22 少女と決意ー1
「というわけで実は兄妹だった」
「は?」
ヌイグルミが置かれたベッドに腰掛ける。自室ではなく隣にあるもう1人の妹の部屋で。
「かくかくしかじか、という訳で」
「えーーっ!? マジで!?」
「……どうしてこの説明で分かるのさ」
華恋にした話と同じ昔話を説明。部屋主は終始感嘆の声をあげながら耳を傾けていた。
「作り話みたいな展開じゃん。少女漫画でそういうの読んだ事あるよ」
「華恋も同じこと言ってた。まさか自分がそんな体験する事になるとは思ってなかったって」
「華恋さんも知らされてなかったの? 自分のお母さんから」
「そうっぽいね。教えてあげたら驚いてたよ。んで泣いてた」
「うわぁ……それって嫌われまくってるって事じゃん」
「なんで?」
「だってこんな男と双子なんてヤダって意志の表れでしょ? 可哀想に」
「それはどっちに対しての可哀想なの?」
関係性は打ち明けたが心境までは話していない。お互いに好意を抱いていたという事実は。
華恋と話し合って親戚の家に行く事は先延ばしに。双子なんだから別々に暮らすのはおかしい。そう主張したら父親も母親もあっさり承諾。ただ2人にも本当の理由は言わなかった。
「その話を聞かされた時どう思った? やっぱりビックリした?」
「そりゃあね。香織だって知り合いの人が実は兄弟だって聞かされたら驚くでしょ?」
「だねぇ、卒倒するかも」
「まさか自分がもう1人いるなんて思わなかった。類似点なんかほとんど無いし」
「そうかな。顔とか結構似てると思うけど」
「え~」
さすがにその考え方には同意出来ない。女っぽい顔とは言われるが本物の女性と比べたら違うので。
「じゃあこれからは華恋さんの事もお姉ちゃんって呼ばないといけない訳か」
「いや、その前に僕の事をお兄ちゃんって呼んだ事ないじゃん」
「あれ? そうだっけ?」
「別に今まで通りで良いんじゃないかな。変に気を遣おうとしなくても」
「そっか、そうだね」
「基本的にはあんまり変化ないよ。ただ関係が双子になるってだけだから」
「……うん」
場に和やかな空気が広がる。真面目な話題を交わしていたが居心地は悪くなかった。
「もしかしたら私も含めて三つ子という可能性も…」
「いやいや、香織は年齢違うじゃないか」
「ちっ…」
「なんで舌打ち?」
さすがに彼女まで血の繋がりがあるとなったら全てが冗談であると言わざるを得ない。あまりにも両親達の繋がりが複雑すぎるので。
「ふぅ…」
香織にはこうして説明したが学校の皆には打ち明けていない。華恋に『内緒にしておいてほしい』と言われたからだ。どうやらクラスの皆には双子であると知られたくないらしい。
せめて相談に乗ってくれた智沙にだけは伝えようとしたがそれも頑なに拒否。なので家族だけでしか秘密を共有出来ていなかった。
だがもちろんそんな状態をいつまでも続けられる訳がなく。休み時間に本人の方から問い詰めてくる事態になった。