戦場 苦戦必至
半年くらい空いただと!?
バンカラ街とパルデア地方は楽しかったです。
森に着いた曽二はウキウキで中に踏み入っていく。
先ほどまでは裸足だったが今はしっかりブーツを履いているため草や枝のトゲが刺さることを気にしなくてもいいのだ。
なんという便利さ。履物の利便性を異世界転移という形で教わるとは彼も思わなかっただろう。
ずんずんと進んでいく。
だがある程度歩いた所で歩みを止める。引きこもっていたわりには疲れたわけではない。
彼は麻という植物がどんな外見なのか知らなかったのである。
麻くらいゲームで出るだろうが、頭茹で上がったかと曽二自身も思ったが実際に知らないのである。
これじゃ詰みだと頭を搔いた曽二は不意に手をたたき、ポケットからスマホを取り出した。
何も身一つで転移した訳では無い。今の曽二には調べ物も暇つぶしもできる最強の道具があったのだ!
『これがホントの異世界はスマートフォンとともに。ってね。』
『ハイハイ。というかそれ使えるの?』
『そんなの神様パワーで使えるようになってるに決まって』
【圏外】
『まあ、都合よく繋がるわけないよね。』
『まるでクソゲーだなぁ!』
スマホが使えないというのは曽二にとって大きな損害を与えるものである。
ゲームにネットサーフィン、そしてナニとは言わない青少年的に健全なアレ。
常識的に考えてスマホが使えるようになっているわけはないのだがどうもその考えは彼には存在しなかった様子。
その上どれが麻なのか分からず調べることもできないというのは今の状況としては〔詰み〕である。
どうしたものかと思案していると後方から数名の足音が聞こえてきた。
振り返ってみると冷静そうな女拳闘士に温厚そうな盾役と思しき巨漢にどこか華美な剣を抱えた十二歳かそれより小さくも見える少年が。
その後ろには人相悪めの男槍使いがめんどくせえと言わんばかりに同行している。
彼らも同じ初心者パーティという奴だろうか。それにしては初心者がする装備ではないように思われる。
女拳闘士と盾役の巨漢は曽二には目もくれずに何かが群生している前でしゃがんだ。
「これですね。」
「ああ。麻はいくらあっても困らないからな。ただここには新米も麻を取りに来る。ほどほどにしておけ。」
「はい。」
彼女は麻であろう植物を引っこ抜き、手のひらに収まる程度の束にまとめた。そうして少年と槍使いのいたところに戻りその場を後にした。
なるほどあれかと曽二は先程の拳闘士に倣い麻を引っこ抜き、手のひらに収まる程度の束にする。これにはなぜかズボンに入っていた紐を使った。こういうところは謎に運がいいのであった。
ともかく目的は達成したのであとはギルドに戻るだけなのだが何かが荒々しく草を踏む音が近づいてくる。どうやら招かれざる客が来たらしい。
『どうするの?』
『戦うっきゃないっしょ!』
そうショートソードを構えた曽二は飛び出してきた猪に挑んだのだった。
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曽二は勢いよく剣を振るう。
が見事に空振りし、猪の反撃の突進をもろにくらい吹っ飛ばされた。
「ッ...てぇ...」
『ちょっと...私も痛いんですけど?!』
『ごちゃごちゃ言うな!』
『アンタもよく見て戦って!あの突進くらったら私まで痛いんだから!』
吹っ飛ばされるくらいの突進をもろにくらったのだから当然痛い。
異世界に来たからと言って痛覚が弱まっているわけもなかった。
とはいえここで怖気つくわけにもいかない。
逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。
そう自分を鼓舞して立ち上がり、再び猪に斬りかかる。
今度は剣を当てることこそできたものの、切り抜けることは出来ずまたも突進をくらい吹っ飛ばされて木に打ち付けられた。
斬りかかって突進されて倒れては立ち上がってまた斬りかかって、を何度も繰り返していた。
『もう...ほんと…痛...』
「グッ...ゲホッゲホッ」
もう逃げようにもあまりの痛さに逃げ出すこともできない。
イノシシはこちらを睨み突進しようとしている。
そして、曽二は満身創痍で戦うことも逃げることもできない。
アァ…オワッタ…!
猪が土を蹴った瞬間。
一陣の風が吹いた。
刹那。
受付で出会ったプラチナブロンドヘアの少女が風を纏いながら曽二と猪の間に割り込んだのだった。
Aigi’s Talk
執筆をさぼっていたらだいたい10ヶ月くらい経っていたという事実に打ちひしがれている哀疑です。
色々動画を見たりゲームしてたり免許をとろうとしたり学校に行ったりしてたら遅くなりました。
現状曽二君はただのよく分からないヤツやもしれませんがこれでもちゃんとバックボーンを描写しようと思ってるので…!
以上、まだまだ転移初日は続きます。テンポ悪いね。もっと早く文量をマシマシにして書きたいね。
2023/1/19
微妙に加筆しました。まあ本当に微妙な描写を書き換えただけです。
そのうち区切り場所も調整しようかな?
ある話数が出てから再編した方がいいかも。