二幕【夏祭り編】
【前回のあらすじ】
残った夏休みを満喫しよう。
蒼の提案で海に来た悠真達。
だが遊びだけに集中することもできない。
悠真には、オーディンとなって考えなければいけない事が沢山あった……。
静かな静寂。
その中に波が砂浜に打ちあがる音だけが辺りに響いている。
空はまだ少し暗く、朝焼けの橙色の雲が見え始めていた。
日の出を見ようと思ったわけではない。
ただ、なんとなく目が覚め、なんとなく朝の砂浜に来た。
そこに理由らしき理由はない。
ただ、自分と言う存在を確かめたかったのかもしれない。
何かをしていないと落ち着かないのだ。
砂浜に座ると、少し湿って冷たかった。
何をどうしたいのか。
そんな事もわからない。
今までだって必死に考えてる振りして結局適当に放置してきた。
それでよかったのだ。
だが、昨日ありすと話した時、俺はオーディンとして最善の選択をするように考えて行動した。
それが今までの俺と違うような違和感がぬぐえない。
昨日のことだって俺が考えて、そう結論付けたはずだ。
なのにそれが俺の行動だったのか、ひどく不安になる。
少しずつ。
少しずつ人ではなくなっていく。
自分の内側から、己が神であると語り掛けられているような。
それが嫌なのかも、今の俺にはわからない。
桂木悠真と言う存在は、あの日ジークフリートに殺された時に本当に消えてなくなったのかもしれない。
ひどく不安なはずなのに、ひどく落ち着いている。
それが今の俺だった。
「あれ~?悠真君、こんな朝早くに何してるの~?」
振り返ると、そこには急いでその辺の服を着てに上着を羽織ったような縷々が立っていた。
なぜかその頬は少し赤みを帯び、息が少し上がっている。
「なんとなくだよ。縷々の方こそどうしたんだ?散歩か?」
「えっと……まあそんな感じかな~。朝の海っていいなぁ~って」
「そっか。俺もそんな感じだよ」
俺は縷々から視線を海に戻す。
縷々も静かに横に座った。
波の音だけが聞こえ、二人の間に会話はない。
お互いがお互いの言葉に嘘があるのはわかっていた。
だからこそ俺は何も言わなかったが、縷々はそうではなかったらしい。
「ごめん、嘘ついた」
縷々にしては真面目な声でそう言った。
いつものようなふざけている雰囲気はなく、体育座りをしている縷々はいつもより少し小さく見えるくらいだ。
「ほんとはね、悠真君が浜辺に歩いていくのが見えて……。そのままいなくなりそうな雰囲気だったからさ……追いかけてきちゃった……」
そう見えていても不思議はない。
自分の事で心配させてしまったことが俺の心にさらに傷をつけていく。
だからこそ誰もいない朝の海に来ていたのだが、さすがと言うか幼馴染の縷々には見つかってしまったようだ。
普段はおちゃらけている縷々だったが、縷々も君丈もいつも俺の事を心配してくれている。
それが俺ら三人の関係性だった。
「……ごめんな、心配かけて」
「別にいいよ。でも、少しくらいその不安分けてよ」
その言葉に俺は反応することができない。
俺は縷々や君丈ほど強くない。
それは神になっても同じなんだ。
いや、単純に子供なんだろう。
そんな自覚があっても人はすぐに大人になれない。
だからこそ、昨日の俺の行動が自分の行動だと割り切れないのだ。
また沈黙が流れ、波の音だけが聞こえてくる。
ふと目の前の砂浜には、誰もいない砂浜を満喫するように小蟹が歩いていた。
「昔さ、三人で海に来たことあったよね」
唐突に縷々は昔話を始める。
縷々なりの気遣いだろう。
俺は黙ってその話に耳を傾けた。
「学校なんてサボって海に行こうぜー!って。君丈君が連れ出してさ。悠真君も縷々も乗り気で子供三人で電車に乗って」
俺も昔を思い出して感慨にふける。
どこまでもやんちゃな三人だったような気がする。
