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世界のならわしと輪廻からの離脱


カイン 主人公 30歳 ムスコン 

    頭に天使の輪っか付

イナホ 天狐 農耕の神

ニイナ 16歳の愛娘 

    異世界との時差で年齢差縮まる

タムル ウゴの村 村長 ギルドオーナー


俺は今、村長タムルとの面談を追え、3つのタスクを抱えている。


1.村営酒場でギルド登録。

 ニイナの情報収集

2.自衛団の詰所で6年前に出した捜査依頼の進捗について聞く。

3.本日の宿探し。


日も傾いてきているので今日は、1と3をすることに決めている。

1.は何をするにも身分証明書が必要。

3.は初日から野宿は避けたい。

というのが理由だ。


とにかく情報収集もかねて村営酒場に入ることにした。村長屋敷の西側の建物だから、特に迷うこともなかった。


村営の酒場がギルドもかねているからだろうか、建物は3階建てのアパートみたいになっている。ギルド登録すれば泊まれるっていう展開を期待しているので、何よりも酒場の訪問を先に済ませたいのだ。


酒場に入ると中央には4人掛けの円卓が6個、その両サイドをボックス席が4つ。正面奥にカウンターという作りになっていた。

まだ夜には少し早いせいか人が入っていない。


異世界のギルド受付というと基本的に美人ばかりのイメージだが、どう見ても今はおじいちゃん一人だ。

ウゴの村が田舎だから。という理由であってもらわないと今後精神が持たないかもしれない。


とりあえずカウンターまで行って受付のおじいちゃんに話をする。

「すいません。村長のタムルさんからここでギルドの登録ができると伺って訪問させて頂きました。登録お願いできませんでしょうか。」


「はいぃ。いいですよぉ。じゃあこの紙にぃ、名前ぇと年齢ぃ、出身地ぃ書いてくださいぃ」


妙に間延びする話し方だがおじいちゃんだからと、気にしないでおこう。

名前はもう諦めてカインにしておこう。

年齢は30歳。出身地は、キョウ遺跡か?

出身地にどう書くか迷っていると


「おまえさんは転移してきたものかぁ?」


「あっ、そうです。」


「なら、出身は転移と書く決まりじゃぁ」


「え?それでいいんですか?」


「当たり前じゃ。その頭の輪っかがついてれば誰でも転移者ってわかるわぁい。身元の保証もせんでええ決まりじゃからのぉ。あと宿泊先はあるんかぁ?」


「い、いいえまだないんです」


「じゃろなぁ、ウチの上がギルド登録者用の宿泊施設になっとるぅ、そこを遣わしたるよぉ。」


「なんか、すごい親切ですね。」 


「この世界で転移は弾きもんじゃがぁ、そもそもギルドは弾きもんばっかりがよろずややっとるようなぁもんじゃあぁ。じゃから、あんたみたいなやつも歓迎したるんよぉ。」


寛大な処置に感謝だな。あ、大切なこと忘れてた。


「あのおじいさんこの…」「マスターと呼べ。」


「え?」「じゃからわしのことはマスターと呼べと言うとる。」


おっ!異世界の憧れギルドマスター!

ただこんなじいちゃんってのは少し予想外過ぎた。


「この酒場のマスターじゃからのぉ」


……ですよねぇ。 


「あ、あのマスターに伺いたいんですが、自分はまだこちらに転移したてでこっちのことがあまりわかってません。法律とか常識とか。諸々教えてもらえませんか?」


「ならぁ、夜になってから下の酒場にぃ、降りてこいぃ。ちゃぁんと教えてもらえるわぁい。」


「そ、そうですか。じゃあ夜まではお言葉に甘えて上の部屋でちょっと休ませてもらいます。」


俺はとりあえず部屋で休むことにした。

1. 3. タスククリアだ。


−−−−−−−−−−


2階の部屋に入ったが部屋は普通のホテルのような一人部屋だった。風呂とトイレは共同だったが。


まぁーこんなもんか。

さて、ちょっと時間も空いたからイナホに質問攻めしよっかな。


「イナホ様、お伺いしたいことがあります!」


「なにー?」


「さっき村長と話してた話をしましょう。

えっと、俺はさぁー、狐に騙されたってことなのか?

