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4話目「眠たい先輩と適当な後輩」

「あ~あ~眠い」


「なんですか、さっきからあくびばっかして」


「いや~ぜんぜん頭が目覚めない」


「夜更かしでもしたんですか?」


「いや、いつも通りの時間に寝たんだけどな~」


「いつも通りって何時です?」


「10時」


「10時?それで何時に起きたんです?」


「7時」


「たっぷり9時間は寝てるじゃないですか。なんでそんなに眠いんです?」


「いや~朝ぜんぜんダメなのよ。どんなにたくさん寝てもスッキリ起きれたことない」


「寝過ぎて逆に眠いとか?」


「いや、何時間睡眠取っても一緒。朝ぜんぜん起きられない」


「ふ~ん。なんでしょうね? そんだけ寝れば頭スッキリするはずなのに」


「私の脳は、朝起きないように出来てんじゃないのかな?」


「そんなことないでしょ。先輩の中で、朝は憂鬱なものっていうイメージが出来てんるじゃないですか?」


「ああ、まあ出来てるかも」


「それなら、朝は気分爽快! 今日も楽しいことが待っている! って思い込めば、もっと簡単に起きられるんじゃないですか?」


「どうやって思い込めばいいの?」


「夜寝る前に唱えるんですよ」


「唱える?」


「そう。明日はきっと楽しいことがいっぱいある。お金を拾うし、男子に声を掛けられるし、勉強も上手くいくって」


「なんだか私の人生が楽しくないみたいな言い方だな」


「実際楽しくないでしょ? 楽しいこと最近ありましたか?」


「いや、特にはないけど」


「でしょ。だから思い込ませるんです」


「けどさ、実際は楽しいことなんて起きないんでしょ? 余計朝が嫌になりそうだけど」


「なんだかネガティブですね


「あんたがポジティブなだけだよ」


「じゃあさ、もういっそのことイケメンに毎朝起こしてもらうっていうのはどうです?」


「はっ?」


「イケメンに起こしてもらえば、スッキリ起きられますよ」


「そのイケメンっていうのは誰?」


「雇うんですよ。学校の掲示板に載せるんです。毎朝起こしてくれるイケメン募集! あっ、先輩の好みなんでした?」


「細身の人」


「細身の人優遇」


「そんな経験者優遇みたいな」


「いいじゃないですか。毎朝500円で雇うんです」


「ちょっと高くない? 私のお小遣い1000円なの知ってるでしょ」


「イケメンに起こしてもらえるんですよ。むしろ安いくらいです」


「そうかな~? けどさ、そのイケメンは起こしてくれるだけなんだよね?」


「それ以上のことを求めてるわけですか?」


「いや、そういうわけじゃないけど」


「起こしてもらえるだけで充分じゃないですか。まさか………あわよくば、その人といい関係になろうと思ってるんですか?」


「思ってないよ」


「とりあえず面接は先輩と私やりますから」


「まだ求人出すとは決めてないから。出さないけど」


「それじゃあ、どうやって朝スッキリ起きるつもりです?」


「もっと簡単な方法があるでしょ? 例えば、起きてすぐにブラックコーヒー飲むとか」


「ああ、それはダメです」


「なんで?」


「私お腹悪いから。即トイレですよ」


「いや、あんたのことを言ってんじゃないよ」


「あっ、そっか」


「あとは、大音量で音楽を流すとか」


「ああ、それもダメ」


「なんで?」


「私、音楽の才能あるから。音楽なんて聴いたら即ミュージシャンですよ」


「だから、あんたのことを言ってんじゃないよ」


「あっ、そっか」


「ラジオ体操するとか」


「ぜんぜんダメ」


「なんで?」


「私、運動神経いいから。ラジオ体操なんてしたら即、金メダルですよ」


「言ってる意味がよく分からないし、あんたのことじゃないし」


「あっ、そっか」


「ねえ、さっきから真面目に考えてないでしょ?」


「最初から考えてないですよ」


「最悪だな。私はけっこう切実に悩んでんだよ」


「そうは思わないですけど」


「朝から家族と会話するじゃん。頭が回らないから、ぜんぜん会話できないの」


「そんなに?」


「うん。この間なんか、お父さんが『最近老眼がひどいな~』って言ってさ、私『えっ? いつから見えるようになったの?』って返しちゃったんだよ」


「どういうことですか?」


「老眼がひどいな~ってのを霊感が強いな~って聞き間違えてんだよ」


「どういう聞き間違えですか。霊感が強いことを朝の会話で言わないでしょ」


「そうなんだよ。本当に頭が回らないわ」


「切実ですね」


「切実でしょ」


「うん。ところで今はどうですか?」


「今?」


「うん。先輩、さっきまで眠いって言ってましたけど、今はどうです?」


「あっ、スッキリしてるかも」


「でしょ?」


「おお、すごい。よし、分かった。毎朝、色音いろねちゃんとくだらない話をすれば頭がスッキリするんだな」


「そうみたいですね」


「明日から毎朝、私と会話してね」


「嫌ですよ」


「なんで?」


「私だって忙しいんです。毎朝は無理」


「じゃあさ、電話で話そうよ」


「そこまでして頭スッキリさせたいんだ」


「うん」


「めんどくさ」


「そう言うなよ~」





おわり

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