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14 猜疑心と親切心ー3

「ま~さと」


「ん?」


「一緒に帰ろ」


「……げぇ」


 約束当日の放課後、席に座って待機していると話しかけられる。待ち合わせ相手ではなく同じクラスに在籍している妹に。


「え、えと……無理っす」


「なんで? バイトお休みだよね?」


「今から予定があって…」


「なんの用事? 私なんかよりもずっとずっと大切な事?」


「そ、それは…」


 彼女が顔元に大接近。キスでもするのではないかと思えるぐらいの勢いで近付いてきた。


「雅人、ほら来たぞ」


「あ、颯太」


「ん? 華恋さんもいたんですか! こんにちは」


「うっ…」


 どう言い逃れしようか考えていると友人が教室に到着する。本来の待ち合わせ相手が。


「よし、じゃあ早速行こうぜ。女子校」


「……女子校」


 けれど続けざまに彼が口にした台詞に華恋が強く反応した。手首を思い切り掴んでくる程に。


「どういう事?」


「え~と…」


「私も行って良い? 良いよね? ね?」


「危険だからやめた方がいいと思いますよ…」


「やった、ありがとう! だから雅人って大好き!」


「ちょ……人の話聞いてる?」


 彼女が無理やり同行を名乗り出る。怖すぎるハイテンションで。追っ払おうとしたが颯太もその意見に大賛成。予定を大きく変えて槍山女学園を目指す流れになった。




「不審者?」


「そうそう。最近あっちの学校に出没するらしくてさ」


「へぇ」


「それで後輩の子に頼まれて調べてみようって流れになって」


 自転車を押す颯太を先頭に3人で歩く。さすがに目的を隠しておくのは不可能なので華恋にも事情を説明する事に。


「な~んだ。私はてっきり男2人でナンパでもするのかとばかり」


「そ、そんな訳ナイジャナイカ」


「……どうして目を逸らしながら喋るのよ」


「えへへ…」


「でもそれなら智沙や鬼頭くんにも一緒に来てもらった方が良かったんじゃない? 人数が多い方が心強いし」


「まぁ……色々と理由があってそれは出来なくて」


「理由?」


 まだ犯人が目の前にいる友人だと決まった訳ではない。だが可能性がゼロとも言い切れない。なので先に確かめなくてはならなかった。女子生徒に手を出す不埒者が別に存在しているのかを。




「先輩、こっちこっち」


「お待たせ」


 学校へ到着すると紫緒さんと合流する。事前に頼んでおいた通り彼女は1人で来てくれた。


「いやぁ、まさか本当に協力してくれるとは」


「約束したからね。颯太が勝手にだけど」


「ところでこの女性は誰っすか?」


「え?」


 テンション上げまくりの後輩が真っ直ぐ人差し指を伸ばす。無言で立ち尽くしていた女子生徒の方へと。


「あ、えと……うちの妹」


「あぁ、なるほど。こんちはっす」


「……どうも」


「けど大丈夫っすか? 今から不審者とやりあうかもって状況なのに」


「あはは……怖くなったら逃げま~す」


 辺りを警戒している颯太には聞こえないよう小声で情報を伝達。素直に家族であるとバラした。


「どうしよう。俺達は何をすればいい?」


「ていうかまず不審者ってどこら辺に現れるの?」


「学校近辺の路地っす。ただ狙われた生徒は全て1人で行動してる時だったとか」


「なら団体行動してたら出会えないわけか…」


 普通に考えたら当然の状況。弱い人間をターゲットに選ぶのは狩りをする上での常套手段だった。


 せっかく4人もいるので2組に別れる事に。男女1人ずつでチームを作った。

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