正直、今までオマエと一緒にいて多少なりとも信用してきていたんだが」


「ふふ。怒らないんだね。カインのそういうとこ、いいところだと思うよ。

ボクはキミを騙そうなんて思ったことないから。」


「じゃあ村長の言ってたことが間違っているのか?」


「狐が全般的に化かす存在というのは否定できない。でもボクは違う。違うからこそ死んでから、天狐になれた。終わらない輪廻転生から抜けれたんだと思ってる。」


「え、えっと、難しい話してるね。輪廻転生から抜ける?」


「そうだよ。ちょっと長くなるけどいいよね。」


「あ、あぁこの際だからじっくり教えてくれないか。」


「わかった。いいよ。

えっとねぇー、こっちの世界では、もともと狐も進化したし、他の色んな動物も進化していた。進化した狐達は化けることができるし、人語も話せる。そういう優れた種族だった。

人間は器用だ。お金というものも発明した。ただ狐はそれをうまく利用する知恵を持っていた。狐は人間を騙し嵌めることで富を得ることがあったんだ。

この世の中は、弱者が淘汰される弱肉強食の世界。武力ならボクらは弱い種族だけど平和な社会では強者になれた。

もちろん騙されたことも気づかせないような優れたやり方もあったから騙されたからって全てが不幸になるようなこともないけどね。」


「その割に、こっちに来てから尻尾が生えたヒトとかは全然見ないけど。」


「そうなんだ。

ある時、人間が他の種族を武力で淘汰したんだよ。器用さは人間が1番優れていたからね。武器なんかを作る技術力も人間が優れていた。

器用な人間は例え戦闘中であろうと複雑な武器を修理しながら戦えるけど、ボクらは原始的な武器しか持てない。

だから生き残れたのは山や森に隠れた種族か、人間になり済ませた者だけなんだ。

自業自得だよね。傲慢なモノは足をすくわれる」


「そ、そっか。でもイナホが天狐になれた理由っていうのは?」


「ボクはね、人間になりすますことができた狐なんだ。罪もないに同族がいっぱい死んでいくのを見て人間の傲慢さにも腹がたった。

けど、仕返したっては意味がない。ボクらこの世界に生きる者は、同じ時間、同じ場所に運命的に引き合わされたモノ同士なんだ。歪みあっても意味がない。


だから罪を改めて今までのしがらみを全部打ち切ったんだ。その上で自分にできることを精一杯やり続けた。ただ、それを疎ましく思った身内に殺されちゃったんだ。


でも、魂は死んでも消えない。この世界の意志に導かれてボクはこうして天狐になった。ちゃんと徳を積まないと尻尾は増えないから格はまだまだ低いけどね。あんまりカインの世界とも変わらないんはずなんだけど。」


「イ、イナホ様!どうかっ、どうか私めを導いてください!!


いやぁー確かに神とか言ってたから崇高なんだと思ってたけど、最近普通に話してるから、そんなスゴイやつだと思ってなかったわ。

でも、なんで俺をこっちに?」


「ふふ。キミがそういう性格だからだよ。素直で真っ直ぐなキミなら自分のムスメのことだけじゃなく、困ってる人を助けたりできるでしょ。

ボクはそんなカインと一緒に徳を積みたいんだよ。」


なんだか、選ばれた感じがしてちょっと誇らしい感覚になった。


俺、自分に恥じないように生きるわ。

もともとそのつもりだったけど、改めて決意できた。




ちょっとスピルチュアル的な思考を盛り込んでみました。


ご意見お待ちしております。

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