の分まで消してくれてありがと!!」

「貴方に倒れられたら、共倒れですからね……っ」

「まあ僕は耐えられたけど……」


 なんか一蓮托生みたいでいいね~、とお気楽に笑う言葉ちゃん。思わずイラッとした。何だこの余裕は。しかも耐えられた、って……生徒会長様は、一般の人とは鍛え方が違うらしい。


 1組はそのまま、お返しした超音波の振動を更にかさませることで、動くことが不能な程度の耳鳴りを与える。案の定、私たちに超音波を飛ばしてきた1組は、座り込んで動かなくなってしまった。まずは1組、足止め完了。


 私が一瞬だけ気を抜いた、その瞬間……目の前に、何かが現れた。それは私たちの走る方向にそびえたち、この勢いだと、避けられず、正面衝突──。


「よっと!!」

「!!」


 ぶつかる、と思った瞬間、言葉ちゃんが強く私の腰を抱いて……真横に飛んだ。と思ったら、着地地点に置いていた文字を踏んで、前方に軌道修正。そしてそのまま走り続ける。

 微かに後ろを振り返ると、私たちの行く手を邪魔したのは……午前の大玉転がしで使われていた、大玉だった。何であんなところに、突然……。


「物質移動系の異能力者、そして、未来予知の子たちだね」

「……何で分かるんですか」

「この学園全員の顔と名前と異能力、一致させてるから」


 あ、そうですか……と、もう返事をする気すら起きなかった。というか、会話に体力を使いたくない。

 私たちのピンチに沸き上がる観客。不幸を喜ばれているようで癪だ。だがその一方、会長たち頑張れ~!! という声も聞こえる。……本当に言葉ちゃんは、人脈があるんだな……。

 そう周りを窺っている間にも、行く手を塞ぐように物が次々に飛んでくる。不規則にジグザグと走っても、そこを予知した様に物が現れる。いや、した様に、じゃなく……しているんだろう。


『さあレースも白熱してきました!! 会長、転校生ペアの行く手を阻むように現れていく物、物、物……!! ちなみにこれは、直接当てにいるわけではないため、ルール的にはセーフだそうです!!』


 逆に、当てにいったらアウトだと……。そんなことを考えつつも、私は無心に走る。横から指示はない。だが私たちの息はぴったりだった。かけ声がなくとも、どう走れば、上手く進めるかが分かる。そうそう転びそうにない。


「とーこちゃん……」

「……」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、消していーよ」

「……」


 一瞬だけ彼女の顔を見上げた私は、すぐに黙って前に視線を戻す。……生徒会長から許可が下りたのだ。……ぶっぱなしていいのだろう。

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