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郷に入りては郷に従え1

前書き

カイン 主人公 30歳 ムスコン

イナホ 天狐 農耕の神

ニイナ 16歳の愛娘 

    異世界との時差で年齢差縮まる

タムル ウゴの村 村長 ギルドオーナー

マスター 村営酒場のマスターさん




「「カンパーイッ!!!」」


部屋で少しうたた寝していたが威勢のいい野太い声に跳ね起きた。起こされた……

「「ワハハハハハッ!!」」

どうやら階下から聞こえてくる。


酒場の上はこういうことがあるから安宿なんだろうなぁ。と改めて思った。

うん?安宿?あっ、そういえば支払いについて聞いてない。


さっきその辺りの金銭がらみもマスターに聞きたかったがマスターに体よく打ち切られたから話せなかった。


まぁとりあえず1階の村営酒場とやらに行ってみるか。イナホにもお供え物を用意しないといけないしな。


−−−−−−−−−−


と、結構な賑わいだなぁ。


さっきの時間はやっぱり一般的な就労時間帯だったからマスターしかいなかったが、今はウェイトレス2人が忙しそうにしているマスターは見えないな。厨房かな?


カウンターに来てみると、予想通り奥にある厨房でマスターがせっせと飯を作っていた。

あ、包丁で切ったきゅうりが宙を待って皿に盛り付けられてる……あれってマンガの世界だけと思ってたのに。


カウンター席は長いすだったので必然的に相席のようになっていた。

俺は空いている体格のいい男性の隣に座った。


「お隣いいですか?」


「お?いいぜ。見ねぇー顔だなぁ。

なんだ、転移者(てんいもの)か。

おめぇいつからこっち着てんだ?」


「え?あ、今日こっちに来て、この村に入りました。カインと言います。こっちは天狐のイナホです」


俺はイスに、腰を下ろしながら軽く自己紹介した。イナホは俺の膝の上で大人しく座ってる。


「へぇー天狐連れかぁ。カモにされないように気をつけろよ。」


「あ、はい。ありがとうございます。

でも、カモにされてなくしそうなもの何も持ってないんですけどね」


やっぱり狐に対する偏見が天狐になっても消えないんだなぁ。

なんか自分のことを見下された気分でちょっと悲しい。


「俺の名はギース。ギルドの雇われハンターさ。」


ギースは見た目30代後半のベテランっぽい雰囲気が漂ってる。無精ひげに短めの金髪をした渋い印象。腕は女の子の太ももくらいありそうで、ワイルド感が滲み出てる。


「雇われハンターですか。ちょっとわからないことだらけなんで色々聞いてもいいですか?」


「あ?どうせ一人で飲んでも楽しくねぇしな。いいぜ。なんでも聞いてくれ。困ってるやつは助けるもんだ。」


「あ、ありがとうございます。

早速なんですが、ギルドってそもそもどんな仕事を請け負ってるんですか?」


「なんでもやるよ。困ったことがあればみんなギルドに相談する。掛け金は人によりけりだがな。」


「ギルドの仕組み自体は、

1.依頼者がギルドにお金を出して依頼を登録。

2.ギルドからハンター?に受託者を募る

ハンターであってます?」


「あぁ。合ってる。」


「そうですか。えっと、

3.ハンターが受託することをギルドに告げて依頼スタート。

4.依頼達成or未達成を報告してお金を受領。

そんなとこですか?」


「おう。なんだおめぇ。察しがいいな。だいたいその通りだ。」


「ギースさんはいつもこの街で仕事してるんです?」


「まぁーまて、酒場に来たのに注文もしねぇのは流石に良くねぇ。まずなんか頼めや。」



「そうですよ!!いつまでもおしゃべりだけだと席代を前請求しちゃいますよっ!」


?!

