表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァルハラの戦神  作者: 零楓うらん
第三章 【桂木悠真】
12/14

二幕【ヴァルキュリア】

【前回のあらすじ】

夏休みに入った悠真達。

不良を鎮圧している者の情報を聞き、ありすと二人で探しに行くことに。

捜索の末、見つける事は出来たが、相手は戦う気満々だった……。

挿絵(By みてみん)

―ヴァルハラの戦神―

三章 二幕【ヴァルキュリア】




「来るよ!!」


戦闘態勢は取っているが、お互い兵装などはしていない。

まだ相手の出方をお互い見ているのだろうか。


「いきます」


だが仕掛けてくる雰囲気を感じたありすの言葉通り、少女はこちらに一直線に突っ込んできた。

一言呟いた瞬間だった。

むしろ俺には言葉が遅れて聞こえてきたように錯覚すら覚えた。

少女の速さはフェンリルほどではないにしろ、人間離れした速度で俺達を強襲してくる。

分身などを使う様子は今の所なく、主な攻撃手段は足技だ。

だがその速度は移動同様かなりの速度。

ありすも交わすのが精一杯と言った所だ。


「っっ……早いっ……!!」


避けられない速度ではない。

いや、正確にはその程度に合わせている感じがした。

ありすは蒼と戦闘訓練をしているのかもしれないが、俺はずぶの素人だ。

不安は残るが、オーディンチップを起動する他、対応する手段がなかった。


「ありす!力を使うぞ!」


自手の蹴りを避けるので精一杯で、今までありすの事を見る余裕がなかった。

ありすに確認を取る意味で初めて眼中にありすを収めた時、その異常事態に初めて気づいたのだ。


ありすは兵装はしていない。

それは明らかだった。

だがありすには兵装をしていなくても見えない槍や盾のようなものがあったはずだ。

それが今はただ一方的に蹴り技を受け、あろうことか手を前方に構えて防御しているではないか。


「まさか、力が使えてないのか?」


そんな事があるのだろうか。

蒼に何かがあったのかもしれない。

ありすはオーディンの眷属。

オーディンである蒼に何か異常事態が起きた場合、ありすにも影響が出るらしい。

それはロキ戦でわかっていた。

神器である【グングニル】を盗られていた蒼はもちろん、その眷属のありすは兵装ができなかったのだから。

それは今だからわかる事だ。

逆に今ありすに力が無いという事はそれしか考えられなかった。


今、ありすを助けられるのは自分しかいない。


「オーディンチップ!起動!」


SAが起動音を発し、数秒で俺の手元にはグングニルもどきが作られる。

同時に魔法で守られている感覚もある。

この状態なら魔法の力でありすと同等くらいには運動能力や戦闘知識が使えるはずだ。


異常は今の所ない。


「いける!」


敵の少女も俺が何かしらの力を使ったのは一瞬で察知し、目標を俺に変更した。

だが今ならその速度には対応できる。


「はっ!」


槍と少女の足が交差する。

同時に聞き覚えのある金属音が鳴る。

少女の足にはありすが纏っていた盾や槍のような武器の類があるという事だ。

俺は少女を渾身の力ではねのけ、ありすの元に駆けよった。


「ありす!大丈夫か!」


相手の攻撃からありすを守りながら、俺はありすの様子を伺う。

着ていた私服の袖はぼろぼろになり、頬にもかすり傷が見える。

このまま戦うのは明らかに不利だ。


「ごめん悠真!力が出せない!」


それはすでに予想がついている。

だが本当にそうなら本格的にまた敵の襲撃と考えた方がいいかもしれない。


どうするか少し頭で考えた一瞬、少女はその隙を見逃さず、渾身の一撃をもらってしまう。

俺は槍での防御が間に合った為、軽く吹っ飛ばされるだけで済んだ。


「くそ……どうする……」


一旦蒼の所に戻るつもりでいた。

だが、それが無理な可能性が出てきた。

なら君丈か?

