王都騒擾 突撃
ハイ みんな。私今絶賛スカイダイビング中なの。もちろんパラシュート無しで。
なんでこんなことになったかって? あの馬鹿(魔王)がいきなり俺と三千の足元にワープゲート作りやがりましてね。その上飛ばされた先が雲の上。2秒で我が娘、三千はダウンして頭から真っ逆様。拝啓 お父さんお母さん。俺もうダメだわ。今度こそ死んだ。不甲斐ない息子を許してくれ。
城が見え、城下町が見え、ついに地面が目前に迫る。ごめん父さん。
もうダメかと思った瞬間。全身にGがかかる。
「なんじゃさっきから騒がしいのう。少しは黙って落ちてこんかい」
見上げると魔王が腕を組み立っていた。
いや……お前のせいなんだけど! だいたい見た目の幼女のくせに黒とか背伸びしすぎなんだよ!
「ええい! 下着の色などなんでもいいだろう! というかあれだけ騒いでたくせに下着の色を確認しとる余裕はあるのじゃな!? 」
当たり前だろ。というかここどこだ? どうやら普通の路地みたいだが。
「その通りじゃ。が……どうやら状況はあまりよくないらしい」
魔王はちょっと深刻そうな顔でそう告げる。どうしよう例のごとくとてつもなく嫌な予感しかしないんだが。
「お父さん。あそこ」
三千が何か見つけたらしく指を指す。
促されたように指の先を目で追うと広場に人だかりができている。あれが魔王の言うよくない状況らしい。
「ここに降りた瞬間、我が右腕が自立して我が半身を取り戻そうとしたことがわかった。あの腕。ずっと妾に連絡を送り続けてたらしいからなぁ。おかげで今現在一気に総受信して尋常じゃなく頭が痛いわ」
魔王は額に手を当て頭を横に振り頭が痛いとジェスチャーをする。
魔王はなんでも無いように言っているが今まで送られてるはずだった情報を一斉に頭にぶち込むというのはおそらく普通の人だと苦しみ悶えるところだろう。
さすがは魔王と言ったところだろうが。
「そうであろう。そうであろう。ウンウンお主もよくわかっているでは無いか」
前言撤回。心を読む奴は全員敵だ。
「何故じゃ!? それであったらそこな娘もそうであろう!?」
何故自分と娘が同じ土俵に立てていると思えるのか。勘違いもいい加減にしろ。まずそもそも三千は心を読むのではなく会話しているのだ。間違えてもらっては困る。
「それはそうじゃが『読心』を使わなければ会話が成り立たないではないか! 」
自分でなんとかしろよ40%魔王。
「理不尽!」
さて本当に魔王か疑わしいコイツをほっといて広場に行こう。後ろから「待て! 妾を置いて行くな!」とか叫び声が聞こえるけど俺は知らん。だいたい娘に悪影響だ。
人混みをかき分け(かき分けてるのは三千)前に進む。全くいつも俺に付き合わせて悪いな、三千。
「大丈夫っ。三千はお父さんの役に立てて嬉しいんだもん。どんどん三千を頼ってね」
笑顔でそう囁く三千。ああ、俺はなんていい子を授かったんだ。感謝しても仕切れない。
永遠かと思うほど長い人混みの中を突き進むと銀色の大きな刃が太陽の光を反射し輝いているのが見えた。
やはり嫌な予感がする。
「お父さん……あれ、剣だよね?」
あれはなギロチンって言うんだよ。
俺は日本での知識を三千に披露する。くれぐれもあれの事に触れてはならない。絶対何かに巻き込まれるから。言うなよ? あれはなんですかって言うなよ?
「お父さん。ギロチンって何する道具なの? 何かを作るの?」
言っちゃったぁぁぁ! しかし娘の知的探究心ならば仕方ない。俺はギロチンの事を生首を量産する道具と教える。ついでにどんな人の首が量産されるのかも。もちろんとてもオブラートに包んでな。
幸いここの位置なら三千に実演シーンは見えない。俺は三千に頼み手を上に上げてもらい俺だけ誰が斬られるのか確認した。
ちょうど死刑囚が死刑台に上がってくるところだった。
死刑囚は老人らしい。それもとても急ぎの死刑。服装が私服のままだ。
老人は真紅の鎧を身にまとっておりゆっくりと階段を登り小高い場所で兵士に蹴られ膝立ちにされる。
おっかしいなぁー。俺にはアレ、この前謁見したばっかりの国王様に見えるなぁー。
その見覚えのある老人に続いて誰かが壇上に上がってくる。金髪だ。あのメアリの部屋で一緒に閉じ込められていた王子。
「皆のもの! 心して聞いて欲しい!」
うわぁ。金髪が何か言ってる。
「今ここにいる国王は偽物だ!」
突如金髪が放った衝撃の事実により広場が一気に騒がしくなる。
「だが安心してくれ! 偽物はこのギル・ホープが捕らえた! しかし残念ながら本物の国王、ジル・ホープは亡きものにされ、もうこの世にいない。何故こんな事になったのか。実は俺はずっと気づいたが王を捕らえるほどの力が無かったのだ。俺がいつも馬鹿の振りをしていたのは全てはこの瞬間のため! 偽の王を倒しこの国を魔の者の手から守るためだ!」
一斉に歓声が上がる。流石だよ金髪。見直した。ごめんなずっとただの馬鹿だと思ってた。
俺が金髪の行動に関心していると脳内に魔王の声が響く。
(おい! アレじゃ! あの国王とか呼ばれてる奴!)
なんだよ。俺が金髪の行動に関心しているところに。少しは野暮とか思わないのか?
(いやそれは悪かった。でもアレをなんとかせい!)
やけに慌ててるな魔王。一体なんだ?
(あそこで囚われてるの国王が我が右腕なのじゃ! 言ったろう。自立して我が半身を追いかけていると! それがあの国王もどきじゃ!)
ええ……なんでそんな事に……。それで? 俺は何をすればいい?
(お前の背中に『ゲート』のポイントをセットしてある。とりあえずお前は娘に投げられるとかして死刑台にたどり着け!)
お前勝手に何してんの!?
ほら! ほら見たことか! やっぱりロクな事にならんと思った!
仕方ない。我が娘よ頼む。急用だ俺をギロチンのとこに投げてくれ!
「え!? あ、うん! わかった!」
三千は腕を大きく振りかぶり強く俺を撃ち出す。
俺! 行きまーす!
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