いや、やんちゃな二人だった。
俺はそれに振り回されていただけだ。
それでも一緒に居たのはその時間が楽しかったから。
毎日が冒険のような。
まるで自分達が物語の中にいるような……。
「後で先生にはすごく怒られたけど。探検したり肝試しにお墓行ったり。サッカーとか野球したり。馬鹿な事もいっぱいしてさ。楽しかったよね~」
楽しそうに話す縷々の方を見た。
いつものように幸せそうな笑顔で思い出にふけっている顔だ。
その顔を見ていると、今までの不安が急激にどうでもよくなっていく。
何度もこの笑顔に助けられてきた。
俺には君丈や縷々が必要だ。
今も昔も。
だからこそ力になりたい。
ちゃんと横に並ぶ存在になりたい。
そう思ったんだ。
「縷々は楽しかったかもしれないけどな、こっちは大変だったんだぞ?サッカーすればその辺の車に必ずぶつけるし、野球すれば窓ガラス割るし。探検だー!とか言って連れまわされて、帰りには泥まみれになって」
青春だった。
子供時代の青春。
やりたいことは何でもやった。
どれだけ大変でも、怒られても、ちっとも気にならない。
それくらいワクワクとドキドキの日々だった。
「親に怒られるは周りに謝りに行くわでよ。最終的に二人は逃げるし、いつも俺だけが怒られて。損な役回りだよ」
「あれ~?そうだっけ~?ごめんごめん」
えへへ、と笑う縷々の顔を見て、俺はいつも許してしまうのだ。
何度大変な目にあっても。
どんな事があっても。
三人で遊びまわっているのが、俺には心地よかった。
「あと、強引に学校サボって海行こうって言ったのは縷々だからな」
「え~?そうだったかな~?まぁ細かい事は気にしない気にしない♪」
不思議といつもの調子で話せていた。
縷々や君丈と話しているといつもそうだ。
不安や悩み事があっても、二人が居ればいつの間にか気にならなくなっていく。
だからそんな二人に憧れた。
そんな二人のようになりたかった。
俺が神になって変わってしまっても、二人だけは変わらない。
日常がどんなに変わっても二人が居れば俺はいつもの日常に戻ってこられる。
そんな気がした。
「お祭りも行ったよね~。皆で浴衣着て花火見て…………あ!!」
俺も昔の思い出に浸っていると、いきなり縷々が大声を上げた。
驚いて俺は横に倒れそうになるが、縷々はそんな事も構わず食い気味で近づいてくる。
「お祭り!お祭りだよ!!明日!!一緒に行こうよ!!」
思い出して行きたくなったんだろう。
縷々の目は絶対行くと書かれているかのようにキラキラとしていた。
だがそんなに近づかないで欲しい。
普段だって少しドキッとしてしまうのに、二人の事を考えていた今は妙な照れくささも出てきてしまう。
「それはいいけど……今日の皆で行くのか?」
蒼は行きたがるだろうが、ロキは絶対反対するだろう。
と言うか行ったとしても屋台でお金を払う想像ができない。
なんとなく一緒に行くのに抵抗があった。
「それはそれで楽しそうだけど……たまには三人で行こうよ。昔みたいにさ♪」
絶対に三人で行く。
今決めた。
と、縷々の顔には書いてあるようだ。
うきうきな縷々には悪いが、それには難しい問題がある。
「俺はいいけど、君丈が無理だろ」
君丈は海にも来ていないくらいなのだ。
部活で忙しい君丈に無理をさせるわけにもいかない。
そもそも君丈も縷々も次期部長だろう。
本来なら縷々もここにいてはいけない存在なのだ。
「大丈夫。縷々に任せて。それにお祭りは夜からが本番だし!夜なら文句とか言わせないし!拒否は認めないし!」
こうなった縷々を止められるものは誰もいない。
以前縷々に自分の格言は何かと聞いた事がある。
そしたら迷わず『有言実行』と言ったのだ。
その格言通り、縷々が言う事はこれまでも実行されてきた。
