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14 手紙と告白ー2

「むぅ、防御が固い…」


 けれど次の休み時間になっても彼女は手紙を読む素振りを見せない。学校ではクラスメートに見られる恐れがあるので警戒しているのだろう。


 仕方ないのでこっそりと盗み見る作戦は断念。弱みにつけ込む方針に変更した。


「華恋」


「え?」


「一緒に帰ろ」


 放課後になるとターゲットに話しかける。ナチュラルな態度を装って。


「実は体調を崩しちゃってさ」


「体調…」


「悪いんだけど家まで付き添ってくれないかな。途中で倒れちゃったらマズいし」


「……コイツ」


「ゴホッ、ゴホッ!」


 そのままワザとらしい咳払いを連発。一連の動作を彼女が威圧感なオーラを発しながら睨み付けてきた。


 2人して教室を出た後は下駄箱へ。周りにクラスメートがいなくなったのを見計らい再び声をかけた。


「もう手紙は読んだ?」


「手紙? 何の事ですか?」


「いやいや、ラブレター貰ってたじゃないか」


「さぁ? 記憶にありませんけど」


「とぼけても無駄だよ。白い封筒が下駄箱に入ってたの見てるもん」


「そんなの知りません。雅人くんの気のせいじゃないんですか?」


 質問を全てぞんざいな答えで返されてしまう。まるで存在自体を無かった事にするかのように。


「はぐらかさないで教えてください。気になるんですよ」


「……何でそこまで気にするんですか」


「そりゃ、だって妹みたいなものだし」


「い、いつからアナタの妹になったんですか。私は!」


 負けじとこちらも適当な台詞を放出。平然と嘘をつけるようになったのは隣にいる人物の影響だった。


「どうしてもダメ?」


「ダメです」


「土下座しても?」


「土下座なんかしてないじゃないですか。してもらっても困りますけど」


「頑固だ奴め…」


 粘るがなかなか成果を見せない。こんな事ぐらいで彼女が折れるハズがないのだけれど。


「教えてくれないとクラスの皆にラブレター貰った事バラすよ」


「なっ!?」


「盛り上がってる現場を傍から見るのが好きなんだ」


「……そういうのは卑怯だと思います」


「あ~、なんか口が滑らかになりそう。つい余計な発言をしちゃうかもしれない」


 やむを得ず脅迫を開始。高圧的な態度で会話を進めた。


「いてっ!?」


「調子乗んな、バカ!」


「……っつぅ~」


 だがその行動を見て彼女が殴りかかってくる。持っていた鞄で。更に悪ふざけが過ぎたのか嫌悪感を剥き出しに。もう敬語を使う素振りすら見せなくなっていた。


「悪かったから機嫌直してよ」


「ふんっ!」


「そこまで怒らなくても。ちょっとからかっただけじゃないか」


「うっせ」


「無視ですか? 無視ですか?」


 問いかけに対してまともな返事が返ってこない。目も合わせてはくれない。


「でも誰なんだろうね、手紙の相手。クラスの男子かな」


「……知らない」


 真っ先に思い付いたのは颯太だった。彼女に好意を寄せている人物だから。


「心当たりはある?」


「ないわよ、んなもん」


「やっぱり中身を確かめない事には分からないなぁ」


「絶っっっ対に見せないからね!」


「……はい」


 どれだけ頼み込んでも見せてはくれないらしい。ならば裏技に走るしか道はなかった。

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