あいつならすっ飛んで来てくれる自信はある。

少し情けないが、緊急事態だ。


「戦いのさなかに考え事?随分と余裕じゃない。この場から逃がしはしないわよ。それに、呑気にこんな所を歩いていたって事は、自分たちの状況を教えてすらもらってないようね。……いえ、未だにわかっていないなんて、と落胆するべきかしら」


自分たちの状況だと?

それは蒼の事か?

だが目の前の少女は俺とありすを捕縛すると言っていた。

敵の目的が一向にわからない。

ありすはともかく、俺まで捕縛しようとする意図は何だ。

最近一緒に行動してるとはいえ、目を付けられる理由は……まさかジークフリートか?


何を考えようと現状では理解しようがない。

俺にはわからないことが多すぎる。

とにかくありすは力が使えない。

その状況下で相手を妥当し得る力……。


「何か手段は……そうだ、兵装……」


兵装。

神、もしくはその眷属が使う戦闘スタイル、とでも呼ぶべきだろうか。

今の俺に使えるのかはわからない。

もしかしたらまた暴走状態とやらになる可能性はある。

だが、なにかしらの神の力でジークフリートを妥当し得た俺の神の力で、もしかしたら兵装も使えるのではないだろうか。


「ありす!兵装はどうやってやるんだ!」


「兵装……?それは……悠真には……いや、可能性はあるのか……」


ありすの呑み込みの速さは助かる。

おそらく俺が考えた事を一瞬で思いついたのだろう。


「自分の一番強い姿をイメージして!もし兵装が可能ならそれで術が発動するはず!」


自分の強い姿……。

俺に一番近いのはオーディンだろう。

だが、俺は蒼の兵装姿を見たことはない。

それに兵装の姿が決まっていないなら俺の今の理想を投影できるはずだ。


「…………兵装!!!」


俺が叫んだ瞬間、俺の内側から力が沸き上がる感覚があった。

皆の兵装と同じように、光が一瞬で体を包み、姿を変えていく。

鎧は限りなく軽装の鎧だ。

これはありすのものよりもさらに部分防御に振ってある。

どうせ俺は鎧など来たことがない。

なら今は動きやすさだ。

服は青と白を基調とした騎士をイメージした服だ。

少し腰回りに布がひらひらしている。


「できた……」


初めての兵装に感動すら覚える。

だが、今はそんな所ではない。


「私も兵装ならもしかして……兵装!!」


ありすが叫ぶと、つい先日見た軽装の鎧とロングの金髪の姿へとありすは姿を変えた。

ありすが兵装できたという事は蒼は無事なのか?

いや、今は目の前に集中しよう。


「これで一方的にやられることはないはずだ。どうする?形勢不利とみて撤退するか?」


そんな言葉を投げかけるが、少女が撤退してくれるとは到底思っていなかった。

あっちも兵装はしていない。

だが少なからず槍という中距離の武器二人ならどうにか戦いにはなるだろう。


「そうね、これじゃ形勢不利かもしれないわね。ヘルメス様、許可をいただけますでしょうか」


少女の瞳はこちらを向いたままだ。

俺達の後ろに敵の気配はない。

いったい誰と話している?


