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エピローグー3

「雅人、飯食いに行こうぜ」


「あ、うん。今日も学食でいい?」


「おう。女体盛り定食とか無いかな」


「……学食のおばちゃんの裸とか見たいの?」


「ウオオオゥエェェッ!!」


 昼休みになると颯太と2人で教室を出る。互いに弁当を持参していない為、毎日学食か購買のお世話に。


 母親は面倒くさがり屋なので基本的に朝食しか作ってくれない。なので華恋共々、小遣いでやりくりしていた。


「うぉっと!?」


「きゃっ!」


 会話をしながら廊下を歩く。その途中の曲がり角でタイミング悪く人と衝突した。


「いちち…」


「……ったぁ」


 尻餅を突く形で廊下に倒れてしまう。相手の女子生徒共々。


「だ、大丈夫だった?」


「あ……はい。平気です」


「ごめんね、よそ見してたから。怪我とかしてないかな?」


「いえ、こっちこそボーっと歩いてたので。すみません」


 互いに第一声で謝罪した。ヘコヘコと頭を下げながら。


「……あ」


 ふと女子生徒の顔に意識を奪われる。失礼とは知りながらも間近で直視した。


「ちょ、ちょっと待った!」


「はい?」


 咄嗟に呼び止める。立ち去ろうとしていた衝突相手を。


「えっと…」


 だが言葉が上手く続かない。彼女だけではなくその隣にいた友人らしき人物の視線もこちらに向いていた。


「君、お兄さんいる?」


「え?」


「この学校に兄弟いない? 2年生か3年生で」


「いえ、いませんけど」


「そ、そっか」


 質問を飛ばすが否定的な意見が返ってくる。手を左右に振る動作が。


「行こ。香織」


「……あ、うん」


 スカートの埃を払った彼女は友達に促され退散。気まずい空気から逃げ出すように歩き出した。


「大丈夫か、雅人?」


「まぁ。大したことなかったから平気」


「今の知ってる子? 1年生だよな」


「そうみたいだね。もしかしたら同じ中学の子だったかもしれない」


 続けて自分の方にも知り合いが接近。やり取りを無言で見ていた颯太が近付いてきた。


 あの姿に見覚えがあった。仕草も口調も、そして香織という名前にも。


「しかしお前も大胆だな。女子をいきなりナンパとか」


「違うよ。そんなんじゃないんだってば」


「どっちの子が好みだった?」


「いや、だから…」


 否定したが面識の無い人物に突然質問をするのも不自然だろう。指摘された通りベタなナンパでしかない。


「とりあえず俺達も学食行こうぜ。腹減ってきたわ」


「そだね。早く行こうか」


「今日は何食おうかな~。おっぱいプリンとか食べたいなぁ」


「……おばちゃんの作ったおっぱいプリンに興味あるの?」


「ウオオオゥエェェッ!!」


 友人が意味不明な雄叫びをあげる。落とし物がないかを確かめると食堂に向けて歩き始めた。


「智沙~、学食行こ」


「おい、鬼頭。お前なんで昨日の委員会休んだんだよ!」


「丸山くん、黒板消しといてくれてありがとね」


「小田桐さんって彼氏いるのかな? いないなら俺、告ってみようかな」


 周りを見てみれば見知った顔が何人も通りすぎていく。中学時代からの同級生だったり、去年のクラスメートだったりが。


「んっ…」


 もし歩む人生が違っていたら彼らとも何かしらの関係を築いていたのだろうか。ついそんな想像をしてしまった。

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