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17 裏切りと涙ー2

「ねぇ、そろそろ泊まる場所予約しようよ」


「そうだね。行き当たりばったりでも良いけど、やっぱり確保しといた方が安心だもんね」


「ん? 何読んでるの?」


「レジャー雑誌。どこか良い遊び場はないかなぁと」


「へぇ、珍しいじゃん。私はどこでも良いよ、雅人が一緒なら」


「……誰が君と行くって言ったんですかねぇ」


 晩御飯を済ませた後は華恋と2人して部屋に籠る。旅行の打ち合わせの為に。


「はぁ? じゃあ誰と行くって言うのよ」


「えっと……颯太」


「ふ~ん、男2人でプールや遊園地ねぇ」


「べ、別に良いでしょ。たまには男同士、友情を深め合ったって」


「ただ遊びに行くだけならね。でも目的は別にあるんでしょ?」


「別の目的?」


 発言の不自然さを彼女が指摘。伸ばした指で顔を指してきた。


「アンタ達の目的はずばりナンパ。女の子と出逢いたいだけでしょうが!」


「はぁ?」


「それ以外に考えられないわ。じゃなきゃわざわざ男2人で遊園地とか行くハズないもんね」


「え? え?」


「あのバカが一緒だもん、間違いないわ。その時は私も付いて行くから」


「あ、あの……本当にただ普通に遊びに行くだけなんですが」


「んなもん、そうですかと素直に信用する訳ないでしょうが。怪しい行動は全て取り締まる」


 妙な流れに突入する。予想を遥かに下回る勘違い路線に。


「どうして訳わからない解釈するんだよ。華恋だって友達と普通に遊びに行ったりするじゃないか」


「……絶対にナンパとかしない?」


「しないって。そもそもそういうタイプじゃないじゃん」


「ま、まぁ…」


「それにナンパ目的で行くならこうして雑誌読んでる所なんか見せないし」


「言われてみたら確かに…」


 女の子と遊びに行くのだから声かけなんかするハズがない。そんな真似をしても可愛い後輩に愛想を尽かされるだけ。


「なら我慢する…」


「ふぅ…」


 本心はごまかしつつ理屈で華恋の主張を封殺。この日はおおまかな行き先を決めて宿泊先を予約をした。




「元気?」


「暑くてダルくて死にそう…」


「だらしないなぁ。そんなに苦しいならクーラーつければ良いのに」


 バイトが休みの昼間、知人宅を訪れる。団地で母親と2人暮らししている友人の家を。


 失恋のショックを引きずっているのか彼女は未だに落ち込んだまま。どこかの引きこもりな後輩と同じような言動を連発していた。


「お母さんが節約しろってクーラーの温度上げるのよ。扇風機は壊れちゃってるしさ」


「確かに蒸し暑いね。この部屋サウナじゃん」


「でしょ? だから毎晩死んでるってわけ」


「どうやって蘇生してるの?」


 ただ血色はさほど悪くない。へばっていても食事はしっかりとしているらしい。食欲が湧くだけマシだろう。何も口に入れなかったら本当に餓死してしまうから。


「智沙って夏休み中、暇?」


「あぁん? 何で?」


「いや、予定ないならどこか遊びに行かないかなぁと」


「は?」


 友人が床に大の字で寝転がったまま睨み付けてくる。磔にされたガリバーのように。


「……急にどうした。暑さで頭がやられたのか?」


「違うよ。皆でって意味」


「あぁ、なるほどなるほど」


「別に良いでしょ。高校生、最後の夏休みなんだもん」


「そうか。あと半年で卒業だもんね…」


 言葉にすると嫌でも意識せずにはいられない。もう少しで今の生活とはお別れなんだという事実を。


 憂鬱な気分を吹き飛ばしたいのか彼女は突然の提案を快く了承。ついでに幹事を任せてきた。

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