表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/71

宝石商

カイン 主人公30歳 元サラリーマン

    異世界転移済み。頭に輪っか付

イナホ 天狐 日課:太陽礼拝

ギース ベテランハンター ランク不明

メイリン 酒場店員 昨夜カウンター担当




俺は朝の太陽への礼拝を終えたイナホを連れて酒場兼ギルドに来ていた。

昨日酒場の店員だったメイリンは、ギルドの受付もやっており、ちょうど昨日飲んでいたカウンターでギルドの受付をやっている。


「なんかあれですね?昨日の酒場はあんなに盛り上がってたのに案外昼間のギルドは少ないんですね。」


「そうね。基本的に夜に、来る大半の客は自衛団か、農夫が多いからね。この村だとギルドハンターは流れ者が多いのよ。理由があって自衛団に入れなかったゴロツキとかも多くてね。」


「なんでギルドみたいな職種ができたんです?」


「それは依頼者も多いからね。あとはゴロツキでも食い扶持がなくて盗賊にでもなったら治安も悪くなるし、流通がなりたたないからね。」


「あーでも、ちょっと角度を変えると治安の乱れは自衛団の存在意義にもなるんじゃないです?自衛団の給料は税金かなにかで出てるんですよね?必要悪ってのはないんですか?」


「自衛団は街の治安と行商人のボディーガード、税関もするからね。あと、ここは田舎だし、魔物も程々にいるから自衛団の必要性は維持されてるのよ。

ただ、カインくんが言うみたいに都市部だと必要性を保つのが難しくて、自衛団みたいな組織は少数で、ギルドハンターのほうが多いところもあるわね。それぞれの地域の治安に準じて自衛団の人数は適宜やりくりしてるのよ。」


「にしても、おめぇよぉー。いきなり必要悪とか物騒なこと言い出すなぁ。おめぇんとこのもとの世界はどんなとこだったんだよ。」


「ギースさん、俺、こう見えて社会の荒波越えてきてるんす……。

もとの世界はですね。総人口の8割くらいが中流の家庭だったんで格差も少なく治安が良かったんで、正義の組織の維持も中々大変だったようですよ。

ただ戦争で経済回すとか無茶苦茶な考えもありましたけど」


「確かに荒波越えてんだなぁ。だから、こっちに来る時には指輪持ってきてたり色々仕込んでたのかぁ」


「そうですね。みんな中流だったんで、その中でちまちま小細工して小銭を稼ぐのも大事だったんです。副業や支出を減らす方法も生きる術ですね」


ギースさんが上手に前振りしてくれたんで

このままメイリンに本題を話す。

今日の目的はこれだ。


1. もとの世界から持ち込んだ指輪の換金

2. 能力開花について聞く

3. ギースさんのギルドの仕事についていく


まず最初に指輪のことからメイリンさんに聞いてみる。


「メイリンさん。昨日の話してた指輪の換金させて頂けますか」

「もちろん。まずは査定からね。指輪を貸してくれる」

「はい。お願いします」


俺は昨夜のギースにあげる予定の指輪ではなく別の金の指輪を出した。


「?あれ?昨日のとはまた違うのね。

指輪いくつも持っているの?

異世界から持ってきたにしても、嵩張らない物のチョイスは考えたわね。」


何を隠そう小さな宝石商ができるくらい在庫があると思う。

これはいいチョイスだったと自画自賛したい。


「それで、どうやって調べるんですか?」


「金属の中でも金や銀はそのまま貨幣に換えることを考えると一応ちゃんとした決まりがあるのよ。

まずは磁石っていう、磁気を発する石を近づける。余分なものが入ってないかとか、指輪を偽装されてるとこの時点でダメ。

うーん、これは大丈夫そうね。」


「よかった。それで反応があったら僕も騙されてましたよ」


「うん。それで次は重さの比較ね。金はだいたい銀の倍くらいの重さがあるの。だから、まず銀のコインとの重さ比較する。

あ、ちょうど金貨1枚に近いくらいの重さね。

次はこの、メモリのついたコップに水を張って入れる。

そうすると金の体積がわかるから、それで金額の割り出しをしていくのよ。

うん。やっぱり昨日の私の見立て通りね。

これで、金の加工費用も含めて金貨より高い値段で換金することができるのよ。今回は金貨2枚ね」


「昨日、3枚になることもって聞きましたが、どんなときに3枚になるんですか?」


「これは私も詳しくないのよ。特別な術式が組まれてる時とか、何かの媒体になってるときは高くなるから、それじゃないかな?心配なら大きな街での換金をオススメするわ」


「いえ、とりあえず今は日銭がないので、日銭分は換金させてもらいます。ただ、今日は他にもいくつか見てもらいたくて持ってきたんです。」


俺の手持ちの指輪コレクションは

リアル純金5個、金メッキ25個。

ダイヤ5個、ダイヤの代わりにガラスのついた指輪25個。

サファイア、ルビー、エメラルド、アメジスト、ガーネット、トパーズ、ラピスラズリ、ターコイズ、タイガーアイ、水晶の計10種の指輪が各2個ずつ。


そのうち金メッキと、ダイヤ、ガラスとタイガーアイを見てもらった。

全ての手の内は誰にも見せない。見せたくない。俺の持っている数少ない切り札として活用するため話さないようにしたい。


換金の結果は、

金メッキは銅貨10枚。ガラスは銅貨5枚。

ダイヤとタイガーアイはどちらも銀貨10枚。


どうも金属の富有率が金額に影響しているようだが、ダイヤやタイガーアイなどの石のついたものは、精霊や神様の媒体になるケースがあって、そうなっている指輪はここでは全く査定できないそうだ。

ただ、希少な石のついた指輪は依代になるみたいで何もなくとも結構な値段がついた。


いずれにしても、異世界にきていきなり宝石商になってしまったようだ。お金に困らないことは大きく前進だから良しとしよう。


俺は大満足の結果を胸に、その後、能力開花について詳しく聞くことにしたのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