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14 手紙と告白ー1

「う、うわあぁあぁっ!?」


「え? え?」


「それはラブレターというヤツでは…」


「……は?」


 夏休みが明けて数日が経過した朝。昇降口で事件が起こる。華恋の使用している下駄箱に1通の封筒が入っていた。


「見せて!」


「あ、ちょ……返してくださいっ!」


「え~と、名前がどこにも書いてない」


 戸惑っている彼女より先に手を伸ばす。どこにでも売っているような至って普通の白い封筒に。


「開けていい?」


「ダメです。返してください」


「いや、だって中身気になるし」


「それ私のなんだから勝手に持っていかないでくださいよ」


「差出人を確かめるだけ。それだけだから」


 上履きに履き替えないまま質疑応答を開始。不測の事態が起きたからかお互いに興奮状態になっていた。


「コラッ」


「いって!?」


 しかしまたしても不測の事態が起こる。小競り合いを繰り広げている最中に隣にいた智沙に頭を小突かれた。


「人の物を勝手に見るんじゃないの。返してあげなさい」


「……ちぇっ」


 奪い取った手紙を渋々持ち主に返す。舌打ちをしながら。


「でも本当にそれラブレター? 果たし状じゃないの?」


「なんでこんな可愛い子に決闘申し込むのよ。有り得ないでしょうが」


「だからその可愛さに嫉妬して一発喰らわせてやろうと考えた女子の仕業とか」


「逆恨みによる犯行か。有り得るわね」


「あの……勝手に話進めないでくれますか」


 友人と妄想全開のトークで大盛り上がり。そこに薄ら笑いを浮かべた華恋も割り込んできた。


「あぁ、ゴメンね。こういう経験ないから色々と想像しちゃって」


「いえ、お2人の会話が冗談だって分かってますから」


「でも今時ラブレターなんて古典的よね。相手どんな男かしら」


「さ、さぁ? どんな方でしょう」


「やっぱり知りたいわよね、分かる分かる。自分に告白してくるのがどんな奴なのか」


「いやいや、智沙は告白された事ないじゃん」


 ヘラヘラと笑いながら友人にツッこむ。無礼にも顔を指差して。


「しねえぇーーっ!!」


「ぐわぁっ!?」


 その瞬間に登頂部に痛みが発生。鞄で思い切り頭を殴られてしまった。


「いちちち…」


「中身見せてって言ったら怒る?」


「え~と…」


「あぁ、やっぱり良いや。誰かに見られたくないもんね、うん」


「は、はぁ…」


 苦しんでいる自分を他所に女子2人が駆け引きを展開。一通りのやり取りを済ませた後は廊下を移動した。


「なんで隠すの?」


「べ、別に隠してなんか…」


 教室へとやって来ると鞄を机の上に置く。席には座らず同居人の元へ向かった。


「見られるの恥ずかしい?」


「そういうわけじゃ、ない……ですけど」


「ふ~ん」


 しかし近付いた瞬間に彼女が封筒を隠してしまう。頬を真っ赤に染めながら。


「ふむ…」


 これはチャンスかもしれない。いつも理不尽なワガママを振るってくる悪魔への反撃になると確信した。


「絶対見たる……中身見たる」


 席に戻ると密かに一つの誓いを立てる。復讐心を煮えたぎらせた。

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