「ありがとうございます」


おそらくは念話の類かもしれない。

以前フェンリルと戦った時もどこからかロキの声がした。

それならば、今言ったヘルメスと言うのが敵の親玉だろうか。


少女は一度目を閉じると、ゆっくりとその瞼を開いた。

その瞳は一層に覇気を纏っている。

びりびりと肌を焦がす霊気のような嫌な雰囲気を感じる。


「奥義【夜叉分裂】」


呪文を唱えたと思うと、少女の身体がピキピキと音を立て始めた。

まるでそれは蛹の中から蝶が羽化するように。

少女の背中から何かがはいずり出てくる。


すぐにやばいと危険を察知した。

だがなぜか俺の足は動かない。

それはまるで俺の足が恐怖で動くのをやめてしまったかのように。


人間ではない。


少女の背中からは瓜二つのもう一人の少女が出てきた。

そしてやっと理解する。

これが分身だ。

だが、想像を遥かに超えていた。

これでは宇宙外生命体の分裂ではないか。


「うそだろ……」


目の前には同じ顔の少女が二人、立ちふさがった。

1対2でなんとかできる算段だった。

それが2対2では勝ち目などあると思えない。


「「これでどうかしら?平等に相手できるでしょ?」」


寸分違わぬ発音と声質。

頭がおかしくなりそうだった。


いや、圧倒されてはだめだ。

どうにかしてこの窮地を乗り切って、蒼の元に戻る。

そうすれば、あいつなら、打開策をだしてくれるはずだ。


蒼ならなんとかしてくれる。

なぜだかそんな気持ちになった。

俺は蒼を飄々としてどうにも神らしくないと思っていたのに。

こういう状況でなぜか蒼ならなんとかできると思ってしまう。


先に動いたのはありすだった。

少女に突進していくありすにもかなりの気迫がある。

それは二人を相手にし、俺を守ろうとしているようにも見える。

きっと先日の一件をまだ気にしているんだろう。


俺も負けじとありすに続いた。

だが相手の動きは先ほどより速く、ありすの攻撃はさらりと躱され、一人の少女が俺の眼前までやってくる。


「あなたはこっち」


先ほどまでの攻防が嘘のような一撃。

その威力は重く、俺は防御しながらもまた飛ばされてしまう。


「悠真!っっ!!」


ありすはその様子を見て身体を翻した。

だが、それを見逃す敵ではない。


「あなたもよそ見?余裕ね」


ありすの側に残っていた少女が攻撃を仕掛ける。

ありすは空中に浮かび、なんとか振り切ってこっちへ合流しようとするが、敵も飛ぶ能力はあるようで、ありすと少女は空中戦にもつれ込んだ。


「自分の事を少しは心配したらどうかしら」


ありすの様子を目で追っていた所にまた強力な一撃。

だがそう簡単に何度も吹っ飛ばされる俺でもない。

なんとかその一撃を槍で相殺した。


「俺だけが勝てても意味ないんでね」


「そう。なら心配しないで。二人ともここで倒すから」


高速の蹴りが飛んでくる。

さすがに速い蹴りに重い一撃は乗せれないようだ。

俺は流れ込んでくる知識と湧き上がる力でなんとかそれを捌いていく。

兵装の力だろう。

オーディンチップの時も戦闘の知識が勝手に体に流れ込んだ感じがあったが、これはもっと根本的な力を引き出している感覚がある。


だがいくら俺がパワーアップしたとしても、それを少女は上から押しつぶしてくる。

どこかに隙を探そうにもそんなものは見当たらない。

先ほどよりも苦戦はしていない。

それが現状だ。


攻撃に転じようと仕掛けようにも、完全に動きを読まれ、およそ攻撃と呼べる一撃すら出せない。

槍を突き出す前に蹴りで弾かれてしまう。

完全に遊ばれている。


少女は俺達を拘束すると言ったはずだ。

なら体力の消耗を狙っているのかもしれない。

おそらく一気に決着をつけようとしたらつけられるはずだ。

それくらいの実力差はある。

少女は兵装すら使っていない所を見ると、余力は完全に残すつもりだろう。


「舐めやがって……」


「失礼なことを言うわね。舐めてはいないわよ。私はあなたには力を使ってほしくないだけ」


「じゃあ今すぐ俺らを解放しろよ。そうしたら力を使わず万事解決だ」


「それはできない相談ね。力を使ってほしくないのとあなた達を拘束するのは同義だもの」


理解ができない。

一方的に倒すわけでもなく、なんなら力を使ってほしくないだと?

