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異世界物語〜銃を添えて〜  作者: 八橋響
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冒険者になろう!〜借金を添えて〜

ちょっと間が空きました。すいません。

いつも通り確認せず投稿です。すみません。


 アリシアの街中は、それはもう都心かってぐらい賑わいを見せていた。

街 アリシアはいくつかの通りに分けられてできている…らしい。

 まずはメインの大通り、他の通りに通じる…まぁメインの通りだ


 続いて、商業通り 食品や雑貨はもちろんのことで、異世界らしく剣や防具、装飾品、魔法書や魔道書の店が立ち並んでいるようだ。

ある程度落ち着いたら、覗きに行こう。

元いた世界には無かった食べ物や、道具があるかもしれないし、それでなくても

剣や防具は是非この目で確かめてみたいからな。


 そのほかにも…なんといえばいいか

所謂娼館などが立ち並ぶ、裏通り。

異世界ならば…とは思っていたが、やはりあるみたいだ。

 それに加え、スラム通り…といえばいいだろうか。

貧困街みたいなところもあるみたいだが、これは街のはずれに位置している。

こちらから出向かなければ、特段危険なことはないとリーシャは言っていた。

 主な通りはこのぐらいだろうか。

 ああ…あと、貴族街もあるようで。

貴族の家が建ち並ぶような場所があるらしいが、そこには不審な者が立ち入らないように、門が取り付けられているらしい。

 街の外に通じる場所にも門は設置されているらしいが、まさか街の中に門があるとは。

何処も落ち着き次第見てみたいものだと思う。

 スラムと貴族街を除いて…にはなるけどな。


 目的地の冒険者ギルドは大通りはずれの商業通り付近にあるようで、俺たちは今そこに向かっている。

道行く人が俺の事をまるで珍獣を見るような目で見てくるが…俺からしたらお前達の方が珍獣だよと言ってやりたい気分だ。

 全身を鎧で固め、頭部の兜部分を外し顔だけを晒しているような人

フード付きローブで顔を隠し、手には杖を持っている人

革だと思われる胸当てをつけ、腰には一振りの剣を差している人

全身が毛むくじゃらで、虎や猫の顔をしている人…人? 獣人だろうな

耳や尻尾と言った部分だけが猫とか犬とかの動物っぽい獣人もいる。

 いいなぁあれ…ちょっと触らせてくれないかなぁ…

等と色々考えふけっていると


 ふと、ひとりの獣人…半獣人とでも呼ぼうか。耳と尻尾だけが動物のような少女と目線が合う

栗色の髪色に、ボロ布のようになった服を着せられ、首には首輪のようなものが鎖で繋がれている。

 あれはなんだろうと、思考を巡らせていると隣にいたアリアが小声で

「あれは、奴隷ですよリョウさん」

 と教えてくれた。奴隷か…

「奴隷…ですか?罪か何かを犯したもの…という事でしょうか?」

 俺が思っている奴隷の認識が当たっているかどうかを確認するために、アリアに問う

「そう…ですね。もちろん犯罪を犯したものが奴隷にされる事もあります。その場合は労働奴隷です。命尽きるその時まで、労働を強いられます。ただ軽い犯罪の場合はそれに限らないそうです。後は…生活するにもそれができなくなってしまった人たちが、奴隷に落ちるみたいです」

