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18 供回りの人選

 王都で国王から叙勲を受けるため、供回りを連れていくことになった。



 供回りの人選において、まず一番に声を上げたのが、ロイドじいさん。


「ここは見識ある私が……」


「じいさんは歳だから、却下。足腰が悪くて、最近はヒーヒー言ってばかりだろ」


「で、ですが……」


「ここから王都まで遠いんだから、足手まといは連れて行けないぞ」


「グ、グヌヌヌッ」


 口うるさいじいさんなどいらん。

 というわけで、俺はロイドじいさんの同行を、さっさと却下した。




 とはいえ、ロイドじいさんは自分がダメでも、供回りの人選”には”口出ししてくる。

 供回りの人選”にも”、という方が正しいか。


「供回りの筆頭には、スティーブンをお連れ下さい。

 あの男はこの領随一の騎士であり、護衛として欠かすことができません」


「騎士って、普段農民してるのに大げさじゃないか?」


「大げさではありません。それにスティーブンの強さは、クレイ様とてご存じでしょう」


「ああ、知ってるぞ」


 候補に挙がったスティーブンだが、この男は領内で一番強い男だ。

 むろん、俺という規格外を除いた中での話だ。


 ここ最近は、領内の子供たちがメキメキと強くなって、普通の大人たちを超えた実力を身につけている。

 1人でオーガを倒したりできるので、最近は領内でのモンスター防衛戦が、凄く楽になっていた。


 黄金竜印の不老不死の薬の副作用が原因だな。

 あれのせいで、子供の能力が黄金竜(オレ)寄りになっている。



 しかし、メキメキと実力を付けている子供たちを圧倒して、スティーブンは強かった。

 子供たちが複数で取り囲んでも、あの男は悠々と勝ってしまう。


 そしてデニング帝国との戦争で、領軍が出陣する際、いつも参加している。

 話でしか聞いてないが、戦場でもかなりの武勲を立てていて、他領にまでその名が知られているそうだ。


 ちなみに見た目は、セガールっぽい。

 実力があるので、拳一つで、テロリストに占拠されたアイオワ級戦艦を奪い返せそうだ。



 それにしても、こんなド田舎村に、よく住み着いてるよな。

 ここだと農家をしないと生活できないが、他の領に行けば、もっと金回りのいい仕事について、悠々自適に暮らせそうなのに。




「実力実績ともに、申し分のない男です。この男の参加は絶対です」


「分かった。俺も異存ない」


 スティーブンは供回り筆頭。

 それは俺とロイドじいさんの間で、同意できる。



 その後、俺とロイドじいさん、それに供回りとなるセガール……じゃなかった、スティーブンも呼び寄せて、供回りのメンバーを決めていった。




△ ◇ △ ◇ △ ◇ △ ◇




 そんな俺の王都行きの供回りだが、


「兄様が行くなら、私も行く!」


 俺の服をぎゅっと掴んで、リーリャが俺を離さない。


「分かってる。リーリャは置いてかないから、ついてきていいぞ」


「やったーっ」


 リーリャはにやけた顔で、嬉しそうにした。


 そんな妹の顔を見て、頭をよしよしと撫でてやる。




 さらに追加の人員が増える。


「この度シスターからの指示で、王都にある教会本部へ手紙を運ぶことになりました。

 私もクレイ様の旅に同行させていただきます」


 こう言って来たのは、シスター見習いのアイシャだ。


「分かった。しかし、リーリャと同い年なのに王都まで行けとか、シスターもスパルタだな」


「いいえ、私がシスターに無理を言っただけで……あっ、やっぱり何でもないです」


 照れた顔をして、口をゴニョゴニョさせるアイシャ。


 とはいえ、用事ついでに俺たちの王都行きに加えるのは問題ない。

 アイシャを1人で王都まで行かせるなんて、危なすぎて無理だもんな。




 その後も領地の人間が、俺も俺もと名乗りを上げてきた。

 特に、子供たちの名乗り声が元気だ。


「みんなド田舎で生活しているから、都会に一度は行ってみたいんだな」


 この領地、マジで何もないからな。

 そんな子供たちの中から、俺はそれなりの人数を供回りに加えた。





「クレイ様、流石にこの人数を連れて行くとなると、道中の旅費が」


 ただ、あまりに人数が増えたせいか、ロイドじいさんが途中から渋い顔をした。


 うちの領地貧乏だからな。

 王都まで行ける人数なんて、金銭的な意味で限られていて当然だ。



 だが、そんなロイドじいさんの前で、俺は人差し指を左右に振る。


「チッチッチッ、甘いなロイドくん」




 ロイドくん扱いされたじいさんが睨んできたが、未来の領主様に向かって、その視線はダメだろう。



 だが、今の俺は気分がいい。

 ニヤリと笑って、ロイドじいさんの耳元で話しかける。


 これからする話は、他の誰かに聞かれてはまずい話なのだから。


「マーサ婆さんの冒険者ギルドだが、あそこで子供たちからピンハネした収益の一部は、この領の税収……つまり俺の懐に入ってきてるんだよ」


「なっ!」


「子供たちが1人でオーガを倒せるようになったおかげで、もうウハウハだよ。ウハウハ。笑いが止まらないぞ」



 俺、清廉潔白な君子じゃないから。

 オーガの魔石って、俺が思うよりかなり高く、ぼろ儲けだ。



 我がアルセルク家は父上の代から、マーサ婆さんの阿漕なギルド運営を黙認する代わりに、通常の税率以上の税金を受け取っている。


 つまりは賄賂だ。



 アルセルク家の税収は、マーサ婆さんの冒険者ギルド1件から受け取る収益が、ほぼ全てを占めていた。

 領地で真面目に農家をいる家々からの税収なんて、目じゃない額だ。



 おかげでド辺境の領地なのに、結構な額が金庫に蓄えられている。



「この話、絶対に漏らすなよ」


「わ、分かりました。クレイ様は、存外しっかりしておられますな」


「分かってくれればいい。これでも将来の領主だからな」



 普段口うるさいロイドじいさんだけど、この時ばかりは俺に圧倒されていた。


 よし、このじいさんにも悪事の片棒を担がせて、俺に逆らえないようにしていこう。

 そうすれば、口うるさくされることがなくなるぞ。

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