俺は生きていた、幼馴染みがどうしたの?と聞いてきた。
ご無沙汰しております。ぺんぎんです。突然ですが、二話目更新します。
読んで頂けたら幸いです。
「!?」
勢いよく起き上がった。
思わず、心臓に手を当てた。
心臓は、動いていた。
「生きて、る……?」
バクバクとうるさく鳴る心臓と、過呼吸気味何とか整えた。
痛みと衝撃で、起き上がったのに、
そこは、俺の部屋の中だった。
「…………夢?」
やけに生々しい夢だった。
痛みや衝撃、恐怖。
全部覚えていて、それでも夢だと結論付けたのは、
「夢だよな、そうだよな……」
俺が殺した相手が、俺の顔をした奴だったからだ。
生々しさがある夢なのに、逃げ回る俺や、包丁を振り回す俺の顔なんか、
よくよく考えれば、不気味なのに滑稽な雰囲気すらあった。
夢だったからこそ、考えられる話だが。
「起きるか……」
学校に遅刻してしまう。
どれほど、怖い夢を見ようが、
――たとえ幼馴染みが殺されようが。
変わらず日常はやってくる。
だから俺は、その日常に、生きていく。
* * *
なのに――
「何よ、変な顔して」
幼馴染みが生きていた。
余程変な顔をしていたのか、幼馴染み――青木葵は怪訝な顔をしていた。
「どうしたの?」
「…………葵?」
「そうだけど」
「お前、何で生きて……」
「? 生きてるから生きてるんじゃない?」
おかしな切り返しで、それが彼女らしさで、
殺されていた筈の幼馴染みが生きている、何よりの証に思えた。
混乱している。
考えながら、そんな自分を自嘲した。
* * *
青木葵は校舎裏で殺された。
包丁で突き刺された状態で、血塗れの姿で発見された。
発見された時はもう、死んでいた。
学校内で警察が入り込み、物々しい雰囲気があった。
学校内で不審者がいなかったのか。
彼女の身に何が起こったのか。
幼馴染みということもあり、事情聴取が俺にも行われた。
ただ、青木葵の死に、俺は関わっていなかった。
その時、俺にはアリバイがあった。
友達が証言してくれた。
そもそも青木葵と俺は、高校に上がってから、
なんとなく気まずくなり、お互い関わらないようにしていた。
俺が一方的に避けていた面は否めなかったが。
とはいえ、事情聴取を受けた俺は、噂の中で面白がられた。
曰く、痴情のもつれで殺したんじゃないかとか。
漫画であるようなトリックで、幼馴染みを殺したんじゃないかとか。
付き合ってもいないのに。縺れも何もないだろ。
アホか。
噂を一蹴しながら、日々を過ごしていた。
それは、幼馴染みの死を直視できない、俺なりの現実逃避の仕方だった。
そして、そのままズルズルと日常を過ごしていると、
俺の顔をした奴に、包丁を片手に、襲われたのだ。
* * *
そいつに殺された俺は生きていて、
どこの誰とも知らない相手に殺された幼馴染みも生きていた。
その事実に、『夢だったんだ』と思うには、
違和感があった。
そして俺は携帯を見て、
驚いた。
一か月前だった。
日付は、忘れもしない。
青木葵が殺される当日の朝だった。