 成る程な…借金をして金を返せなくなった人とかもそれに当たるんだろうな

 後は、犯罪か…物を盗んだりぐらいじゃ流石に労働奴隷っていうのは無さそうだけど…

犯罪は犯罪ってことか。

「成る程…僕のいた世界では無い制度ですので…少し驚いてしまいましたよ」

「リョウさんが居た世界は犯罪などは無かったのですか?」

「そうですねぇ…、犯罪が0ではありませんでしたが、それでも平和だったと思いますよ。僕がこうして何もなく生きてこれましたから」

 奴隷制度…か

異世界に慣れてくればそれも当たり前と感じるようになるかもしれないが、今はまだ抵抗感の方が強い

 視線を先ほどの少女に戻すと、何かを懇願するような目で俺の方を見てきていた。

…なんとか解放してあげたいけど、今はなんとも出来ないよな

心の中でごめんねと伝えつつ、少女に一礼をする。

 すると、少女は驚いた表情を見せた後、少しはにかみそのまま前を向いて歩き始めた。

伝わったかどうか確認することは叶わないが、伝わってることを祈ろう。


 前に向き直ると、そこには目的地である冒険者ギルドが見えた。

かなり大きめの建物で、人の出入りが激しい。

入り口は扉になっているが、今は開かれており一々閉める必要がなくなっている。

 俺のイメージだとウェスタンドアみたいな感じ…だと思っていたんだが、まぁ現実と想像は違うってところだろうか。

「着いたよぉ〜、ここがアリシアの冒険者ギルド!ダンジョンの管理もここのギルドに任せてるみたいだから、ここのギルドはかなり大きいんだぁ〜」

「成る程。ダンジョンに入りたいっていう場合も一度ここに声をかけなきゃいけない?」

「そのと〜り!とは言っても、ダンジョン入りまーすって言って、銅貨10枚渡せばダンジョン通行証が貰えるから、それを持っていけばいいだけなんだけどねぇ」

 ダンジョンの中で見つかる物と、ダンジョンへの通行料。二つでの利益を出してるってことか。

 上手いことを考えるもんだな。

「では、行きましょうか」

 アリアとリーシャが先頭になり、俺はその後ろをついていく。


 開ききってる扉を潜ると、まず最初に驚いたのは…

「ここは…酒場なのですか?」

 酒の匂いが充満していた。

「ええ…、冒険者ギルドでは珍しく無いですよ。クエストを終わらせそのまま酒場で…という流れですね」

「私たちも、終わった後は酒場で飲んだりするしねぇ〜」

 この酒の匂いが充満した空気を、特にきにすることなくリーシャは言う。

「え?酒飲んでもいいの?リーシャ達っていくつなの?」

「18だよ〜?あー…ここではねぇ〜15歳から飲んでいいんだ〜」

 異世界ではそこら辺の事情も全く変わっているみたいだな。

機会があったら、俺も飲んでみようか…

 席で酒を飲みながら騒いでいる冒険者たちの横をすり抜け、俺たちはカウンターの方へと向かった。

「ルイ〜さっきぶり〜、例の子連れてきたよぉ〜」

「ああ、リーシャいらっしゃい、アリアもいらっしゃい」

「うん。さっきはありがとうね?それで、こちらのリョウさんの冒険者登録をして欲しいのだけれど…」

 ルイと呼ばれた女性は俺の姿を確認するために、顔を横にずらした。

頭の後ろでまとめられた髪は金髪。その髪型はポニーテールで後ろでふぁさふぁさと揺れている。

異世界物の小説で読んだ、ギルドの受付嬢は綺麗。という情報は間違っていなかった。

西洋風な顔立ちに、パッチリとした目。まるで人形のように可愛らしい姿をした女性だった。


「貴方がリョウさんですね?初めまして、私は冒険者ギルドの受付嬢のルイと言います。

 アリアとリーシャの友人でもありますので、これから宜しくお願いしますね」

と、ルイは完璧な笑みを見せた。

「あっと…はい。初めまして、リョウと言います。わからないことだらけでご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、何卒」

 思わず見惚れてしまいそうな程の笑みだったが、なんとか堪え自己紹介を済ませる。

こちらへ、とカウンターに誘導され、アリアとリーシャの間をぬって前に出る。

「では、簡単なご説明と注意事項。冒険者登録をさせていただきますね」

 一枚の紙と羽ペンを用意し、そう告げたルイ


「まず、冒険者についての簡単な説明を…。こほん、冒険者というのはどこにも属さない自由な職業です。ギルドには毎日のようにクエストと呼ばれる依頼がきますのでそちらを受け、クエストを無事終了させれば報酬が支払われます。報酬はギルドでお支払いいたします。個人とのやりとりは基本的に禁止とされております。これは個人と冒険者間で余計な争いや面倒ごとが起きないようにです。 また、受けられるクエストには期間や条件がございます。期間についてはそのクエストの依頼主が決めた期間までに品物を納品したり、討伐していただくようになりますね。条件というのは冒険者ランクに基づくクエストの制限です。

 冒険者ランクと言いますのは、冒険者なりたての方はFランクから始まり一番上でSランクまであり、そのランクごとに受けられるクエストは決められています。例えば、Fランクでどれだけ実力があろうとも、Bランク相当のクエストである“地竜アースドラゴン”の討伐は受けられません。Bランク相当のクエストであれば最低でもCランクでないと受けることは出来ない規則となってます。これは冒険者の命を粗末にしないという事によって生まれた規則になりますので、どうぞ宜しくお願いいたしますね。ここまでは大丈夫でしょうか?」

「大丈夫です!」

 にこっと笑うルイ


「ありがとうございます。ランクを上げる場合は一定数のギルドポイントを集めていただく必要があります。ギルドポイントはクエストを無事完了させることにより獲得できます。獲得できるポイントはクエストごとに違いますのでご確認ください。

Fランクの場合Eランクに上がるために必要なポイント数は50ポイントになります。

ポイントはギルドカードという…身分証明のようなものですね。そちらに反映されることになります。…長々とすいません。ここまで大丈夫でしょうか?」

「はい!続けてください」

「では、次に注意事項ですね。まず冒険者同士の争いごとや揉め事に対し、ギルドは積極的に関与はいたしません。ですので揉め事は起こさないようにお願い致します。

 また、クエストを完了させられなかった場合は報酬は支払われません。ただ依頼主と相談をし期限を伸ばすこともできますが、その場合は報酬が減る事が多いのでお気をつけ下さいね。

 それと…クエストをキャンセルすることもできますが、その場合は逆に支払う側になってしまいます。後は…ギルドカードですね。こちらは最初にまず発行させて頂きますが万が一紛失や盗難などがおこってしまい失くした場合は再発行に手数料銅貨50枚頂くようになります。長くなってしまいましたが、以上が説明と注意事項ですね。細々としたものや他にもいくつかあったりしますが…最初はこれだけ覚えておけば十分かと」

