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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-3「事件調査前日譚」
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「君と僕は似てるから」

「素直に、『手伝ってください』と言えないんですか、貴方は」



 先程はごちゃごちゃと、私の立場だとか、私が主犯だとかいう話をされたが、そんな建前はどうでもいい。

 シンプルにこの人は、私に事件解決の手伝いをさせたい。……きっとそれだけだ。


 すると言葉ちゃんは大きく目を見開き……そして、ふっ、と、小さく笑った。


「でもとーこちゃん、素直に頼んでも断るでしょ、たぶん」

「そうですね」

「熟考する仕草もないんだね!?」


 ……すぐ断るだろう、けど。

 きっと私は、素直に頼まれたとしても、この人を手伝うことになる。



『……ねぇ、灯子。君は──』



 ……それがきっと、私への罰だから。


「……ま、君と僕は()()()からさ。こうするのが手っ取り早いと思ったまでだよ」

「……似てる……? 私と、頭の中お花畑生徒会長が?」

「やっぱ君僕のこと嫌いでしょ!?」


 耳にうるさく喚く言葉ちゃんを他所に、私はその発言の意味を考えていた。……私と言葉ちゃんが、似てる……? いや、無いだろう。適当にそこら辺にいる人を捕まえて、私とこの人は似ていると思いますか、って聞いたら、きっと十中八九「似てない」という回答が返ってくる。誰に聞いても同じだろう。

 ……この人は、私に、私たちに見せていない一面が、あるのだろうか。


 ……考えすぎか?


「……実際、とーこちゃんと組むなら、『信頼』より『利害の一致』だと思うんだよね。君、僕に背中預けないでしょ」

「……そうですね」

「んー、なんだろ。ビジネスパートナー……に近いのかな? とーこちゃんには、そっちが有効」

「……つまり、それは」


 先程の、似てる、という話。そして、「信頼」より、「利害の一致」。


「言葉ちゃん、誰も信じていないんですか」

「……」


 言葉ちゃんは私を見つめ、一瞬黙る。そこの表情を私が読み取る前に、彼女は微笑んだ。


「今日のとーこちゃんは、よく喋るね」

「……貴方が話しかけてくるからです」

「……信用してるよ。君の実力なんて、特に」


 そう言って、彼女は前を向く。そしてそのままその場で、ぐいーっ、と大きく伸びをして。

 ……はぐらかされた気がしないでもないけど、まあいい。私には、関係ないことだ。少なくとも、言葉ちゃんは私の実力を信用しているらしいし。……言葉通りに受け取れば、だけど。


「……手伝います。確かに、私が主犯と思われる可能性は否めませんし……貴方と行動してると、ついでに身の潔白も証明できそうなので」

「え、とーこちゃんといて僕も疑われるかも、ってことへの配慮は?」

「……そのくらいで消える信頼、初めから無いのと同じです」

「そうかもしれないけど」


 なんっでこの後輩は先輩に対する敬意みたいなのが無いのかなぁ……なんてぼやく言葉ちゃんは、ゆっくり先を歩いて行く。……敬意を現在進行形で失わせているのは、貴方のその言動だと思うのだが……面倒なことになりそうなため、言わない。

 ……そこで私はふと、今気が付いた、気になることを、言葉ちゃんにぶつけてみた。


「……言葉ちゃんは、私が主犯だとは、思わないんですね……」

「んー?」

「いえ……私に協力を頼むということは、そういうことでしょう……」


 そうだねぇ、と言葉ちゃんはのんびりとした声で。


「……操る、ってことは、『その人の力が必要だった』ってことだ。帆紫くんの異能力は、攻撃に特化したもの……犯人が何をしたいかは分からないけど、攻撃性を持つ異能力で何かをしようとしている、ということは確かだろう」

「……そうですね」

「……君と僕は似てるって話したでしょ?」


 そこで、のんびりとした声が、急に硬さを帯びた気がする。前を歩いていた言葉ちゃんは振り返り、私の目の前に立って。



「自分でやった方が早いよ」



 その言い分は、ストン、と私の中に、落ちて来た。

 そして同時に、「似てる」という言葉の意味も、理解した。


 言葉ちゃんの異能力、「Stardust」。

 そして私の異能力、「A→Z」、「Z→A」。


 ……どちらも攻撃性に優れ、そして……強い。

 1人でも十分。むしろ、他の人を引き入れるのは、かえって邪魔だ。


「……なるほど」

「でしょ? ……ま、再三言うけど、君の異能力は工夫を肥やさなくても強いので、使い方には気を付けるよーに」

「……わかってます」


 言葉ちゃんの念押しに、私はため息交じりに頷く。……そんな誰からも敵視されそうな使い方はしない。そこまで馬鹿じゃない。

 ならいいんだけど、と言葉ちゃんはステップを踏むように前に進んでから、私を振り返り。


「じゃ、明日から積極的に行動しよっか」

「……何から調べていくんですか?」

「そうだなぁ……まずは無難に、精神干渉系の異能力者から当たっていこうかな? あっ、僕たちが疑ってるっていうのはバレないように、うまーくやるんだよ? いい?」

「……私はそこら辺の微調整は苦手なので、言葉ちゃんに任せます……」


 私は自分が思ったことをズバズバ言ってしまい、相手を不快にさせやすい、ということは理解している。しかし、気づいたら口に出していることが多い──実際既に、ココさんに「持木くんのことが好きなんですね」と言ってしまったり、サッカー部員の人たちに余計なことを言ってしまった前科がある──ため、もう私は喋らない方向で行こうと思う。今決めた。

 言葉ちゃんはクスクスと可笑しそうに笑うとりょーかい、と告げた。


「今日はもう帰って、ゆっくり休むよーに。明日は不規則に動くだろうからねー。あっ、授業終わったら迎えに行くね」

「……はぁ、どうも……」

「昨日あんまり寝れてないでしょ? その分もしっかり寝なー」


 ……それは、何気ない言葉だったのだろう。でもその一言で、言葉ちゃんが私のことをよく見ていてくれたことがわかる。……気づいていたのか、私が今日寝不足気味だと。

 ……いや。


「……言葉ちゃんが私を学園に残さなければ、私は昨晩家でぐっすり眠っていたと思うのですが……」

「…………まあそれはそれ、これはこれ、だよね」

「何言い包めようとしているんですか……あと昼間も聞きましたけど、何で私の時間割を把握しているんですか。……職権でも乱用してます?」

「……あははー」

「……誰かこの生徒会長、引きずり降ろして……」


 被害を受ける。主に私が。

 私は言葉ちゃんに言い返すことを諦め、ようやく帰ることが出来、言われた通りにゆっくり寝て休むのだった。


【第3話 終】

 こんにちは、もしくはこんばんは。秋野凛花です!!

 第1章第3話、「事件調査前日譚」、いかがでしたでしょうか?


 ──


 さて、灯子と言葉の2人が遂に事件解決に向け、タッグを組みました。

 組んだんですけど……この二人の関係名って何なのだろう、といつも考えます。

 ただの先輩後輩ではないだろうし、友達やライバルともまた違う。そうして考えて1番近かったのが、「ビジネスパートナー」。

 ……皆さんは2人の関係名何だと思います? 良ければ教えてください笑


 ──


 第4話では、遂に事件調査が始まります。しかし灯子の横にいるのはあの生徒会長ではなく、別の少女(?)で……?


 次の話は「用語紹介②」となります! 「異能妨害室にて」で少し出て来た、対異能者特別警察についての解説になります。

 何故解説するかというと……今後本編で関わってくるからです(小声)。


 それではまた! 4話でお会いしましょう!!

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