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9.5 (番外編)黄金竜と上位神の、心温まらない出会い

「余は偉大なる深淵の主にして、今は滅びし世界の王であーる」


 ……返事はない、誰もいないので当然だ。



 余は、ちょっとばかし前に起きた神界大戦争という、神々の遊びに参加した際、周辺にある250の星系をまとめて消し飛ばしてしまった。

 余にとっては、肩慣らし程度の一撃であったが、他の神々からは壮大な顰蹙を買ってしまった。

 以後、余は他の神々から爪はじきにされ、臭いもの扱いされ、関わったらダメな奴扱いされてしまった。



「グ、グヌヌ、余がちょっとばかし他の神々より強いからって、よってたかって余をいないもの扱いしやがって。あんな連中とは二度とつるんでやるものか」


 てなわけで、余は自分1柱だけがゴロゴロダラダラ、ノンベンダラリと過ごせる、自分専用の世界を作り出して、そこに引きこもった。


 永遠の時を生きる余は真正の神であり、つまるところ時間の流れというものが、かなりアバウトである。


 2、300億年ほど引き籠りを続けた。

 ボッチ空間から毎日神界ネットを介して、他の神々が作った動画などを見て、ダラダラと過ごした。


 ブッ。


 神であるが、屁くらいする。


 尻をボリボリかきながら見ていた動画では、美人の金髪女神が、『本格ドラゴン卵のフワフワオムレツ』なるものを作っていた。


「ウヘヘー、可愛い女神だなー」


 動画と言っても、それは神の世界の動画。

 地球などと呼ばれる星の動画とはけた違いで、余の目の前では、立体的に映し出された女神の姿がある。

 質量再生機能付きの動画であるため、立体的なだけでなく、お触りすることもできるのだ。


「サワリサワリ」


 というわけで、お触り合法。



 ギロリッ


「……すんません、ちょっと出来心で触っちゃいました」


 神界の動画だけあって、お触りしたのがバレてしまい、動画の女神が余を睨んできた。


 こういうところは、無駄に高すぎる神クオリティで困る。


 動画のくせに、お触りしたら睨まれるのは、困ったものだ。



「あー、余もたまには料理のでもするかな。2、30億年は何も食ってないから、たまには飯でも食うかー」


 決して美人女神の色気に触発されたわけではない。

 久々に本格的な料理をしてみようと思っただけだ。


 どうせ毎日暇してるからな。



「ということで、神界ネット通販サイトで、ポチポチ。

 おっ、高級ドラゴンの卵があるな。これもポチって購入だ」



 あとで気づいたが、ドラゴンの卵の値段が、3桁ほどおかしなことになっていた。


「グハッ、買った後で高額ぼったくり商品だったことに気づいちまった!キャンセルだ、今すぐキャンセ……」


 しかし注文した商品は、即座に俺のいるボッチ世界に、送られてきた。

 神クオリティ過ぎて、商品購入から配達までが、ほぼタイムラグなしなのだ。


 ちなみに余のいる世界だが、余以外には何人たりとも入り込むことができない、超高度な隔絶空間にある。

 だが、通販商品の配送だけは入ることができる。


 郵便ポストみたいなものだ。


 余は、偉大なる神なので、この程度のことは造作もなくできるのだ。




 ただし、


「……一度発送した商品の返品は受け付けていません、だと」


 余の能力をもってしても、通販サイトの規約に抗うことはできない。


「クソ通販め!このサイトは二度と使ってやらん!」


 そう決意し、余は届いたドラゴンの卵とその他諸々のことを忘れ去って、他の事で暇つぶしすることにした。




 それから何万年かしたら、放置していた卵が孵化していた。


「ギャオー」


 なんて言って、卵から小さな黄金のドラゴンが出てきた。

 生まれたてのくせに、もう(ブレス)を噴いてやがる。



「……この卵、有精卵だったのかよ」


 驚きだ。

 放置していたので、存在自体忘れていたのだが、食用の卵が有精卵って、ダメじゃないか?


 本当にあの通販サイトはダメだ。


 この前、行きもしない高級スキーウェア一式を、あのサイトで衝動買いしちまったけど……




 それはそれとして。


「仕方ない、ドラゴンオムレツは諦めて、ドラゴンの姿焼きでも作るか」

「ギャッ!」

「グッ、こいつ上位神である余の指を噛みやがったな!」

「グガガー!」

「ただのドラゴン風情が、余に楯突くとは片腹痛い。余の真なる力を見せてくれよう。ウオオオーッ」


 ドラゴンなんぞに噛みつかれたとあっては、上位神の名折れ。

 余は全力を持って、クソドラゴンに実力の違いというものを……


「ギャー、顔はやめろ!爪が立ってる。ギブギブッ!」

「フガーッ」


 ドラゴンに顔をひっかかれて、余は急いでその場から退散した。


 てか、あのドラゴン、余の傷口から出た血を舐めているぞ。

 余の血はドラゴンの飯じゃないのに、なんて野郎だ。




 なお、そんなドラゴンだけど、数年後には野郎でなく、メスだと判明した。

 ドラゴンの性別なんて、どうでもいいけど。




「それより、もっと太って、大きくなれ。

 お前は将来巨大ドラゴンの丸焼きになって、余に食われるのだからな。

 ……ギャー、指を噛むな!」


 本当に、こいつはクソドラゴンだ。

 飼い主である余のことを、なんだと思っている。



 余は、考えを改めたのだ。

 どうせドラゴンの丸焼きにするなら、子供より、育てて大きくしてから食べたほうがいいと。


 しかし、いつも余の指を噛んで、血ばかり舐めやがるので、ちゃんとした(ペットフード)も与えてやることにした。



 余が通販サイトで購入したものの、3年で飽きて放置していた枯れかけの世界樹の盆栽を食わせたり、ボッチ世界の中で意味もなく購入したまま埃をかぶっていた、アダマンタイト、ミスリル、オリハルコンなどの鉱石を食わせてやる。


「モガモガ、フガーッ」

「お前、何でも食うな。余としては、いらないゴミが減るのでありがたいぞ」



 おまけで、スターハートという名の星の心臓部からしか取れない鉱石や、珍しいので購入してみたものの、その後ただの置物と化していた、ブラックホールの欠片なんかも食わせてみた。


「ペッ」

「ブラック―ルの欠片は貴重なのに、吐き出しやがった!

 なんで食わねえんだよ。食いやがれ、余の世界に、あるゴミを始末しろ!」

「フガーッ」

「ギャー、腕をひっかくなー!」


 やっぱりクソドラゴンだ。

 さっさと丸焼きにした方がいいかも。




 ただ、そんなことを2000万年もしていると、なぜかクソドラゴンに愛着がわいてしまった。


 買った時はただのオムレツの材料、孵化してからも食料扱いだったが、その後便利なゴミ箱へと昇格した。

 一時期は非常食と名付けて呼んでいたが、気が付いたら、俺のペットにしてもいいくらいに愛着ができていた。


「やべえ、クソな性格してるドラゴンに愛着持つとか。

 もしかして余って、自分で思っているより、メチャクチャ寂しい生活してる?」

「フガーッ」

「……」



 クソドラゴンに、憐憫の目で見られちまった。



「よ、余は、そこまでボッチじゃないんだからな!」

「フガーッ」



 とまあ、これが余とクソドラゴンの、たいして感動的でなければ、ちっとも心温まることのない出会いである。

 この後クソドラゴンとは、なんだかんだでウン十億年の付き合いになる。


 しょせん、余のペットでしかないがな。

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