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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-7「激闘!! 体育祭【中編】」
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「君だからいいんじゃん」

 そんな話をしていると、私たちの番がやって来た。横には墓前先輩と雷電先輩のペア。それ以外にもペアは3組。合計5組でのレースとなるらしい。

 私はその場に屈み、支給された紐で私と言葉ちゃんの足首を結び留めた。外れたら失格だから、きちんと結んで。



『さあ二人三脚も、最後のレースとなりました!! 今レースの注目選手は、何と言ってもこの明け星学園のエース、小鳥遊言葉生徒会長!!』



 その放送に合わせ、わああああ、と歓声が上がる。その後視線が集まるのは、もちろん私の真横にいる言葉ちゃん。彼女は慣れた様子で辺りを見回すと、軽く手を振った。イケメンアイドルみたいだ。キャーッ、という悲鳴も集まっているし。


『そしてそのペア、明け星学園の超新星、伊勢美灯子!!』

「え、私も」


 まさか私まで紹介されると思わず、思わず数秒固まる。すると言葉ちゃんがいつまでも屈み続ける私のことを引っ張り上げると、優しく微笑みかけてくれた。

 だから私は少し恥ずかしく思いつつ、小さく頭を下げる。……もちろん言葉ちゃんより歓声は少ないが、一応、盛り上がってもらえた……と、思う。

 ……思わぬところで目立ってしまった……。恥ずかしい……。

 というか超新星って何だ。初めて聞いたんだが。


『さて、改めまして競技ルールを説明しましょう。


 基本ルールは同じ。2人で息を合わせてゴールまで向かい、体が先にゴールを超えたペアの勝利です。2人を繋ぐ紐が切れたり外れたりした時点、そして、過度なコースアウトをした時点で、失格となります。

 そして異能力の使用に関してですが、他の選手に危害を加えた時点でも、失格になります。ただし、怪我さえさせなければ、レースの妨害は認められています。ペアと協力し、勝利を目指せ!!』


 放送によるルール説明が入り、私はぼんやりとそれを聞く。……怪我をさせるのは駄目だけど、妨害はOK……。


「……何か作戦とかあります?」

「まあ、君もあるって顔してるよね」

「……」


 私たちは顔を突き合わせ、軽く作戦会議をする。まず出すのはどちらの足か。どの場面でどう立ち振る舞うか。その他、色々。

 最後に言われたのが。


「とーこちゃん、僕らは優勝候補だ。そしてお互い知名度もある。……裏を返せば、僕らさえレースを失格にさせられれば、優勝のチャンスが生まれる、ということだ。……一番狙われるのは、僕たちだ。くれぐれも妨害を躱そうとして、怪我をさせないようにね」

「……はい」


 やはり腐ってもこの学園に3年目の先輩。こういうことは熟知しているらしい。……。

 ……3年目。つまりこの人は……最後の体育祭なのか。

 スタートラインに立つ。私は隣に立つ言葉ちゃんを横目で見て、問いかけた。


「……良かったんですか」

「ん?」

「最後の体育祭のペアが、私で」


 きっとこの人は人脈が広い。この人と走りたかった人も、言葉ちゃんだって組みたい人もいただろう。


「……何言ってるの」

 その声に顔を上げる。言葉ちゃんは、微笑んでいて。



「君だからいいんじゃん」



 その言葉に私は目を見開き、見つめていられなくて、俯く。よくもまあこの人は……恥ずかしいことをぬけぬけと……。


「……恥ずかしい人ですね」

「恥ずかしくないもん!? 事実だもん!? 何でそう言われなきゃいけないの!?」

「あーもう、うるさいです……黙ってください……」

「ひっどい!!!!」


 とりあえず、いつもの調子に戻ったようだ。言葉ちゃんは明るく笑い、私からの悪口に泣いている。一方私は、そんな彼女にため息を吐いて。


 ……やらなければいけないことは、沢山ある。


 言葉ちゃんの説得、ココさんと話しに行く聖先輩とももう一度話したい。……いや少ないけれど。1個1個の負担が大きい。……私だけで回せるか、正直、自信はない。

 でも、やらなくては。

 ……そのためにもまずは、この二人三脚で四組を蹴落として、優勝しなければならない。進級のためにも。



 スタートの合図のピストルが放たれる。私たちは一斉に、その場から走り出した。

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