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初依頼1

カイン 主人公30歳 元サラリーマン

異世界転移済み。頭に輪っか付、宝石商?

イナホ 天狐 日課:太陽礼拝

ギース ベテランハンター 銛

デバック りんご農家


いよいよ初依頼に行くことになった。

ギースも今日は戦闘服のようだ。


右手には言っていたように銛。左手にはラウンドシールド。背中側の腰の辺りにはハンドアックスをつけている。


頭には額に金属の板が入っている鉢金。

体はベスト型の革の鎧と両肩を覆うショルダーアーマー。下半身も革製のサポーターをつけている。ただ、基本的に柔軟性、隠密性を高めるためガチャガチャと音がなりそうな金属の部分はない。

装備の隙間からはご自慢の褐色の肌と筋肉が異様に目立つ。


なんか……心強い印象をパッと見で感じてしまう。ギルドハンターはこういう部分も重要なんだろうな。


俺達は今回の依頼主、デバックさんの元へやってきた。デバックさんはりんご農家らしい。

こっちの世界でもりんごあるんだなぁ。


「おぉ。アンタらが今回のハンターさんかぇ?」

「そうです。今回派遣されましたギースといいます。」

「わあった。依頼は出した通りだ。儂のリンゴの木にあのリスどもが巣食っておって収穫作業ができん。いるだけぜーんぶ駆除してくれぇい。」

「わかりました。では早速ですが取り掛からせて頂きますね。」


今はまだ昼前だ。

リスは一般的に滑降するようなモモンガ系のタイプは夜行性だが、樹上性やジリスのタイプは昼行性が多い。

たぶん今回のデスイーターも昼行性なんだろう。


俺はギースの後ろを歩きながら森の手前のリンゴ農園に向かった。


「カインよぉ。こっちの世界で食い扶持を見つけるならこの辺に自生する植物も知っといた方がいい。ちょっと説明するぜ。

この辺の畑にはイチヤクソウって薬草がある。生の葉をすり潰して出る汁を切り傷とかに塗りこんで使う。鏡草とかとも言うらしい。

特徴は葉が厚くてツヤがあり柄が長い。

おっ、ちょうどあった。あれだ。

基本的に、葉は根生葉として根本に生えるこの葉が使えるんだが、移植に向かねぇから保存や栽培は無理だ。その都度位置を確認しておけ。

何かあった時に葉っぱを積んでつけるんだ。」


「なるほど。わかりました。」


「それからこっちだ。打撲、打ち身に対して有効な薬草がこれ、サンショウだ。このトゲトゲした茎と匂いでわかりやすいだろう。

このサンショウの葉をすり潰して患部につけておけばいい。」


「サンショウですか。サンショウはわかります。()しか効能聞いたことありませんでした」


()は腹痛、痛み止め、食欲増進だろ?なんにせよ、サンショウを知っているなら問題ねぇな。

最後に見分けが付きにくいがオトギリソウ。葉に黒点がついてて茎が真っ直ぐ。黄色い小さな花をつけるのが特徴。真っ直ぐでないものや黒点がないモノは違う草だからな。

オトギリソウは止血目的の薬草で、これも葉をすり潰して患部に塗る。

まずはこの辺かな」


「十分な知識、ありがとうございます。」


そもそも、見分けがつけられるかがだいぶ不安だが少しずつ覚えていこう。


俺はレクチャーを受けながらリンゴ農園の奥の森近くにやってきた。


「まぁ、たぶんこの辺だろぉな。見つけたら知らせてくれよ。探す目は多いほうがいい。木の上を見ておいてくれ。奴らは赤い目でこっちを見てるはずだ。」


「そうなんですね。わかりました。ちょっと探してみます」


俺とギースはそこから少し散策をしていたが少し開けたところに出た途端、

ビクッ!急にイナホが反応した。


「カイン、来るよ。」


「え?!どっちから?」


「今の視線から10時の方向2mくらいの木の上を走ってきてる!」


相変わらず的確!俺はとりあえずそちらの方向に刺股を向け、ギースを呼んだ。

「ギースさん!きました!木の上からっ!?ウワッと。」


いきなり飛びかかってきたデスイーターは向けていた刺股の上に、着地して槍の上を走ってきたので、俺は槍を高々と振り上げてデスイーターを放り投げた。


だがその瞬間、胴側がガラ空きになり、そのスキに2匹目が太ももに飛びつき太ももを噛まれた!


痛みに驚きながら、俺は慌てて拳でデスイーターの頭を殴った。


デスイーターは地面に落ち、たまたま支えられなくなった頭上の槍が重さで地面に突き刺さる時にデスイーターの首を落した。


「カイン!やるじゃねぇかっ!」


「ラッキー過ぎますっ!ってか足痛ぇーっす!」


「あとで治療してやるよっ!次だ」


あたりには5匹のデスイーターが木の上でこちらの様子を見ていた。

ギースはおもむろに銛をデスイーターに向けた、その銛はすでにゴムが張り詰めており水の中にいる時と同じように銛を射出した。

ビシュッ!


デスイーター1体に見事に命中。

ギースさんはすかさず銛から手を離しラウンドシールドのついてる左手で背中のハンドアックスを手に取る。

右手は腰にある布袋に手を突っ込んでいる。何を取り出すかと思ったら、石だ。


俺はその間、刺股を構えてデスイーターを牽制する。が、新しい武器すぎて思うように取り回せない。


「カインっ!練習しねぇとそんなもんだ!おめぇはそれ構えてるだけでいいから見とけっ!」


ギースさんはそう言いながら石を投げて、また一体デスイーターを地面に落とした。

もう息をしていない。


木の上にいてても分が悪いのが分かったのか、残りの三匹のデスイーターが一度に動き出した。


俺は襲いかかった一匹に刺股を向けてとんできた勢いのまま刃物にあてて自滅させた。


ギースさんは右手にアックスを持ち替え、一匹は飛びかかってくるタイミングに合わせて両断。もう一匹はラウンドシールドで叩いて脳震盪においこんだ。


「カイン!まだだ、もう一匹違うやつが来るよ!」

イナホが叫ぶ!


ガサガサガサガサッ草木かき分けビッグボアが出てきたっ。50mくらいの距離はあるが、むこうはすでに突進体勢でギースを狙っている!


「ギースさんっ!」


「わかってらぁー!」

とギースさんが身構えている。


ビッグボアは直線的な突進だが、突如スピードが上がった!?

時速60kmはあるんじゃないかって速さでそのままギースに体当たりしにいく!


「ふぅー……ハァッ!」バチンッ!


え?!


ギースはビッグボアを受け止めた……

ビッグボアは居眠り運転で突っ込んだ車みたいに前面が大破して顔の骨が砕けているようだ。


「ギ、ギースさん?今何を?」


「これが俺の切り札。気功法による硬功だ」


でたーーー。異世界に来て初めてのビックリ人間。

俺は一気にアドレナリンが引いてしまい太ももの傷に悶絶するのであった。




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