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92、天界 〜あの森の箱庭を買う

 俺は、転生塔29階に借りた自室に戻ってきた。


『アウン・コークン様、おかえりなさいませ』


 扉を開くと、無機質な声が俺を出迎えた。左側の部屋の扉を開け放していたからか。俺は、機械だらけの部屋へ直行する。



「スパーク国の北側の森の箱庭を買いたい。どうすればいい? 時間がない」


『かしこまりました。情報を表示します』


 俺が用件を伝えると、人工知能は、いくつかの画面に様々な映像を表示した。その中から、あのパワースポットがあった付近を指定する。


『アウン・コークン様、その範囲だけでよろしいのでしょうか? 森の中央部のみですと、街道への行き来ができません。街道へ出られない領地は、移民も難しく……』


(うるせーな)


「森全部を買いたいところだが、そんな金はねぇんだよ。俺の所持金情報を見てみろ」


 思わず人工知能にブチ切れた自分に、ため息が出る。


 あの深い森が焼失すると困ると言っていたフロア長の言葉が頭にチラつき、時間をさかのぼることができるとわかっていても、焦りからイライラしてしまう。



『アウン・コークン様、今の所持ポイントで、スパーク国の北側の森は、全域購入可能です。全域の箱庭購入を実行しますか?』


(魔王スパークの話と違う)


「スパーク国で、この話をしたときは、半分も買えないと魔王が言っていたが?」


『はい、魔王スパークからの1度目の至急用件が出た際に、キニク国の滅亡による魔物の増加で、該当箇所の時価は暴落しました。さらに、2度目の至急用件により、山火事が判明。さらに大暴落しています』


「魔王スパークから、2度も至急用件が出ているのか?」


 そう尋ねると、画面にその至急用件が表示された。


 1度目の至急用件は、俺と打ち合わせた通りだ。北側の森からスパーク国に入り込む魔物が増加したという理由で、キニク国の調査依頼が出ている。


 それに対して、現時点で12名の天界人が、このミッションを受けたようだ。


 そして、2度目の至急用件は、山火事の消火依頼だ。スパーク国への延焼を危惧する内容になっている。緩衝地帯の山火事だから、魔王スパークは、自ら動けないらしい。


(動く気がないだけじゃねーか?)



『アウン・コークン様、購入しますか? 緊急要請が出ると、一時的に購入不能になります』


「買う。全域を購入してくれ」


『かしこまりました』


 画面は、とんでもないスピードで処理が進んでいく様子を表示している。天界人の目のスピードを余裕で上回る人工知能。


(優秀すぎて、怖っ)



「箱庭といっても、地図に色が付いているだけなんだな」


『戦乱中とそれに類似する状況のときは、箱庭の立体映像を映せません。この部屋に、飛び火する恐れがあります』


 なるほど。そういえば、女神から与えられた箱庭売買の知識に、そんな注意書きもあったか。



『購入手続きが完了しました。アウン・コークン様のポイント残高は、1,010,090ポイントです』


「支払いは、経理塔に行かないとできないのか」


『いえ、支払いは完了しています。内訳を表示します』


 ズラリと並ぶ項目は、ほぼゼロだ。購入手数料と箱庭形成料などで、9,000ポイントを取られただけだ。


「森の時価は、ゼロなのか?」


『はい、購入画面を検討されている際には、全域で46万ポイントでしたが、購入のご指示を頂き、手続きに入った瞬間、時価がゼロに下落しました』


「は? なぜ?」


『森の北部の広域地区に山火事が広がったため、緊急要請が発出されました。アウン・コークン様への要請も、数分後に届くと予測します』


 画面には、山火事が起こっている場所が表示されている。北側3分の1近くじゃねぇか。ロロ達がいる集落まで、もう火の粉が降り注いでいるかもしれない。


「時間を遡って、山火事を消せばいいんだな。あっ、時間を遡ると、今、買った箱庭も無しになるのか?」


『いえ、購入は有効です。緊急要請は、その要請が出た時間に遡ります』


(めちゃくちゃ延焼してるじゃねーか)


「じゃあ、至急用件を受けて行けば、もっと遡れるよな?」


『いえ、緊急要請が出ましたので、これが優先されます』


(マジかよ)


『アウン・コークン様は、その直前に箱庭を購入されたので、山火事が鎮火した後の再建義務を負います』


「は? だから、時価が……」


『はい。そのため、時価はゼロとなりました。あ、アウン・コークン様に緊急要請が出ました。緊急です! 緊急です! 直ちに転生塔10階へ移動してください。緊急です! 緊急です!』


「あー、うるさいな。わかってるよ」


 こういうところは人工知能らしいか。人の気持ちを察する能力はない。まぁ、そんなものは求めてねぇが。



 ◇◇◇



 俺は服を着替えて、10階へ移動した。だが、ムルグウ国で使っていた魔法袋はそのまま装備した。


「アウン・コークンさん、緊急要請になってしまいましたよ」


 そう言いつつ、フロア長は落ち着いている。さっきも、経理塔に精算しに行ってからでもいいと言っていたな。まるで……。


「フロア長、なぜ、緊急要請に変わったのですか」


「天界人が失敗したからだよ」


(は? 何を?)



「お集まりの皆さん、ありがとうございます! 今回は、ウチの新人くんのミスです。申し訳ありません」


 深々と頭を下げたのは、見慣れない男だ。


「しかも……山火事で時価が下がったのを好機ととらえて、箱庭を購入されたアウン・コークンさんには、申し訳なくて申し訳なくて……本当に申し訳ありません!」


(は? なぜ、そこまで……)



 すると、フロア長が口を開く。


「おや、箱庭を買ってしまったのですか。これは大変だ。キニク国の滅亡が知られて、あの森に隣接する箱庭まで売り払われたみたいですよ?」


(所有者がいたのか?)


 もしかして、それがわかっていて魔王スパークは、キニク国の調査依頼を出したのか。手放させるには、時価の下落を画策するのが、一番手っ取り早い。


「はぁ、まぁ……」


「アウン・コークンさん、貴方の領地になったのなら心強い。お願いしますね」



ひゃー(*゜艸゜*)

ネット小説大賞、一次通過していました。

読んでくださっている皆様、ありがとうございます!

まさか、ブクマ20個で……び、びっくりしました。

今後とも、よろしくお願いします。(≧∇≦)

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