俺は考えるのをやめた。

いくら理解しようとしても理解できないことを察知したからだ。

ならば今は目の前の敵を全力で排除するだけだ。




◆◆◆




金属音が鳴り響く。

私の槍と敵の力がぶつかる音だ。

これは私の風の槍と同じ、ヴァルキュリアの力だろう。

すね当て、いや、靴の類か。

攻防一体の武器って事ね。


「ねぇ、なんで私達を襲うのよ。どうやら全力を出すつもりはなさそうだけど。それに何の意味があるの」


彼女はこちらから仕掛けなければ無理に攻撃を押し通そうとする気配がない。

対話の余地はないのかもしれないが、何かしらの返答はくれるようだ。

無表情の瞳で何かを少し考えるように動きが止まる。


「それに答える義務はないわ。でもそうね、一つだけ言えるとしたら、あなたのご主人様の失態ではないかしら」


ご主人様、つまりオーディンか。

優斗の失態?

……何かやらかしたのかあの馬鹿。

優斗ならばやりかねない。


だが極力私達には気を配っていた優斗の事だ、何も知らされずに私達が襲われたという事は意図的に隠したわけじゃないだろう。

優斗の知らない何かがあって、優斗は単に読み間違えた。

そう考えるのが妥当だ。


そもそもこの少女が優斗の思っていた人物なら少なからず優斗は顔見知りなのだろう。

だとすると優斗も何かしらの問題事に巻き込まれている可能性はある。

優斗の助けは期待できないか。


ならこの状況を打開する方法は何がある。

悠真のグングニル?

いや、そもそもあれはグングニルなのかしら。

ジークフリート戦では不発だった。

だが今回は?

もしオーディンの力を使って兵装したのだとしたらあるいは……。


「そもそも天界の事情なら悠真は関係ないはずじゃないの」


必死に打開策を考えながら会話を続ける。

この質問だって意味はない。

関係なければ初めから私達を捕縛するなんて言わないはずだ。


「それは大きな間違いね。むしろオマケなのはあなたの方よ。私の第一任務は桂木悠真の捕獲」


話が見えない。

対して有益な情報が得られると思っていなかった質問が逆に私を混乱させる結果になった。

狙いは悠真?

そんなのはおかしい。


「悠真は一般人よ。あなた達がどうこうできる範疇にいないと思うのだけれど」


天界の者は普通の一般人との接触をできるだけ避けているはずだ。

正確には正体を明かさない。

それが悠真を第一に狙うのはあまりにも私の知識と違いすぎる。


「これ以上答える義務はないわ」


情報が少なすぎる。

私が狙いだと思っていた。

だが悠真が狙いだから私には無理に攻撃をしてこないのだ。

私の事も捕縛するといった以上、悠真を捕まえて、はい終了とはいかないだろう。

だがあくまで足止めなのだ。


また悠真を危険に晒すの?