最近の縷々だけを知っているとそう見えないだろうが、そもそも俺と君丈を引っ張りまわしていたのは縷々だ。
今思えばその実行には神の力を使ったものもあるのだろう。
でも、いや、だからこそ。
縷々が言うからには君丈も来るだろう。
三人で久しぶりにお祭りに行くのもいいかもしれない。
「わかった。明日は祭りに行こう。久しぶりに三人でな」
「うんうん!行こう!物分かりがいい悠真君はなでなでしてあげよう~」
「それはやめろ」
だがいくら拒否しても縷々によって俺は撫でられることになるのだ。
昔から縷々は事あるごとに俺を撫でてきた。
二人のせいで怒られ、その後に縷々によって撫でられて慰められる。
それに俺はいつも怒っていたが、今日はそういうわけでもない。
なんだか懐かしく思えて、俺は縷々が満足するまで撫でられ続けた。
その後、起きてきた他の皆とまた海で遊び、満足した俺達はフレイヤのスキーズブラズニルでそれぞれの家に帰っていった。
俺は帰るなり疲れた体をベットに放り投げると、明日の事を考えながらそのまま眠ってしまった。
―ヴァルハラの戦神―
四章 二幕【夏祭り編】
◇◇◇
次の日。
俺は待ち合わせの場所に行くと、そこにはすでに到着していた縷々と君丈がいた。
「待ったか?」
「待ったよ!遅かった悠真君にはたこ焼きと焼きそばと金魚すくいと射的とチョコバナナで手を打ってあげる」
「多いわ」
縷々は俺と君丈に奢らせる気満々だ。
君丈もやれやれと言ったご様子。
それにしても俺は服装をミスったかもしれない。
縷々は夏らしい花柄で全体的に蒼っぽい浴衣に身を包み、君丈は男らしく甚平を着ている。
「おいおい悠真、せっかくのお祭りだぜ?なんで私服なんだよ。お前は風情ってものをわかってないな~」
「いや、むしろよく一日で用意できたな。祭りに行くのも久しぶりなのにそれ用の服なんて持ってねぇよ」
三人でお祭りに行っていたのは小学生くらいの時だ。
その時の服が着れるわけもなく。
用意しようかとも思ったが、さすがに二人とも私服で来ると思ったのが間違いだった。
昔から遊びに予断がない二人だったよ。
ちなみに中学生の時や去年も行こうと思えば行けた。
だが、なんとなく忙しくなり始めてからお祭りや海に行く機会が減ったのだ。
そもそも普段から三人で行動をしていたし、子供の頃に遊びつくしたのも原因の一つだろう。
「久しぶりだろうがなんだろうがお祭りだぜ?この一大イベントにお前はそんな半端な気持ちで挑むのか!?」
「別にお祭りくらい年に何回も行われてるだろ。むしろ今日の為だけに用意しようとは思わないのが普通だ」
というか本当にどうやって用意したんだ。
部活の後にデパートに立ち寄ったんだろうか。
フレイヤのスキーズブラズニルを使えば行くことも可能だろうが……そんな事の為に神器を……。
いや、この二人ならやりかねんな。
というか絶対そうしたに違いない。
「かぁー!わかってない!わかってないぞ悠真!お祭りと言ったら浴衣!着物!甚平!それが日本人ってやつだろう!」
めんどくさくなりつつある君丈に苦笑しつつも、俺はいつもの日常に返ってきた気がして嬉しくなっていた。
「わかったわかった。次の時は何か用意して着て来るから」
君丈を適当にあしらい、俺達は祭りの中に入っていく。
SAのおかげで人が以前よりも増えているせいか、覚えていた昔のお祭りよりも規模がでかくなっている気がする。
と言ってもよくある地方のお祭り程度のレベルなので、大した違いはない。
多少の屋台が増えたのと、飾り付けが豪華になっているくらいだった。
「ね~ね~悠真君♪たこ焼き♪」
「はいはい。買います買います」
「やったぁ~♪」
縷々に言われるがままにたこ焼きを買う。
これくらいで縷々の笑顔が見れるなら安いものだ。
