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29 王都に到着

「街が壁に囲われている……だと」


「で、でけー、どこまで広がってるんだ」


「人がこんなに溢れている。今日は祭りなのか!?」


「1、2、3、4、5……すげえ、建物が5階建てだ。俺の知ってる建物と違う」




 目的地の王都についた。


 初めて見る大都市の姿に、子供たちは口を大きく開け、周りをキョロキョロとせわしなく眺めている。


 田舎者丸出しの一団だ。



「に、兄様、あんなに大きな建物が並んでますよ」


「これが王都、私が考えてたのと全然違う」


 リーリャとアイシャも、他の子供たちと同じで、周りをキョロキョロ眺めている。


 俺も周りを眺めてみるものの、子供たちほど驚きが沸かない。


 日本の都市に比べれば、建物の高さはそこまで高いわけでなく、人通りも多いには多いが、歩いていると肩が当たるほど密集しているわけでもない。


 レンガ造りの建物が立ち並んでいる姿は、中世風の世界観を見て取れ、興奮する……かと思いきや、そこまでしない。


 黄金竜だった時は、空から人間の街を何度も見ていたので、感動が薄いのだろうか?



「王都って言っても、こんなもんなんだな」


「これだけ人がいて、沢山建物が並んでるのに、その反応!?」


 俺の感想に、リーリャが呆気に取られていた。



「確かにうちの領地と違って、人や建物が多いけど、思っていたより規模が小さいな」


「さ、流石兄様。戦いだけでなく、この街を見ても、そう言えるんだ」



 リーリャを含めて興奮しっぱなしの子供たちと、同じ感想を抱けない俺だった。







 なお、俺たちと同道してきたフランソワーズ嬢だが、ここで一旦お別れだ。


「名残惜しいですが、私は王都にある屋敷に向かわなければなりません。クレイ様、ルーク様、王都にいる間に、ぜひ一度うちの屋敷を訪ねてくださいね」


「はい、分かりました」


 絶対に行きたくないです。


 と、心の中でだけで、続きを付け加えておく。


 フランソワーズ嬢は、別れる際にも、ルークの方を見て笑顔でいた。


 俺については、おまけだ。

 ルークのおまけでしかない。



 この幼女伯爵令嬢が、ルークに惚れているのは構わないが、それに俺を巻き込まないでほしい。

 斜め下過ぎる展開で、俺と結婚して、ルークを愛人にしようなんて話を、しないでもらいたい。



 別れる際には、フランソワーズ嬢の乗る馬車が見えなくなるまで、俺は笑顔で手を振った。


「もう二度と、会わないでくれ!」


 と、心に強く念じながら。




 しかし、これでフランソワーズ嬢がいなくなった。


「なあ、ルーク。お前はフランソワーズ嬢のことを、どう思う?」


「いい人だと思います。貴族のお嬢様なのに、平民の俺にも優しく話しかけてくれました」


「そうか」


 ここに来るまでの間に、フランソワーズ嬢が、俺と同じ8歳だと聞いた。

 女は成長が早いと言うが、一方で男は、いつまでたってもガキだ。


 7歳児のルークには、色恋沙汰を理解できるだけの頭が、まだないようだ。




 ま、いいや。


 フランソワーズ嬢には、もう会うつもりなんてないので、これ以上こいつらのことには関わらん。

 フランソワーズの屋敷に行く気はない。

 間違っても、フランソワーズ嬢に巻き込まれて、結婚なんて御免だからな。






 この後、俺たちは王都で宿を取り、この旅の目的である国王への謁見を、王城へ願い出た。


 ただ、国王との謁見は3日後となった。

 一国の王ともなれば大変忙しく、すぐに会って叙勲してもらえるとはいかなかった。



 なので、暇な時間ができてしまう。


 そこで子供たちにはお小遣いを渡して、自由にできる時間を与えた。


 修学旅行の自由時間だな。



「クレイ様、太っ腹っ」


「王都って、私たちの村と違って沢山お店があったわよ。何を買おうかしら」


「これだけ金があれば、屋台の食べ物をたくさん食べられるぞ」



 子供たちは、王都での自由時間にノリノリの様子。


 俺の領地には店がなく、たまに来る行商以外では金のやり取りがなかったので、お金さえあれば、食べて飲んで、そして買い物もできる王都は、まさに別天地のような世界だろう。


 まあ、金があればだ。


「言っとくが、俺が与えた金では、高い物なんて買えないからな。

 あまり変な物ばかり買って、あとで欲しいものが出てきた時に、しまったと思わないように。

 それと、迷子にはなるなよ」


「「「はーい」」」


 子供たちは、返事だけは一人前だった。



 しかし、まともに貨幣経済に浸ったとのない子供たちだ。

 どうせ渡した小遣いを、すぐに使い切ってしまうだろう。


 そうやって、金の便利さを知るとともに、金がない時の辛さも知るといい。

 これも人生経験だ。

 ド辺境の村では味わえない、金についての勉強だ。



 それに子供のうちに金の怖さを理解してないと、何でもポチって買い物依存症にかかっている、どこぞの上位神みたいになりかねないからな。





 ところで子供たちに交じって、リーリャが何か呟いて、ほくそ笑んでいた。


「ここなら、私より強い人がたくさんいるはず。フフフッ」



 俺の妹が、バトルジャンキーのはずがないので、俺の聞き間違いだな。


 黄金竜仕立ての神仕様の聴覚だが、絶対に聞き間違いだ。

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