そんなのありえない。

今度こそ私が守り切って見せる。

こちらが足止めと言うなら全力で排除して悠真を助けに行くだけだ。


「っは!!」


一瞬で間合いを詰め、急所に一撃。

だが彼女は冷静にそれを避けた。

槍を回し、リーチを使って攻撃する。

空中という事もあり、くるりと回転してそれを躱す。

そのまま遠心力を使った蹴り。

それを防御する。


空中には足場がない。

そういう面では地上より飛ばされてしまう。

だが自在に攻撃が繰り出せるのはこっちも同じだ。

空中を飛び回り、あらゆる角度から突く。

槍で広範囲を斬りつける。

だが何度やっても彼女は躱し、そして蹴りで元の位置に戻されてしまう。


さすがに私も焦りが出てきた。

体力的にはまだまだ余裕はある。

だが精神面での余裕が違いすぎる。

彼女は兵装すら見せていないのだから。


だがここで引くわけにはいかない。


「たぁっ!!っは!!……っ……そ、こ!!!!」


一瞬できた隙。

ようやく一撃が敵に届くと思った瞬間。


「やはりあなたに兵装なしは厳しいわね」


一言呟く。

時が止まっているようにも感じた。


「させない!!」


一瞬の隙を逃してなるものか。

渾身の一撃。

彼女にあと一歩届くというところで、私の槍は彼女の足に阻まれた。


「部分兵装」


神の力を全部知っているわけではない。

そもそも神と対峙したのもこの間が初めてだ。

だが兵装が部分的にできるなんて話は聞いたことがなかった。


彼女の足にはすね当て付きの靴が装備されている。

そもそも私の一撃は必中距離だった。

あのタイミングで間に合うはずもない。

それに兵装時には数秒のラグがある。

今の一瞬でそんな時間はどう考えたってなかったはずなのだ。


「なにそれ……色々と反則じゃない」


「ただのヴァルキュリアと一緒にされても困るわね。私とあなたではそもそも格が違うのよ」


「くそなまいき」


少し怒りに身を任せて力を籠める。

あくまで冷静に。

格が違う?

舐めるのもいい加減にしてほしい。

実力差は確かにある。

だが、そこまで言われるほどの差があるとは思えない。


「負けるかぁぁぁぁぁぁ!!!」


部分兵装という事は、これ以上も存在するはずだ。

そうなっては確かに勝つのは厳しくなるかもしれない。

だからこそ、その鼻をへし折ってやる。


先ほどよりも洗練された動き。

だが相手も躱すだけではなくなった。

兵装した足で私の槍を完全にさばかれている。

そして相手の蹴りの一撃を喰らった時、私は見えてしまった。


「ぐっ……威力が違いすぎる……」


一撃の重さが違いすぎる。

一部を兵装しただけで何倍まで力が上がったというのだろう。


勝てない。


このままでは勝てない。

これ以上なんてとても耐えきれる気がしない。

その時彼女の姿に畏怖すら感じてしまう。


吞み込まれてしまう。


圧倒的な違いはただの挑発でもなんでもない。

本当に格が違うのだ。

今すぐ私達を殺そうと思ったらそれこそ一瞬だろう。


絶望に打ちひしがれ、負けを覚悟した時、救いの声が遥か上空からやってきた。


「ありす!!!」


「優斗!!無事だったのね!」


優斗の助けには期待できないと思っていた。

だが来てくれたのだ。

優斗はそのまま勢いに任せて敵にグングニルの一撃を当てた。

彼女は吹っ飛び、私達とかなりの距離ができる。


「すまんな、遅くなった。なんとか間に合ってよかった」


「ほんとに遅い!優斗はいつも遅い!!」


涙が出そうになるのを必死に抑え、優斗に罵倒を浴びせた。

すまんすまんと頭を撫でる優斗に、私はさらに怒りをぶつけそうになるが、今はそれどころでもない。

だが、彼女の方を見ると、彼女も形勢不利と見たらしく―――


「ヘルメス様、オーディンが。…………はい、では撤退します」


そのまま彼女はあっさりと空を飛んでいった。

悠真の方も無事なようで、ホッと一息つく。

さすがにオーディンまでを相手にする気はなかったらしい。


私と優斗はそのまま悠真の元に向かった。

悠真の兵装はボロボロながらも、彼なりに頑張っていたのが窺える。


「それで、あれは何なの?」


優斗は曇った表情を作り、私達に真剣な表情で向き直った。


「今日はもう遅い。明日詳しい事情を話す。とりあえず魔術研究会に今日は泊ってくれ。あそこならロキもいるからひとまずは安全だ」


ロキが安全とは到底思えないが、優斗が言うからには今は味方なのだろう。

そう言うと、私達の静止の声も聞かず、優斗はまた空に飛び去って行ってしまった。






その夜は満足に寝ることはできなかった……。






◆◆◆




三章

 二幕【ヴァルキュリア】

    ―完―



どうも、零楓うらんです。

一難去ってまた一難。

新しい敵に手も足も出ない二人はどうなってしまうのか……!?


今後は徐々に神の関係者が表れ始め、物語が始まっていきます!

それでは次の話でまたお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