「ほら、これでいいか?」
俺はたこ焼きを片手で縷々に渡した。
すると縷々は手を震わせ、両手でありがたそうに受け取る。
「これが……噂のたこ焼き……!!」
「なんで初めて見た風なんだよ。いくらでも食ったことあるだろ」
「この方が美味しく食べられそうじゃない?」
このまま行くとしゃばの空気はうめぇぜ!とか言い出しそうだ。
縷々はたこ焼きを一個、二個と口に頬張ると、幸せそうに口をもぐもぐさせている。
なんだか懐かしくもあり、そんな光景を見るのが嬉しかった。
それは呆れた顔で見ていた君丈も一緒だろう。
「何?食べたいの?しょうがないから一個だけあげる」
「一個かよ」
とりあえず差し出された一個を口に入れ、俺達はまた歩き出した。
上機嫌な縷々を先頭に、俺と君丈は後ろからついていく形だ。
「こういう所はいつまでたっても変わらねぇな」
「変わらねぇさ。今も昔もな」
君丈の瞳は暖かく見守る目だ。
縷々を変わらないと言うように、俺の事も同じように思ってくれてるんだろう。
だが、俺にとって二人の存在は今までと変わっていた。
神だと知った事もあるが、縷々も君丈も昔のように大っぴらにはしゃがなくなっている。
それは大人になったと言うことかもしれない。
でも、俺にとってはそんな変化でも置いていかれた感じがして寂しい。
だからこそSA手術を受けたり、自分も神になった事で安心していた。
それが正しい事なのか。
疑問を常に胸の内に秘めながらも。
「いいじゃねぇか。楽しかったらよ」
俺の気持ちを察したように言葉をかけてくる君丈。
君丈の中では俺も変わってないんだ。
いつまでも昔の皆のまま。
これからもそんな関係を望んでいる。
それは俺もそうだ。
「いきなりで準備大変だったろ。すまんな」
「別に悠真が謝ることじゃない。言い出したのは縷々だろ?」
「まあそうなんだが……縷々なりの気遣いの結果だと思うからさ」
「俺だって三人で遊びたいと思ってるんだ。なんだろうと悠真が謝る事なんてないと思うぜ」
いつものように。
三人の関係性は変わらない。
お互いがお互いの事を思いあっている。
それが心地よくて。
「もしかて、君丈も海行きたかったんじゃねぇか?」
「……どうだろうな?」
朗らかな笑顔を浮かべるその笑顔の裏にはどんな思いがあるんだろうか。
きっと海だって強引に誘えば君丈は着いてきただろう。
俺達が変わったんじゃない。
俺達の環境が変わっただけなんだ。
きっと君丈はそう言いたいんだろう。
「悠真君ー!りんご飴!!」
いつまでも変わらない。
それは今の俺にとってどれだけ心の支えになってくれているか。
俺もこいつらの期待に答えないとな。
「はいはい、わかりましたよ」
「あ、やっぱりいちご飴!」
「お姫様の仰せのままに」
変わらない日常を過ごすのはいいが、このままだと俺の財布は空になりそうだ。
君丈に救援要請を出しておこうか。
そう思って振り返ったのだが……。
「あれ?君丈は?」
さっきまで俺の横に居たはずの君丈はいつの間にか姿を消していた。
「きみはけふんいはいほー?」
「食べるか喋るかどっちかにしろ」
「…………ごくん。まあ君丈君なら大丈夫でしょ。すぐ会えるよ」
確かに君丈なら心配はないだろうが……。
少しくらい心配してあげてもいいんじゃないだろうか。
だが俺も探しに行こうと思わないあたり、縷々と一緒かもしれない。
「ねぇねぇ、河川敷の方行こ?」
「ん?河川敷?なんかあるのか?」
「それは行ってからのお楽しみ♪」
俺は縷々に連れられ、河川敷の方に向かった。
楽しそうに先導をきり、俺は縷々とはぐれないように必死について行く。
それが昔のようでなんだか懐かしい。
河川敷に着くと、そこにはなぜか人だまりができていた。
皆何かそわそわしている雰囲気だ。
