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明け星学園  作者: 秋野凛花
1-3「事件調査前日譚」
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「僕のこと、嫌い?」

 言葉ことはちゃんと一夜を過ごした、その後、私は普通に授業を受けた。……学校に泊まって、そのまま授業を受ける……登校の時間が短縮されるから、恐ろしいほど楽だった。ただし、また泊まりたいとは思わない。……何故なら、きっとついでに言葉ちゃんが付いて来るからである……だったら私は面倒でも家に帰って、1人でゆっくり過ごしたい。


「とーこちゃんとーこちゃん」

「……何ですか……昼休みになった瞬間……」


 授業終了、そして、お昼休み開始のチャイムが鳴ったと同時、言葉ちゃんが私のいる教室に飛び込んできた。……相変わらず周りからの目が集まり、居心地が悪い。……せめて、もっと人がいないタイミングとか、静かに呼んでほしい……。

 私は言葉ちゃんの方に向かう。すると言葉ちゃんは何故か私の耳元に口を近づけると……珍しく小声で囁いた。


「……理事長が呼んでる」

「!」


 私が顔を上げると、彼女は明るい……それこそ一番星のような、そんな笑顔を見せて。


「行こっか!!」





 周りが昼ご飯を食べている中、私たちだけが廊下を歩いて、理事長室まで向かっている。


「だいじょーぶ? お腹減ってない? 軽く何か食べておく? 飴あるよ、飴」

「結構です……。というか、歩いているんですから、差し出すならせめて棒が無いやつにしてください……危ないでしょう……」

「あ、それもそうだね」


 じゃあはい、と、手の上に棒の無い飴を乗せられる。……いや、欲しいわけじゃ無いんだけど……。まあ、せっかくあるなら食べるけど……。

 そう思って包装紙を開け、飴を口の中に放り込む。今日はメロン味だった。

 やっぱりお腹減ってるんじゃん~!! と嬉しそうに言う言葉ちゃんは無視し、私は口を開いた。


「……あの、もう少し目立たないように呼んでくれませんか……」

「え?」

「貴方が来るたび、注目されるんですよ……。なので、もう少し存在感消せませんか」

「かなり難しいこと言うね!? ……うーん……善処はするけど、たぶん無理だと思うよ? 僕、生徒会長だから目立つし」

「……」


 彼女の口から「善処する」という単語が出てきたことに驚いたが、次の発言で撃沈する。……確かに、この人目立つ格好してるし……あふれ出ている「カリスマ」だとか「オーラ」だとか、そういうものを常に醸し出している。今こうして歩いている最中にも、教室の中から言葉ちゃんのことを見る人がいるし、すれ違う人も、絶対一度は振り返っている。……そうさせる魅力が、彼女……小鳥遊たかなし言葉ことはには、ある。

 そして彼女はそれを、自覚している。


「……じゃあ他の人に呼びに来させてくださいよ……」

「僕の用事に他の人を使うとか、変な話じゃない?」

「……そうですけど」


 八方塞がりだ。諦めるしかないらしい。私はため息を吐いた。

 すると、言葉ちゃんが一言。


「……そんなに僕のこと、嫌い?」


 その発言に、私は顔を上げ。


「いえ、別に」

「あっ、そう」

「ただ迷惑だとは思っています」

「素直~~~~」


 そういうとこ好き~~~~!! と言葉ちゃんは大声で叫んで抱き着いて来る。そういうところなのだが。迷惑なところ。


 そんな無駄話を重ねている内に、理事長室に着いた。長かったのか短かったのか、よくわからない道だった。


「りっじちょー!! 来たよ~!!」

「ああ小鳥遊くん……っと、伊勢美いせみくんを連れてきてくれたんだね」

「そ!! 僕ってば優しい~」

「……伊勢美くん、いい加減、理事長室までの道のり、覚えたよね?」

「はい、覚えました。理事長先生、このアホ会長どうにかしてください」

「とーこちゃん今アホ会長って言った!?!?!?!?!?」

「……小鳥遊くん、私は『理事長が呼んでいる』ということを伝えてくれ、と頼んだだけだよね? どうして君まで来たんだい?」

「僕が来たかったから!!!!」

「……ということだ、伊勢美くん。……我慢してくれ」

「……………………」


 ……駄目だこいつら……。


 確かに今日の朝、「君がどうなるか見せてよ」と言われた。あれは、これからも付き纏う、という宣言だろう。……そして私は、勝手にしろ、と言った。つまり、承諾してしまった。だから、仕方ないのはわかるけど……。

 ……ほぼ四六時中は、キツイな……。


 私が遠い目をしていると、理事長先生は話を切り替えるように、ゴホン、と咳払いをした。なので私も言葉ちゃんも、彼を凝視する。


「さて、伊勢美くん、君を呼んだわけだが……」

「……はい」

「聞いたよ。君は昨日、あの後、再び異能力を使ったと」

「……………………はい」


 その話か、と私は心の中で呟く。……なるほど、また罰を与えられる、ということか? いや、あれは言葉ちゃんに使え、と言われたからで……ん? よくよく考えたら、使え、とは言われてないな……写真を差し出されただけで……。……。

 ……これ、もしかしなくても、かなり私に不利な、ヤバい状況なのでは……。

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