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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-6「激闘!! 体育祭【前編】」
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対等な友達

「……失礼だけどさ、伊勢美、お前って、人生でそんな友達いなかっただろ」

「……ええ、まあ」

「心音もなんだ。昔から人に対して心を閉ざして、しかも目つきが怖いとか、口調がキツイとか言われて、余計人と関わる機会が、なくてさ」


 ……ココさんは言っていた。異能力のせいで気味悪がられたと。人の汚い部分を沢山知ったと。

 でも持木くんのお陰で、変われた。


「だから俺さ、嬉しかったんだ。心音が、俺以外にも、信頼出来る……友達が出来て」

「……え、誰ですか」

「え、お前」

「え?」

「え?」


 意味もなく、同じ言葉を繰り返してしまう。一方、持木くんも同じように聞き返し、キョトンとしていた。


「……友達、だったんですか、私たち」

「……俺にはそう見えてたよ。今も」

「……」

「お前らってほんと、似てるよな。心音も、お前のこと、友達って言っていいのかって……毎日のように悩んでる」


 ……友達って、何だろう。ずっと考えている。

 確かに、少しは仲良くなった。それは認める。でも、果たして、友達と呼んでいいのか……。


「伊勢美、友達ってさ、別に基準とか無いんだよ。何かさぁ……そういうのって、感じるものじゃね?」

「……感じる……」

「そして心音の場合はさ……お前のこと、自分より『上』だと感じてるんだ。だから、友達っていう、対等なものになれるかって……悩んでる」

「上、って……」



『灯子ちゃんは、すごいね』

『……そうやって色んなところで活躍して、色んな人の役に立って、しかも会長に見初められてて、認められてて、しかも会長に対して、言葉ちゃん、なんて呼んだり……あたしは恐れ多くて、とてもそんな風に出来ない。……緊張しちゃうし』

『……灯子ちゃんは、強いね……』

『……あたしは……そんな風に、なれない』



 ……どうしよう。割と覚えがある……。

 私が上なわけがないし、私の方が、ココさんを見習わないといけない点が多い。

 でもそれは、あくまで私の主観で……ココさんの考えは、また違う。


「だからさ、お前から教えてやってほしいんだよ。2人は対等だって。……それでさ、ちゃんと喧嘩してくれ。じゃないとずっと気まずいままで、仲直りも出来ないだろ?」

「……」


 それはつまり……私がココさんと友達だと、認めろ、ということか。

 ……いいのだろうか。私なんかが、友達で。


「じゃ、俺は人に呼ばれてるから、もう行くな。……心音を、よろしく」


 そう言うと持木くんは、私に手を振って去って行った。はあ、と気の抜いた返事をし、それを見送る。

 ……人に呼ばれていた? のに、どうして私と呑気に話を……。

 ……そんなに、私とココさんの顔が、元気がないように見えた、ということだろうか……。

 思わず自分の頬を触る。ダンスも終わったようなので、窓際から離れて、階段の踊り場にある鏡の前に立って。

 ……そこまで変わったようには見えないけど……。

 しばらく自分の頬を揉んでいると、背後に誰かの姿が映った。そして私が頬から手を放し、振り返ると同時……。



 むに。



 私の頬に、軽く指が突き刺さった。

 そして私の頬を、そのままむにむに。それをやっている人物は、何故かとても楽しそうに、静かに私の頬を突き続けた。

 やめろ、と言うことも出来ず──正確に言うと、言う気が起きず──私はただ、探す必要、無かったな、と思う。


「……数日ぶりですね。聖先輩」


 私のその言葉に、聖先輩は、にこりと笑った。

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