曽二、転移。
ついに始まりました哀疑の初投稿!
エターナる予感しかしないけれど頑張ります!
「よーし大丈夫大丈夫。まだいけるまだいける。」
カーテンが締め切られた暗い部屋の中に、テレビの前でかぶりつくようにパッドコントローラーを握りしめて難関アクションゲームと対面している少年がいた。
容姿としては中肉中背で黒髪ショート、服装は黒のTシャツに七分丈の黒ズボンというまさに普通の少年という感じである。
「よっしこれで上手くいっ…はあっ!?」
画面のキャラクターがジャンプして地形を飛び越えたまではいいのだがなんとそこに初見殺しな配置で敵が仕込まれていた。それにキャラクターが当たりミスとなる。
「あぁぁぁぁゴミカスぅぅ!!○ねぇぇぇ!!!」
チンパンジーのような声が吐き出された少年。ゲームオーバーでは無いのだが何度もあの初見殺しの所にたどり着くまでに数多の屍を重ねてきたのだ。発狂したくもなるのだろう。
時間帯としては昼間なので近所迷惑になりかねないのだが。
ひとしきりじたばたと暴れた後、拗ねたのかゲーム機をスリープモードに切り替え、お気に入りのタオルケットを抱えて昼寝を始めたのだった。
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さて、前置きはこれくらいとしてこの少年について詳しく紹介すべきだろう。
彼の名前は曽二天道。
常識の範囲内でふざけることが好きなお調子者の高校2年生である。
容姿としては先程記したようにまさに16歳男子の平均ど真ん中と言ったところ。
ちなみに何故そんな男子高校生である曽二が昼間っからゲームをしているのかと問われれば、夏休みだからという答えが帰ってくる。
お調子者なわりに宿題はそれなりに早いうちに終わらせているタイプらしく、それで難関アクションゲームに興じる時間もできたとか。
好きな物はジャンクフード、苦手なものは辛いもの、となかなかに分かりやすい嗜好をしている。
そしてサブカルチャーに関して一定の知識があり、その言い回しを真似ることもある。先程のチンパンジーの叫びを思い浮かべてもらえれば分かることだろう。
そのオタク気質のせいか、曽二は友人に恵まれなかった。同じオタクさえ、彼のハイテンションさにはついていけなかったようである。
それ故、夏休みであれば誰かしら友人と遊びに行ったりするところ、一人でゲームに興じるしかなかったのである。
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そんな休みの日に1人でゲームをして疲れ、ふて寝した曽二。
そして眠っている間に奇妙な感覚を覚えた。
…ベッドの感覚がない。
そう。普段はなかなかにふわっふわで寝心地の良いベッドに寝転がっている感触があるはずなのだがそれがないのだ。
なんというか無の上で寝転がっている、見たいな。
「おーや、お目覚めかぃ?」
声が降ってきたので目を開いて視線を向ければそこには背中までに伸ばされたボサボサの黒髪ロングにキトンを身にまとった女性がこちらに視線を下ろしていた。
「…誰だお前は!?」
「いきなりお前とは、ご挨拶だねぇ女神に向かって。相当ふてぶてしいとみた。」
「…分かりました敬語で話します。」
「うむ、くるしゅうない。さて、君が何故ここに来たか…分かるかぃね?」
といったやり取りはともかくとして何故ここに来たか。
体を起こし、辺りを見回す曽二。
周りの景色は青空だった。床には何も無く、まさに青空にいる、という言葉がピッタリである。一方、特に浮遊感も何かに座っているという感覚も無いように思われる。
ここがなんなのかを考えることは放棄し、次はなぜここにいるかを考える。夢か?死んだか?その思い浮かんだどれもがピンと来なかった。
「はぁ…まあ分かるわけないわなぁ。君は何かやらかした訳でもない。ただ選ばれただけなんだからねぃ。」
気だるげにボサボサな黒髪を指で弄びながら言う女性。
分かるわけが無いならば問いかけるな、という指摘はなんとか飲み込んでおいた。仮にも女神様と分類される存在らしいし。
沈黙が訪れた後、女神はこう口を切った。
「ま、とにかく君は神様の気まぐれに選ばれて異世界に行けることになったわけさね。」
「…異世界。」
そうさらりと言う女神。
意識してみればひしひしと感じる神々しさ。女神というのもあながち間違いでは無いかもしれない。
対して曽二の瞳は少し輝いていた。
「選ばれた以上は拒否なんてできんから、大人しく」
「ハイ!俺、無双系チート欲しいです!」
「…随分と簡単に適応すんだねぃ。でもチートはやらんよ。」
「何でですか!?異世界にチートは付き物…」
「初期チートひとつやるのも一苦労なのよこちとら。代わりにもうひとつ魂を送ろう。」
曽二はチートを希望したがすぐさま取り下げられた。そして女神はおもむろに光を取り出し、曽二の胸めがけてそれを投げつけた。
光は彼の中にすっと入っていく。その瞬間、自分ではないなにかが流れ込んでくるのを感じた。
「それじゃあ、もうひとつの魂と頑張ってくれよ。」
「な、ちょっと!」
そう言われたところで曽二の体がゆっくりと青空の下に沈んでいくにつれて、意識も沈んでいくのだった。
Aigi’s Talk
ということで第1話でした!
毎回の後書きにこの『Aigi’s Talk』が挿入されますが、うざったい場合は無視して構いません!
ついに始動しました…!僕の小説…!
如月麗華さんが小説を書いていたということで僕も小説を書き始めたのです。
麗華さんは『転生したので立場を考えずに推しを愛でまくります』の連載をしているので是非とも皆様、見ていただけると幸いです!
実は第2話は連続投稿なのじゃよ。
※2022/5/31 更新
初投稿から1年ちょい過ぎ、現在の投稿本数は4!!!!
だってのに少しだけ言い回しを変えました。
ハイ、きっと次更新される時はちゃんと新話を投稿します。