「なんでこんなに人がいるんだよ。昔は特に何もなかったよな?」
「悠真君は情報が古いなー。最近のお祭りでは花火があるんだよ」
花火大会などは昔からあるし、三人で言ったこともある。
だが、このお祭りのイベントで花火を打ち上げるのは知らなかった。
これも人が増えたおかげなのだろうか。
こんな所にも影響が出てたんだな。
「よくそんなこと知ってたな」
「私も今朝知ったんだよ~♪」
情報を古いと言っておきながら縷々も今朝知ったらしい。
人の事言えないだろ。
俺が呆れて縷々の事を見ている内に、最初の花火が上がり始めた。
二人で空を見上げ、暗い空に打ちあがる花火を眺める。
小さな花火から始まり、徐々に大きな花火へ。
キャラクター物の花火やよくわからない柄まで。
多種多様な花火が空を埋め尽くす。
「綺麗だね~」
「夏って感じだな」
「夏っていいよね。楽しい事が盛りだくさんで」
縷々の言葉に俺も夏の楽しさを思い出す。
三人でイベント毎に参加しなくなったり、最近では色んな問題事で忙しかったり。
だからこそ楽しさはより実感が湧く。
何かが変わってしまっても。
変わらずに楽しむことはできる。
変わるものと変わらないもの。
変わったと感じてしまうほど、物事はそんなに変わってないのかもしれない。
きっとそこには変わってないものだってあるのだから。
「縷々は夏好きそうだもんな」
「好きだよ~♪冬も好きだけどね~」
「冬にそんな楽しい事なんてあるか?」
「あるよ~。雪が降ったら楽しいし~。クリスマスだってあるし、年末年始の初詣とかも楽しいよね~♪あとバレンタインとか♪」
縷々にかかれば何でも楽しいイベントなんだろう。
いつまでもこうやって笑っていて欲しい。
最近は悲しい顔をさせてしまう事が多かった。
この笑顔を守る為でもあったから、本末転倒だったかもしれない。
それでも一緒に居るために。
この笑顔の横に立てるようになりたかった。
「大丈夫だよ」
突然に縷々が呟いた。
何が、とかは聞かない。
お互いわかってるんだ。
俺が不安なように縷々も不安なんだろう。
だから俺もこう返す。
「そうだな」
深く考える必要はない。
それは神の事も、俺達の事も。
君丈もそう言いたかったんじゃないか。
たわいない言葉を繰り返す間に、花火は終盤に向けて打ちあがり始める。
大量の花火が上がり続け、暗かった空は明るく綺麗な空に変わっていった。
「私ね、ゆ―――」
今日一番の花火が打ちあがり、周囲の音をかき消した後、その場は静寂に支配される。
少しずつ周りから会話が聞こえ始め、人々が去っていく。
花火は綺麗だが、少し寂しくも思う。
それが風情と言う物なのかもしれないが。
「さっきなんか言ったか?」
最後の花火が打ちあがる瞬間、縷々が言葉を発したが、それは花火の音で俺の耳に届くことはなかった。
俺の言葉を聞き、ゆっくりと何かを考えた後、縷々は笑顔でこちらに振り向き――
「来年も皆で来ようねって言ったんだよ♪」
「皆って言っても君丈いないままだけどな」
「呼んだか?」
背後から唐突に声が聞こえる。
そこには君丈が意地悪そうな笑顔を浮かべてこちらを見ていた。
「おわっ!居たなら声かけろよ!」
「花火が綺麗で見とれてたんだよ」
そう言って君丈は縷々と並んでこちらに振り返る。
俺は呆れながらもそんな二人について歩き始めた。
「楽しかったね」そんな会話をしながら俺達は家に帰っていったのだった。
四章
二幕【夏祭り編】
―完―
どうも零楓うらんです。
海の次はお祭り。
昔のように三人で遊ぶ悠真達。
縷々は何を言ったのか……。
四章は次のお話が最終幕になります。
変わる日常と変わらない日常。
皆さんはどう【日常】を過ごしていますか?
それでは次のお話でまた会いましょう。




