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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-5「怪物との邂逅」
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この学園では一番危険な、精神操作系の異能力者

 私はその背中を、追いかけることも出来ないまま見送り……。


「……どう思います?」

「……いやぁ……どーだろうねぇ……」


 私の声に反応し、物陰から出てくる人物。私のストーカーこと、小鳥遊言葉だった。途中から、話には加わらないものの、こっそり盗み聞きをしていた。


「聖さんが何かを話そうとした兆候はあった。でもそれがどういう話かっていうのが分からないと、何ともね」

「……ですよね」

「でもとーこちゃん、話を聞き出せそうになったのはじょーでき。ご褒美に飴あげる」

「だから、いりません」


 と言ったものの、無理矢理飴を握らされてしまった。今回はスイカ味か……美味しいのか? スイカ味って……。


「っていうかとーこちゃん、わざと瀬尾さんのこと煽ったよね?」

「わざと……というか、私が思っていることは、大体人を嫌な気分にさせることだと知っているので……思ったことをそのまま言っただけです」

「君ってほんと良い性格してるぅ〜〜〜〜☆」


 聖さん可哀想~、と言葉ちゃんが笑う。確かに……聖先輩にはどさくさに紛れて、酷いことを言ってしまった。……謝った方が、いいだろうか。

 すると私がよっぽど酷い顔をしていたのか。……何故か言葉ちゃんは、私の頭の上に、優しく手を乗せた。


「……何ですか」

「んーん。聖さん優しいし、そんな気にしてないんじゃないかなぁ。ま、それにしても、気にするなら謝っておけば?」

「……はい」

「でも僕たち、聖さん接近禁止令出てるからねぇ」

「……そうですね」


 ケラケラと笑う言葉ちゃんに、私はため息交じりにそう返す。確かに、少し前進はしたが……後退もした気がする。これで余計、聖先輩へのマークが強くならないといいのだが。


「……また聖先輩に話を聞かないといかなそうですけど……どうするんですか」

「チャンスがないわけじゃないよ?」


 すると言葉ちゃんがあっさりそう言い放つものだから、私は肩透かしを食らったような気持だった。今まであんなに聖先輩に話を聞けていなかったというのに。じゃあ何で今までその手を使わなかったんだ。

 そう思う私を他所に、言葉ちゃんは黙って歩き出した。それに付いて行き、言葉ちゃんが指差したのは……。


「……これは……」

「じゃーん!! ちょっと普通にしては遅めのイベントでーす!!」

「……体育祭……」


 確かに、普通は5月にやるような学校行事だろう。もう6月だ。それを今更やるとは……。


「ここでは風紀委員会はすっごい忙しいからね!! 腐っても風紀委員会委員長だからね。流石にずっと聖さんに付いてる、っていうのは出来ないんじゃないかなぁ」

「……貴方は忙しくないんですか」

「うんめっちゃ忙しい」


 やっぱりそうだ。腐ってもこの人は生徒会長。この学園で1番偉い存在だ。そんな人が忙しくないわけないだろう。

 ……ということは……。


「……私が何とか話を聞き出すと……」

「そゆこと!!」


 言葉ちゃんは満面の笑みを浮かべて私を指差す。分かってんじゃん~!! とでも言いたげだ。分かりたくなかった……。というか、いいのだろうか。こんな口下手に任せて……。


「というかそもそも、聖さんが瀬尾さん以外と話しをしてるとこなんて、初めて見たんだよね」

「……え?」


「まあ良くも悪くも、聖さんって浮いててさ。ほら、聖さんってめっちゃ美人だし……瀬尾さんっていうセコムがいるから、あまり他の人と話そうとしないんだよ。それに、異能力も異能力だからさ。だからね、僕驚いちゃった。君があっさり聖さんと話すものだから」

「話すというか……一方的に話していただけですけど……」

「仕方ないよ。異能力がああだとね」


 その発言に、私は顔を上げた。それはつまり……異能力のせいで、喋らない?

 てっきり私は、聖先輩は喋れないものだと思っていた。でも、異能力のせいで……?


「……あの、聖先輩の異能力って……」

「……ああ、話してなかったっけ」


 キョトンとする言葉ちゃんを睨みつけつつも、その言葉の続きを待つ。確か、聖先輩は、そう……。



 ──この学園では一番危険な、精神操作系の異能力者。



「『Siren』。声を聞かせることで、人を意のままに操ることが出来る能力だよ」



 セイレーン。ギリシャ神話の中に出てくる怪物の名前、だったか……。

 ああそうか、と私は納得する。あの時、聖先輩が微かに息を呑んだ音が聞こえただけで、私を眩暈が襲ったのは……。

 ……異能力が効いていたかも、しれなかったんだ。

 確かに美しい声だった。いつまでも聞いていたいような……そんな声。

 ……私、危なかったんだ。


「聖さんは異能力を使うつもりがないのはよく分かる。異能力を使って、しつこく話を聞こうとする僕たちに『もう金輪際関わるな』と言えば済む話だからね」

「……確かに……」

「まあ、とーこちゃんと一緒で、異能力の使用を制限されてるから、っていうのもあると思うけど……。でもそれがいつ変わるか分からない」


 君も何だかんだ、異能力を使ったしね、と言葉ちゃん。いや、誰のせいだと。

 しかし私のツッコミになぞ気づかず、彼女は真面目な顔で告げる。


「君にかかってる。けど、気をつけてね」

「……」


 言わんとすることは分かる。けど……。

 ……気をつけるって、どう気をつければいいんだろう……。


【第5話 終】

 こんにちは、もしくはこんばんは。秋野凛花です!

 第一章第五話、「怪物との邂逅」、楽しんでいただけましたでしょうか?


 ──


 ギリシャ神話、好きですか? 秋野は好きです。そういった類の話が好きな家族がいることも助長していると思いますが。

 というわけで(?)聖偲歌は、そんなセイレーンがモチーフのキャラクターです。異能力名もそのままですしね。

 セイレーンの話、特に好き何ですよね。良ければどんな話があるのか、調べてみてください。もしかしたら本編の展開に関わってくる……かもしれないし、関わらないかもしれない……(自信無さげ←)。


 ──


 第六話では、この話の最後でも話に上がった、体育祭が始まります! 聖に話を聞かなければいけない灯子だったが、問題が山積みで……?


 学校と言えばイベント!! 遂に学生らしいことが出来そうでワクワクしています!! ……まあ事件調査で本人たちはそれどころではないと思うのですが笑


 次の話は「キャラクター紹介④」。瀬尾風澄と聖偲歌の紹介です。ついでに、風澄が用いていた四字熟語の紹介コーナーもあります!!


 それでは次は第六話でお会いしましょう~!!

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