表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明け星学園  作者: 秋野凛花
1-6「激闘!! 体育祭【前編】」
51/534

ごめんなさい、

 ──だから私は、油断してしまっていたのだろう。



 また聖先輩はメモ帳に何かを書き始める。長文を書いているのか、その時間はとても長かった。

 やがて聖先輩は、私にゆっくりそれを見せる。私はその文に、目を通して。


『ボクには大切な人がいる。きみの言っていたように、じけんのかいけつは、大切な人を守ることになるんだろうね。たしかに、ボクは少しだけ、知ってることがある。でも、それはおしえられない。ごめんなさい』

「え……」


 まさか、本当に知っていることがあると認められるとは。そして、断られるとは。

 これは、どうにか問い詰めないといけない。でも、どうすれば……。そう思いながら私が、顔を上げると。



 聖先輩が、微笑んでいた。


 とても、悲しそうに。



 その表情を見ただけで、私は固まってしまう。体が、動かない。目が離せない。聖先輩から。この……今目の前にある、この世で最も美しいものから。

 聖先輩が、薄くその唇を開く。息の通るか細い音が、何故か私の鼓膜を激しく揺らす。頭が、くらくらする。自然と息が荒くなる。これは、分かる。これは、この状況は、まずい。

 逃げなければ。



「……ごめんなさい。少し、眠っていて」



「──ッ!!」


 息を呑む。まさかこの世に、これほど美しい声があるのか。……違う。思考がままならない。もっと聞いていたい。眠い。駄目だ。ここで、意識を失っては……。

 混乱した思考の中、気づけば目の前は床だった。遅れて、脳が体の痛みを認識し、訴えてくる。床に打ち付けたところが、痛い。でも、体に力が入らない。立ち上がらないと。私しかいないんだから。私にしか出来ないんだから。動け、動け……ッ。

 しかし、無情にも瞼が落ち始める。意識が沈んでいく。暗い暗い、水の底に。そんな感覚がした。ああ、駄目だ。逃れられない。あの、美しき怪物の歌声から。


 セイレーン。ギリシャ神話の怪物の名前。歌声で人を惑わし、海に引きずりこむ。

 だったら私はまさしく、セイレーンの歌声に魅了され、海に沈んだまぬけな人間だ。



「……ごめんなさい、とうこちゃん」


 大切な人を、ボクに守らせてください。





 意識が途切れる間際、そんな怪物の儚い願い事が、聞こえた気がした。


【第6話 終 第7話に続く】

 こんにちは、もしくはこんばんは。秋野凛花です。

 第1章第6話、「激闘!! 体育祭【前編】」はどうでしたでしょうか?


 ──


 前話のあとがきで、学校と言えばイベント!! と言いましたが……皆さんはそういった学校行事は好きでしたか?

 まあ皆さん予想はしていると思いますが、秋野は好きです。

 今回体育祭の話なので、体育祭を例にとって喋ります。秋野、運動は得意ではありません。リレーとかで走ると、文字通り足を引っ張るタイプです。

 ですが体育祭は嫌いではありませんでした。私はイベントの雰囲気、非日常感というものが大好きなものでして、そういうのを感じ取れるだけで十分楽しかったです。息を合わせた集団行動をしたり、好きな人が騎馬戦に出ているのを応援したり。楽しかったなぁ。

 もちろんダンスとか以外の競技はボロクソでした。聞かないでください。


 ──


 第7話は体育祭編中編。聖偲歌の異能力に倒れた灯子。果たして、やること山積みな灯子はどうなるのか……?


 中編です! こんなに長くなると思わなかったのに……。

 今回はキャラ紹介などはなしです。次の話から第7話スタート!!


 それでは、次は第7話でお会いしましょう!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