 そこまで言い切ると、ルイはもう一度にこりと笑う。

かなり長い説明だったけど…大事なことみたいだし、とりあえずは頭の中に詰め込む。

まぁ、基本的なところは俺が読んでた異世界ものとそこまで大差ないみたいだし

なんとか、大丈夫そうだ。

 最初は簡単なクエストからクリアしていき、最終的にはもっと高ランクに上がっていく。

その分報酬とかも増えるだろうし…、何か手に職つけるよりは冒険者でやっていく方が良さそうだ。

 ただ、俺に何ができて、何ができないのかなんてことは全くわからないから…そこは色々やってみないとだな。


「はい、ありがとうございますルイさん!では早速登録させていただきたいと思います」

「いえいえ、ではこちらの用紙に記入をお願いします」

 差し出された紙には

名前、年齢、職の3つの項目と、先程ルイが説明してくれていた注意事項に対する同意のサインを記入するところがある。

 名前:リョウ 年齢:18 職: …?職とはなんだろうか

「あの、すいませんルイさん。職と言うのは何でしょうか…?」

「ああ…申し訳ございません。職と言いますのは自分が得意とする戦闘スタイル…とでも言いましょうか。前衛職や後衛職と言ったもののことをさします。」

「成る程…ありがとうございます」

 その説明を聞き俺は迷わず職:不明 と記入をした。

同意のサインも記入を終え、それをルイに渡す。


「出来ました。お願いします」

「拝見させて頂きます……?リョウさん不明と言いますのは…?」

「あぁ〜、リョウは今自分がどんな武器が合うのか模索中だからねぇ〜それで不明ってわけでしょ〜?」

 会話の中にリーシャが入り込み、俺に軽くウィンクをする。

 成る程、この世界じゃ無いところから来たってことを隠すために、俺がボロを出さないようにフォローをしてくれたのか。

「この後、どんな武器がいいか一緒に確認するところだったの」

 アリアもそれに便乗をしてくれる。

「恥ずかしながら、僕は自分の力量がどの程度なのかまだはっきりとつかめていなくて…なのでひとまず“不明”で提出させてもらいます」

「そう言うことですね。かしこまりました。ではこちらの内容で冒険者登録およびギルドカードの発行をさせていただきます。銅貨30枚頂きますね」

「え……、とすいません。登録にもお金がかかるのですね?」

「先程の説明で言っていませんでしたね…申し訳ございません。そうですね最初に登録料がかかります…持ち合わせは…」

 申し訳なさそうな顔をしながら俺の様子を伺うルイさん。

まずいなぁ…無一文なんだよな…今更ながらだけど…どうしよう

「アリアぁ〜、二人で半分ずつ出してあげよっかぁ?」

「リーシャいいの?元は私が全額払うつもりだったんだけど…」

 どうしたものかと考えていたら、俺の後ろの二人がそんなことを言い出した。

「いえ!そんなの悪いですよ!そこまでして頂けないです!それであれば、僕は自分で何かをして稼いでから登録を…」

「先程、自宅で言いかけたのはそのことなのです。あの時言わなかったのは、きっと言ってしまえばリョウさんは遠慮すると思ったからなのですよ?」

「女性にお金を払わせるわけにはいかないです!…あの、ルイさん!」

「はい?何でしょうか?」

 女性に自分の身の回りのことで金を支払っってもらうとか、そんなダサいことはしたくない!

俺は、ルイに一つの提案をすることにした。

「僕今すぐクエストを受けたいと思います。それで…あの…報酬が出ると思うんですが…

 その報酬から発行手数料分の銅貨30枚を差し引いていただくことは出来ますか?」

 ルイはすぐに考えるような素振りをみせる、顎に手をやって悩むのポーズだ。

「成る程…そうですね。今が丁度昼が過ぎたぐらいですので…、ええ。そうですね本日中までにクエストを完了させていただけるのであれば、そのように手続きさせて頂きます。ただし───」「それでいいです!よろしくお願いします!」

 ルイの言葉を最後までに聞かずに、俺は承諾をした。

どうせ、最初のクエストだ採取クエストとかだろうからなんとか…

「そうですか。分かりました」

 にこっと笑うルイ。…ただその笑顔はかなり小悪魔的な笑い方だった

「では、ゴブリン討伐クエストを受けて頂くようになります。頑張ってくださいね」

 いつのまにか手にされたゴブリン討伐クエストの用紙に判子を押し俺に渡してきた。

「…え?」

「先程私はこう言いました。ただしゴブリン討伐のクエストを受けて頂くことになりますが、と」思わず見惚れてしまう、いや魅惑されてしまうような小悪魔的な笑顔を見せるルイの背中には、黒い羽が生えているのではないのか…と思うほどだった。

───戦闘経験など無い俺が、初めて挑むクエストはゴブリン討伐に決定された。


PV300を超えてました!ありがとうございます。

1日で100PVいったのはすごく嬉しかったです…本当にみなさんありがとうございます。


誤字・脱字報告。感想お待ちしております。

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