いつの間にか目の前にウェイトレスのお姉さん。頭に赤のバンダナをつけた素朴なメイド服みたいな格好のお姉さん。カワイイなぁ。


「だよな。さすがのメイリンちゃんもご立腹になるわな。」


「すいません、初めてなもので、自分はカインと言います。注文なんですが、よくわからないのでこの店で1番よく頼まれる飲み物をください。」


「はい。じゃあビールね。わかったわ。」


あ。ビールなんだ。

以外に普通で良かった。


「あ!すいません。ミルクもお願いします!あ、ありますか?……イナホの分ね。」


ギロっとイナホに睨まれる。

「お主はワシにケモノの乳を飲めというのか。

神に捧げるのは酒だ。米で作った酒。」

「えっ?あるの?」


「酒か?それならあるぞ。メイリンっ!悪いけど酒追加だ。冷てえーので。」

ナイスなアシストでギースが頼んでくれた。ありがたい。


「そういやおめぇ。字は読めんのか?」

「えっとー……たぶん読めません。」

「そうかよ。ならここのウェイトレスとは仲良くしとけよ。自分に適切な依頼なんてわかんねぇだろ。それに今の注文みてぇなのも苦労する。」


「た、確かに。そうですね。ちょっと媚び売っときます。あの、ギースさんの仕事の前にちょっとどうしても聞いときたいこと先に、聞いてもいいですか?」

「うん?なんだよ。」


「お金の制度についてです。」

「あぁ、貨幣制度な。この国は銅貨、銀貨、金貨で成り立ってる。持ち運べねぇようなそれ以上の額は小切手だ。

銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。そんなとこだ。」


「あ、あの。さっき頼んだビールとミルクと酒はどれくらいですか?」


「あーたぶん銅貨5枚くらいだろう。ビール2枚、ミルク1枚、酒2枚って感じじゃねぇか?」 


なるほど。日本円に換算すると銅貨1枚が100円って感じか。わかりやすくて安心した。しかも意外と店内でもコンビニ価格くらいで安い。


ちなみに金貨が1番上ってことなら(きん)は価値があるだろうなぁ。


ふふ。俺の予想通りだ。

実はこんなこともあろうかとかさばらない宝飾品を元の世界からたっぷり持ち込んでいる。


新手の密輸にならないことだけを切実に願うが、もう1度仕入れに帰るとかするとさらに1年半〜2年くらい時差の関係でロスする。

そもそもこの転移の目的は最愛のムスメ、ニイナ探し、及び救助だ。本来の目的遅らせるわけにはいかない。


在庫としては、

リアル純金の指輪が5個、金メッキの安物の指輪が25個。

ダイヤの指輪が5個、ガラス細工の安物の指輪が25個。

サファイア、ルビー、エメラルド、アメジスト、ガーネット、トパーズ、ラピスラズリ、ターコイズ、タイガーアイ、水晶の計10種の指輪が各2個ずつ。

どこの宝石泥棒かと思われるかもしれないが、締めて約90万円くらいをもとの世界で散財してこっちの世界にきた。


今思い出しても笑けてくる。豪快な買い物は気持ちがいい!けど、こっちでやるとすぐ破産しそうだからクセはつけないようにしないとな。


さて話を戻そう。


「あの、ギースさん?

自分は、今一文なしなんですが、手持ちの物を、売ってお金に換金ってできるんですかね?」


「うん?面白そうな話持ってきたなぁ。

物資の換金なんてできるに決まってるだろぉが。

ここをどこだと思ってんだ?

魔物の肉さえ金銭に変えてくれるギルドだぜ。できないわけがねぇよ。で、何を引き取ってもらうつもりなんだ?」


ギースは周りに聞こえないようにと肩を組んできた。


そこへ、

「ハイ!ビールと、ミルクとお酒、お待ちっ!」

と、いいところでメイリンさんが乱入してきた。

「ねぇ、ギース?アナタ今悪い顔してるわよ。なんの悪巧み?」


「おーメイリンちゃん!ちょうどいいとこにとりあえず乾杯しようぜっ」


すでにイナホは出された酒を猫のように飲んでる。ニオイは米から作った日本酒っぽい。

ってかイナホって酒飲めるんだ!?ってのが正直な感想だった。


その後、俺のビールはメイリンが、ギースはマイボトルのウイスキーを。イナホは日本酒もどきを。そして俺は余ったミルクを持って乾杯するのであった。


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